Webアプリを開発してみたいけれど「どんな知識が必要?」「効率よく学習できる方法はある?」こんな疑問を抱えている方は少なくないでしょう。
そこで本記事では、Webアプリの基本情報から開発に必要なもの、手順について解説します。また難易度高めのコードを使わずにWebアプリを開発できる、ノーコードツールもご紹介。
開発方法をマスターすればアプリを作れるようになるだけでなく、エンジニアとして転職することもできます。開発したアプリがヒットすれば、収益化につながる可能性も…!未来が広がるチャンスでもあるので、ぜひ記事を参考にWebアプリ開発にチャレンジしてみてください。
Webアプリ開発って何?どんなものが作れるの?
Webアプリとは、インストールせずにインターネット接続で利用できるアプリケーションソフトウェアのことです。
代表的なWebアプリには、以下のものがあります。
- YouTube
- Amazon
- 楽天
- 食べログ
- クックパッド
- Slack
- Skype
- ChatWork
「Webアプリって何?よく分からない…」という方も、実は普段からWebアプリを利用していたりします。
インストールせずに利用できるWebアプリは、手軽に始められるので便利です。また会員登録をしてアカウントを作成すれば、複数の端末で情報を保ったまま利用できます。スマホやパソコン、タブレットなど外出先でも情報を共有できるので、とても利便性が高いです。
Webアプリ開発には、さまざまな専門的な知識が必要になります。具体的に開発する方法を説明する前に、まずはWebアプリが動く仕組みについて解説していきましょう。
*端末内にインストールして使用するアプリは「ネイティブアプリ」と呼ばれるアプリの種類です。
▶ネイティブアプリとは?Webアプリと何が違うの?開発言語や将来性も解説!
小学生でもわかる!Webアプリが動く仕組み
Webアプリは以下3つの仕組みを経て、ユーザーに情報を表示しています。
- フロントエンド
- バックエンド
- データベース
人によっては初めて耳にするワードもあるでしょう。小学生でも分かりやすいよう、動画共有サービス「YouTube」を例にして解説します。
フロントエンドとは?
ユーザー自身に表示される部分、データ入力などの操作できる部分を指します。例としてYouTubeのフロントエンドは、サイト自体のデザインや動画の検索、再生・停止、コメント、評価などです。
フロントエンドのプログラムを開発する専門職を「フロントエンジニア」と呼び、プログラム言語を利用して制作しています。フロントエンドを開発する際に使用されるプログラム言語は、主に以下の3つです。
- HTML
- CSS
- JavaScript
バックエンドとは?
ユーザーに見えない部分、直接操作できない部分です。YouTubeのバックエンドは、ユーザーが動画を検索したときに、その情報を元にデータを処理してフロントエンドへ送ります。また情報を保存するのもバックエンドの役割です。
バックエンドを開発する際に使用されるプログラム言語は、主に以下の3つがあります。
- PHP
- Ruby
- Python
- JavaScript
データベースとは?
大量のデータを保管し、再利用しやすいようにまとめた集合体です。Webアプリではデータベースが情報を記憶したり、ユーザーに適したデータを取り出して表示しています。
例えばYouTubeのデータベースは、投稿された大量の動画を保管する場所です。ユーザーが過去に視聴した動画や検索ワードから、求めている情報をくみ取り優先的に表示します。
つまりデータベースは、情報の出し入れがおこなわれる場所です。Webアプリではデータベースから必要な情報を抽出して表示することで、ユーザーが求める情報を見つけやすくしています。
【結論】Webアプリはフロント・バック・データベースの連携で動く
Webアプリは、3つの仕組みがあって成り立っています。
フロントエンドでは、ユーザーが知りたい情報を検索。するとバックエンドが、入力された情報を元に適切な検索結果をフロントエンドへ送ります。バックエンドから送られた情報をフロントエンドは分かりやすく表示することで、ユーザーに情報提供ができるのです。
そしてデータベースは、情報やデータを出し入れするときに活躍するので、どれもWebアプリには欠かせません。
このようにWebアプリは、フロント・バック・データベースの連携がとても重要です。開発には複数のプログラム言語が必要になるので、使い分けられるようにしておきましょう。
Webアプリの開発フロー|どんな手順で作ればよいの?
