プログラミング不要でアプリやWebサイトを開発できる「ノーコード」をご存じでしょうか?
本記事では、ノーコードについて以下の内容を解説しています。
- ノーコードのメリット
- ノーコードのデメリット
- ローコードとの違い
- ノーコードツールの選び方
- ノーコードツールの紹介
- ノーコードの将来性
- よくある質問
ノーコードに興味がある方は、参考にしてください。
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ノーコード(nocode)とは?
ノーコードとは、プログラミング不要でアプリやWebサイトの開発ができる技術のことです。
従来、アプリやWebサイトを開発するにはプログラミングが必須であったため、開発の際はエンジニアに依頼をする必要があり、多くのコストと時間がかかっていました。
ノーコードは、それらの問題を解決する技術として2年ほど前から国内で注目を集めています。
以下のニュースを見て見ると、国内でノーコードの市場が大きく拡大していることが分かります。
IDC Japanは4月21日、国内のローコード/ノーコードプラットフォームの動向に関する調査結果を発表した。
今回の調査により、国内の企業や組織におけるローコード/ノーコードプラットフォームの導入は急速に拡大していることが明らかになった。
2020年8月に実施した調査(回答社数435社)では導入率が8.5%だったのに対し、2021年9月に実施した調査(回答社数485社)では37.7%と大幅に上昇したという。
引用:国内ローコードノーコードプラットフォーム市場、急速かつ大幅に拡大 – IDC
国内では、まだ知らない方も多いですが、企業への導入が急速に進んでいることが分かります。
また、ノーコードツールはアプリ開発・Webサイトやホームページの作成・業務効率化・ツール連携といった幅広い用途のものがあり、全世界で600種類以上ものツールがあります。
ノーコードの特徴
ノーコードの一番の特徴は、プログラミングの知識を必要としない点にあります。
「何がしたいか」さえ決まっていれば、その目的や機能実現にむけて、テンプレートやパーツを組み合わせていくだけで、直感的かつ短期間のうちに開発が進められます。
具体的には、ドラッグ&ドロップ、テキスト入力が主となるため、パワーポイントの操作方法に近いでしょう。
加えて、APIによってさまざまなシステムと連携させることも可能です。
従来、アプリやサイトの開発といえば専門知識やスキルをもつエンジニアが行うのが、一般的でした。
しかし、ノーコードの場合、ある程度パソコン操作ができる人なら誰でも使いこなせるため、開発業務が大変身近な存在になったといえます。
なお、普及し始めた当初は英語ベースが大半でしたが、最近では日本語ツールも続々とリリースされているので、英語が苦手でも大きな問題はありません。
ノーコードが注目される理由
一般的に開発は、「要件定義→設計→開発→テスト→リリース」というプロセスを踏み、各プロセスは複数の担当者あるいはチームが担当します。
開発期間も規模によっては数年に及びます。
しかしノーコードの場合は、これらのプロセスをより少ない人員で実行できるため、人材確保の面で有利です。
また、コードを書かないため開発期間も格段に短くなります。
簡単なものなら、わずか1週間足らずで開発できる例も少なくありません。
加えて、ノーコードには無料ツールが多数存在するので、極めて低コストで開発を始められる点も魅力です。
とくに国内におけるIT人材不足が叫ばれる中、通常、アプリやシステム開発を外注すると、数千万円単位の予算が必要になります。
これを外部に頼らず社内人材のみで内製できるとなると、大幅なコストカットが期待できるのです。
これらのことから、スタートアップやベンチャー、中小企業にとって、ノーコードは今や欠かすことのできない重要ツールとなりました。
大企業でも、開発部門に依存せず、各部署やその担当者レベルで業務改善目的のアプリが開発できるため、注目されています。
IDCジャパンによると、2023年には新規開発されるアプリケーションの6割がローコード/ノーコードプラットフォームで開発されるようになると予測されています。
ノーコードとローコードの違いは?
ノーコードと似た言葉で「ローコード」を耳にすることが多いのではないでしょうか?