それではWebアプリの作り方について説明します。
- 企画・アイデア立案
- スケッチ
- ワイヤーフレームの作成
- モックアップ作成
- データベース設計
- 開発に使用する言語の決定
- Webアプリ開発のフレームワークの決定
- Webアプリ開発ツールの決定
- 制作
- 動作確認
- リリース
多くの手順があるため一見難しく思われがちですが、基礎がしっかりしていれば、簡単なWebアプリならそれほど難しくありません。開発の流れに沿って、それぞれの工程を解説します。
企画・アイデア立案
Webアプリの根幹であり、とても重要な工程になります。企画・アイデア立案がしっかりしていないWebアプリは、何を目的に作られたのか分からず失敗する可能性が高いです。
企画・アイデア立案では、以下2つを明確にしなければいけません。
- コンセプト(何を目的に作るのか)
- ターゲット(誰のために作るのか)
コンセプトとターゲットを元に、どのような機能が必要になるのか、予算や収益化の可能性などを考えていきます。
スケッチ
企画・アイデア立案で決まったアイデアを描き出す工程です。
言葉だけでなく図や絵を用いて描き出すことで、足りない部分や不安要素などに気付きやすくなります。スケッチは企画・アイデア立案を表わし、まとめる作業です。
ワイヤーフレームの作成
ワイヤーフレームは、いわゆるサイトの設計図です。ロゴ・コンテンツ・メニュー・ボタンなどをどの部分にどのように配置するのか決めます。
ちなみにワイヤーフレームの作成では、色や画像まで決める必要はありません。紙に書き出しておくだけで良いので、新たにツールを覚えなくて大丈夫です。
モックアップ作成
ワイヤーフレームまで作成できたら、モックアップを作成してデザインに問題がないかを確認します。
そもそもモックアップとは模型を指していて、サイトのサンプルを作る工程です。文字の大きさや配色、ボタンの位置などが視覚化され、見やすさや利用しやすさをユーザー目線で確認できます。
モックアップを作成することで、イメージとの食い違いを防げます。大幅な仕様変更のリスク回避にもつながり、効率よくWebアプリを開発できるのです。
データベース設計
データを保存する場所、データの流れを決める工程です。
例えば、ユーザーがログインしたとき、入力した情報とデータベースの情報が一致しているかどのように確認するかを決めます。またユーザーがWebアプリを利用するときに登録した情報をどのテーブル、カラムに収納するかなどを検討する重要な工程です。
開発に使用する言語の決定
200種類以上あるプログラミング言語の中から、開発に使用する言語を決めます。
プログラミング言語は大きく別けて「フロントエンド言語」と「バックエンド言語」があります。言語によって特徴や得意分野は異なり、開発するWebアプリに適した言語を選定しなければいけません。
Webアプリ開発に慣れていない方は、一般的によく知られているプログラミング言語を使用するのがおすすめです。代表的な言語には、以下のものがあります。
- HTML / CSS(フロントエンド言語)
- JavaScript(フロントエンド言語)
- Ruby(バックエンド言語)
- PHP(バックエンド言語)
- Python(バックエンド言語)
Webアプリ開発のフレームワークの決定
フレームワークは、Webアプリ開発の効率向上を目的に使用する開発専用のツールです。
そもそもフレームワークとは日本語で「骨組み」のことです。Web開発のコードを0から入力するのは大変ですが、フレームワークを利用すれば、骨組みに機能を追加するだけ。作業が簡略化されるので、効率よくWebアプリが開発できます。
Webアプリ開発ツールの決定
開発ツールを使うことで、効率よくWebアプリを作成できます。作業工程を効率化することで、開発から完了までにかかる時間の大幅短縮が可能です。
Webアプリ開発ツールには、以下のものがあります。
- Sourcetree
- GitHub
- Bitbucket
- Vagrant
必ずしも、すべてのツールを使いこなす必要はありません。ツールの使用方法を覚えるのに時間がかかっても仕方がないからです。まずは、必要そうなツールを選定することをおすすめします。
制作
企画とプログラミング言語、そして使用するツールが決まれば、いよいよ制作へと移ります。
プログラミング言語やフレームワークを活用し、開発を進めます。Webアプリ開発では順に沿って制作するよりも、簡単に実装できる部分から制作するのがおすすめです。そうすることで、入り組んだコードになりにくく、作業がスムーズに捗ります。
動作確認
入力したコードに誤りがないか、設計書通りに動くかを確認する工程です。確認する際は、以下のポイントに注目してください。
- 処理成功時の動き
- 処理失敗時にエラーが出力するか
- データは登録されているか