ノーコードとローコードの違いは、以下の表の通りです。
開発方法 | ノーコード | ローコード |
---|---|---|
プログラミングの有無 | 不要 | 一部必要 |
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
おすすめな方 | プログラミングができない方 | プログラミングができる方 |
ノーコードは完全にプログラミング不要でアプリやWebサイトの開発ができますが、ローコードは一部プログラミングを書く必要があります。
そのため、ノーコードと比較して開発経験の浅い方が開発するハードルは高くなりますが、ノーコードでは難しい開発内容にも対応できるメリットがあります。
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ノーコードのメリット
ノーコードのメリットとして大きく以下の3点が挙げられます。
- プログラミング不要でアプリやWebサイトを開発できる
- 開発コストを大きく抑えられる
- 素早い開発ができる
- 自社のイメージするシステムを開発できる
- 修正や改善を簡単に行える
それぞれ解説します。
プログラミング不要でアプリやWebサイトを開発っできる
先程も記載しましたが、ノーコードのメリットとしてまず、プログラミング不要でアプリやWebサイトの開発ができる点が挙げられます。
プログラミングの知識がない方でも比較的少ない学習コストで開発ができることから注目を集めています。
開発コストを抑えられる
ノーコードを活用することで開発コストを抑えることができます。
通常の開発ではエンジニアに依頼する必要があり、高い人件費がかかりますが、ノーコードではエンジニアに依頼する必要がありません。
そのため今まで発生していたエンジニアの人件費をそのまま削減することができ、コストを抑えることができるのです。
素早い開発ができる
ノーコード開発では素早い開発も可能になります。
コードを書く必要がなく、ドラッグ&ドロップの直感的な操作で開発できます。
開発内容にもよりますが、最短1日でリリースすることも可能です。
自社のイメージするシステムを開発できる
ノーコードを使うと、自社や担当者自身のイメージをそのまま実現したシステム開発につながりやすくなります。
外注の場合、開発目的や操作性、デザインなどを開発担当に伝えなければなりません。
すると正確に意図が伝わらず、イメージと異なるプロダクトができ上がってきたり、何度もやり直しを強いられたりすることも考えられます。
その分、無駄な時間がかかり、場合によっては追加費用がかかることもあります。
その点、「発案者=開発者」が可能となるノーコードの場合、最初から理想通りかそれに近いものの完成が期待できるでしょう。
修正や改善を簡単に行える
ノーコードなら、もしトラブルなどが発生しても、目の前のパソコン画面を見て、その場ですぐに修正や改善ができます。
細かいニュアンスや微妙なイメージの違いなどを開発担当に伝えるのは意外と難しく、それが開発の足を引っ張ることもあります。
その点、理想の完成系を理解している当事者が容易に修正作業にあたれるというのは、大きな強みといえるでしょう。
ノーコードのデメリット
ノーコードデメリットとして以下の3点が挙げられます。
- 機能・カスタマイズに限界がある
- プラットフォームに依存する
- 日本語に対応していないツールが多い
- 使いこなすまでに時間がかかる
- 大規模なシステム開発には向いていない
それぞれ解説します。
機能・カスタマイズに限界がある
現状のノーコードだと技術的に出来ないこともあります。
大規模で複雑なシステムを構築したい場合などにはノーコードは不向きでしょう。
複雑な内容の開発を行う場合はプログラミングを用いるかローコードの開発をおすすめします。
プラットフォームに依存する
ノーコードはプラットフォームに依存するというデメリットがあります。
基本的にプラットフォーム内の機能やデザインを利用することになります。
また、ツールのサービスが終了することにも注意が必要です。
ノーコードを活用して本格的にサービスをリリースしていく場合は、開発を始める前にツールの最近の動向や利用者数、調達金額を調べることをおすすめします。
特に資金の少ないツールはいきなりサービスが終了する危険性があるので、注意が必要です。
日本語に対応していないツールが多い
世界に約600種類以上のノーコードツールがありますが、大半が日本語に対応していないです。
そのため、初めて利用する方はそれなりの学習時間が必要です。
最近は日本語に対応するツールが増えているほか、国産のツールが増えてきていますので、よりノーコードを使いやすい環境になっていくと考えられます。
使いこなすまでに時間がかかる
ノーコードは2つの意味で使いこなすのに時間がかかる場合があります。
1つは、プラットフォームによって使い方がすべて異なり、上記のように日本語対応していないものもあるので、それに慣れるまである程度時間を要することです。
2つ目は、そもそも開発経験がない中でいきなりアプリやシステムを開発するといっても、何から手を着ければ良いかイメージできない場合です。
たしかにプログラミングをマスターし、一からコーディングすることを考えると、ノーコードは圧倒的に楽です。
しかし、「こんなアプリをつくりたい!」「おしゃれなデザインにしたい」という漠然とした考えがあっても、経験豊富なエンジニアのように完成までをイメージしにくく、慣れないうちは迷走する恐れがあるでしょう。
大規模なシステム開発には向いていない
ノーコードの場合、プラットフォームによって用意された機能でしかシステム開発ができません。
自由度や拡張性において限界があるため、大規模なシステムを構築したい場合には不向きです。
ただし最近では、AIやブロックチェーンといった最先端分野でもノーコードで開発できるサービスが普及しつつあるので、今後ますますその活用領域は拡大していくものと考えられるでしょう。
ノーコード開発ツールを選ぶ際の注意点
それではここから、実際にノーコード開発ツールを選ぶにあたっての注意点について解説しましょう。
用途に合っているか確認する
まず、ノーコード開発ツールが自分たちの求める用途に合ったものか確認する必要があります。
ノーコードと一口に言っても、その用途はさまざまです。プラットフォームによって提供している機能も大きく異なります。
マッチングサービスをローンチしたいのか、社内の業務改善に使うのか、サイトを公開したいのか、目的や解決課題に合ったプラットフォームを選択する必要があります。
あらかじめ入念に確認をしたうえで用途に合ったツールを選択しましょう。
無料でツールを試す
次に、有料版のツールであってもすぐには購入せず、無料トライアル期間などを利用して使いやすいか確認しましょう。
ノーコードは無料ツールが多数リリースされています。有料版の方が使える機能が多いのはもちろんですが、まずは無料で使ってみるのがおすすめです。
無料ツールだけで開発できるものも多数あるので、慣れる意味でも無料版を試してみましょう。
操作がわからない場合のサポート体制についても確認しておいてください。
複数のツールを試してみて、使用感が掴めてくると、最適なツールを判断する目も養われてくるはずです。
拡張性やセキュリティを確認する
そして、ノーコード開発ツールの拡張性やセキュリティについても事前にチェックしておきましょう。
アプリやシステムは開発して終わりではなく、機能の追加やデザインの変更など、改善を重ねながら運用していくものです。
現時点で実装予定の機能だけではなく、将来必要になるであろう機能などにも対応しているか確認しておくと良いでしょう。
セキュリティ対策も不可欠です。サービスの公開を考えているなら、情報漏洩やシステム障害は、致命傷になりかねません。
プラットフォーム自体に脆弱性がないか、どういったセキュリティ対策が行われているか、を確認しておきましょう。
おすすめノーコードツール
こちらの章では、ノーコードツールを紹介します。
いずれも無料プランおよび無料トライアルを活用することで、無料で利用することができますので、興味のある方は実際に利用してみてください。
- Bubble(バブル):アプリ開発
- STUDIO(スタジオ):サイト制作
- Zapier(ザピアー)・ツール連携
ぞれぞれ解説します。
Bubble(バブル):アプリ開発
Bubble(バブル)は、アプリを含むWebシステム全般を開発できるノーコードツールです。
Bubbleの特徴として、カスタマイズ性が高い点が挙げられます。
一般的にノーコードツールは、カスタマイズ性が低いというデメリットがありますが、Bubbleはノーコードツールの中でもトップクラスにできることが多く、柔軟な開発が可能です。
日本語に対応しておらず初心者の方が扱うには少し難しいですが、日本語の情報も増えており学習しやすい点もポイントです。
STUDIO(スタジオ)|Webサイト制作
画像出典:PR TIMES
STUDIOとは、Webサイトの作成に最適なノーコードツールです。
STUDIOの特徴は、簡単にデザイン性の高いWebサイトを作成できる点です。
日本語に対応しているため、初めて利用する方でも簡単に扱えます。
Zapier(ザピアー)|データ連携
Zapierは複数のアプリケーションを使った作業を簡単に自動化できるノーコードツールです。
主要なウェブサービスから、SNS、CMSまで、約2,000種類ものツールやサービスの連携が可能です。
別々に使っていた各アプリを自分好みのワークフローに設定することで、自動的に作業を進められます。工数の削減や誤作動の予防、時間短縮にも役立つおすすめのノーコードツールです。
また、その他のノーコードツールについて知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
- Adalo
- AppSheet
- Airtable
- Webflow
- Glide
- Shopify
といった幅広いノーコードツールを紹介しています。
ノーコードの将来性は高い?