動作確認で問題なければ、いよいよWebアプリを公開できます。
リリース
最後はWebアプリをリリースして、誰でも見れる状態にしましょう。リリースする方法は2つあります。
- 自分でサーバーを立てて運用する
- レンタルサーバーを借りて公開する
自分でサーバーを立てるには時間や費用がかかるので、一般的にレンタルサーバーを利用する方が多いようです。ドメインを取得し、サーバーにアップロードすればWebアプリが公開されます。
Webアプリ開発をしたい方におすすめの言語5選
Webアプリを開発するにあたって、複数の言語を使用します。言語は大きく別けて2種類。直接ユーザーが目にする部分を実装する「フロントエンド言語」、そしてユーザーには見えない部分を実装する「バックエンド言語」です。
今回は200種類以上あるプログラミング言語の中から、おすすめの言語を5つ紹介します。
- HTML / CSS
- JavaScript
- Ruby
- PHP
- Python
HTML / CSS
HTMLとCSSが持つ役割は異なります。しかしセットで使用されることがほとんどなので、一緒に覚えておくと良いでしょう。
HTMLは文章やリストなど、ページを作るために絶対必要となる言語です。タイトルや見出し、本文はもちろん画像や動画の挿入などもHTMLによって決められています。
そしてCSSはHTMLの補助的な役割を担っている言語です。厳密にはHTMLだけでもWebアプリを作成することはできますが、殺風景で面白みのない内容になります。
背景の色、文字のフォント・大きさ、画像の位置などはCSSで設定します。HTMLと組み合わせることで、イメージをより現実的なものに仕上げられるのです。
JavaScript
Webページに動きをつけるフロントエンド言語です。具体的には、以下のことができます。
- ボタンを押して表示する
- 背景の色を定期的に変える
- スライドショーのように画像を変える
- 画像を拡大表示する
- 入力フォームからのメッセージ送付
このようにJavaScriptを使うことで、より魅力的なWebアプリの開発に役立ちます。
Ruby
日本のソフトウェア技術者である、まつもとゆきひろ氏によって開発されたオブジェクト指向スクリプト言語です。Rubyの特徴は、文法が分かりやすくコードがシンプルであるところ。簡易的にコード入力が可能になり、効率よくWebアプリを開発できます。
よく使われる機能として、ログイン時の認証機能やデータ管理などがあります。例えば、ユーザーがログインするときに入力した情報が正しいか判断する際もRubyが便利です。
PHP
Webページに動きをつけるバンクエンド言語です。
またPHPは、世界最大のCMSであるWordPressでも採用されています。WordPressのシェアは2020年1月時点で60%を超えており、PHPがどれほど多くのWebサイトで使われているかが分るでしょう。
仕様や文法は比較的簡単なので、初心者も取得しやすい言語です。
Python
文法がシンプルで分かりやすいPythonは、初心者も取得しやすいバックエンド言語です。WEBアプリやデスクトップアプリ、組み込み開発でよく使用されます。
人工知能や機械学習の分野でも使われることが多く、若者に人気のInstagramでもPythonを使ってサービスを提供しています。
Webアプリ開発ならノーコードもあり!おすすめノーコードツール
「Webアプリは作りたいけれど、プログラミングを勉強する時間がない…」
「アイデアはあるのに、プログラミングが苦手…」
このような方におすすめなのが、ソースコードを記述せずにWebアプリを開発できるノーコードです。
ノーコードを利用することで、専門的な知識がない方もイメージ通りのWebアプリを制作しやすくなります。おすすめのノーコードツールは、以下の2つです。
- Glide
- Bubble
それぞれの特徴を紹介します。
Glide
引用元:Glide公式HP
10万人以上の人々と企業がアプリ開発で使用したノーコードツールです。Glideを使用して作られているサイトには、以下のものがあります。
- Costco
- Uber
- NASA
- zoom
- GRUBHUB
- Whirlpool
Glideの特徴は、Googleスプレッドシートをデータベースにしていて、視覚的にアプリ開発ができるところです。使用方法は用意されているテンプレートやボタン、アイコンを選ぶだけ。スマホでサクサク作れるので、初心者でもイメージを表現しやすいです。
プラン名/月額料金(※) | できること・特徴 |
パーソナルアプリ/無料 | ・モバイルレイアウト
・500のデータ行 ・1,000枚のシート更新 ・パブリックサインイン ・グライドブランディング ・100MBのファイルストレージ ・glideapp.ioドメイン など |
プロアプリ/月々32ドル | ・モバイル、タブレット、デスクトップレイアウト