結論、ノーコードの将来性は高いと言えます。
Research and Markets社の市場予測によると、2020年から2030年の間に31.3%の年平均成長率を記録し、2030年には1907億円に達すると予測されています。
また、ノーコードは近年問題とされているエンジニア不足を解消するための技術として注目されており、ノーコードを扱えるスキルを身に付けることで将来的に市場価値の高い人材を目指すことも可能でしょう。
記事冒頭でも記載しましたが、国内企業の約37.7%がノーコード/ローコードを導入しており、いかにノーコードが一般的なものになっているかがわかります。
導入する・しないは別として、選択肢の1つとしてノーコードを頭の片隅に置いておくことをおすすめします。
ノーコード開発のよくある質問
最後に、ノーコード開発のよくある質問について回答します。
プログラミングができなくても使えるか
ノーコードはローコードとは異なり、基本的にプログラミングの知識は不要です。
はじめのうちは時間がかかったり、英語を理解したりする必要がある場合がありますが、いずれも慣れればクリアできるでしょう。
慣れるまでの時間はどのくらいか
ノーコードに慣れるまでの時間は、ITスキルや選択するプラットフォームによって差があります。
少なくともコードを書くよりは早く慣れることができます。
ノーコードでプログラマーの仕事がなくなるのか
上述のように、2023年には6割のアプリがノーコードかローコードにシフトすると言われています。
よって一部のプログラマーは不要になる可能性があるでしょう。
しかし、設計などの上流工程を担当するエンジニア、コードが必要な大規模な開発のニーズはこれからも変わらないでしょう。
ノーコードは安全性が低いのか
一般的なアプリケーションやシステムの用途では、ノーコードの安全性に問題はないと言えます。
むしろフルスクラッチで開発する場合と比べて、ノーコードはプラットフォーマーがセキュリティ対策をしてくれるため、コストをかけずに万全のセキュリティ対策が可能です。
ノーコードはSEOに弱いのか
利用するツールによってはSEOに弱い可能性もあります。
しかしノーコードでも、「タイトル」「メタディスクリプション」「アナリティクス連携」「Faviconの種類」などの設定が可能で、実際にこれらをうまく活用して上位表示に成功している例は数多く存在します。
もし問題があるとすれば、ノーコードによるものというよりも、SEO対策についての知識や環境設定不足に起因している可能性があります。
ノーコードとは|まとめ
ノーコードついて解説しましたが、参考になったでしょうか?
ノーコードを活用することでプログラミングを用いた開発方法より工数・費用を抑えることができます。
大半のノーコード開発ツールは無料から利用できますので、興味のある方は実際に利用してみてください。
また、NoCode DBを運営する「ツクル事業部」では、ノーコード開発サービスを提供しています。
「ざっくばらんにノーコードについて聞きたい」といったご要望も受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
最後まで読んで頂きありがとうございました。