・25,000行のデータ ・無制限のシート更新 ・10GBのファイルストレージ ・カスタムドメイン ・グーグルアナリティクス ・1GBまでのファイルをアップロード ・背景シートの再読み込み など |
プライベートプロアプリ/月々40ドル | ・20 人のプライベート ユーザーが含まれる
・プライベートサインイン ・メールによるアクセス制限 ・ロールベースのセキュリティ など |
エンタープライズ/要問合せ | ・無制限のアプリ
・優先順位サポート ・専用カスタマーサクセスマネージャー ・セキュリティ監査コンプライアンス ・カスタムサービス契約 ・エンタープライズレベルの拡張性 など |
※月々支払いの場合
Bubble
引用元:Bubble公式HP
無料で始められるBubbleは、コストをかけずにWebアプリを開発したい方におすすめのノーコードツールです。
HTMLやCSSの知識がなくても、Webアプリの見た目をドラッグアンドドロップで簡単に作ることができます。コード入力とは違い、常に映像が視覚化されているので、初心者も扱いやすいです。
またBubbleは個人だけでなく、チームでアプリ開発したいときにも便利です。共同作業者が何を入力・変更しているのかがリアルタイムで分かります。フィードバックも提供してくれるので、席を離れていても後から確認できるので便利です。
プラン名/月額料金(※) | できること・特徴 |
無料プラン/無料 | ・基本的なサーバー容量
・0.5 GBのファイルストレージ ・サポート体制はコミュニティ ・アプリケーションエディタは1つ など |
個人プラン/月々29ドル | ・基本的なサーバー容量
・10 GBのファイルストレージ ・サポート体制は電子メール ・アプリケーションエディタは1つ ・過去7日間のデータのバックアップと復元可 など |
プロプラン/月々129ドル | ・3つの予約ユニットのサーバー容量
・20GBのファイルストレージ ・アプリケーションエディタは2つ ・サポート体制は電子メール ・過去30日間のデータのバックアップと復元可 など |
生産プラン/月々529ドル | ・10個の予約ユニットのサーバー容量
・50GBのファイルストレージ ・アプリケーションエディタは15個 ・サポート体制は優先メール ・過去365日間のデータのバックアップと復元可 など |
※月々払いの場合
Webアプリの開発事例3選
ここまでWebアプリ開発に必要な知識や手順について解説しました。では、具体的にどのようなWebアプリが開発されているのでしょう?皆さんも利用したことがあるであろうWebアプリの開発事例を3つ紹介します。
- 食べログ
- Wantedly
- note
食べログ
引用元:食べログ公式HP
食べログは、お店を探したり予約を入れたりできるグルメ情報サイト。
日本全国の料理店をさまざまな条件付きで検索できるので、自分好みのお店を見つけやすいのが特徴です。またユーザーは写真つきで口コミを掲載するので、より具体的な情報を得られます。
そんな食べログの開発にはRubyが使われました。会員登録やログイン、検索、予約などのさまざまな機能がRubyで作られています。
Wantedly
引用元:Wantedly公式サイト
Wantedlyは、求人者と求職者をマッチングさせるビジネスSNSです。
一般的な求人サイトとは違い、Wantedlyは独特な新しいカタチでの求人活動を採用しています。
例えば、
- 求人情報には給与・待遇の記載をNGにする
- エントリー前に話を聞く機会を設けて応募ハードルを下げる
など、他にはない手法で求職活動をサポートします。
Wantedlyも食べログと同じく、開発言語にはRubyが使用されました。
note
引用元:note公式HP
ユーザーがクリエイターとなり文章や画像、音声、動画を投稿。そして読者となるユーザーが記事を気に入れば「スキ」や「フォロー」をして、クリエイターを応援できるプラットフォームです。
話題になった記事は次々と書籍化されるなど、noteは多くの方が注目しているWebアプリでもあります。SNS機能も付いていて、クリエイターとユーザーがつながりやすいところもポイントで、ここ数年で一気に認知度を広めた人気のサービスです。
そんなnoteの開発言語には、RubyとJavaScriptが使用されています。
まとめ:初心者でもWebアプリ開発はできる!
Webアプリはしっかりした企画・アイデアがあり、作る工程と便利なツールを駆使すれば初心者でも開発ができます。最初に開発する際は時間がかかり、問題も山積みに抱えるでしょう。それでも何度も繰り返し作ることで、いろいろな問題が解決していくはずです。
Webアプリを開発できるとWeb業界では重宝されやすくなります。まずはノーコードツールを活用して、アプリ開発を体験するところから始めてみませんか?