幹事さん にスポットライトを当てた 業界初の飲食店プラットフォーム。 ‐ 株式会社YUKARI 代表取締役 渡部 久美子

今回は、飲食業界初 飲み会幹事の信用スコア化サービスを手掛ける株式会社YUKARIの代表取締役 渡部さんにインタビューを行いました。

昨今、飲食店への無断キャンセルやマナーの悪いお客様が増えてきています。そういったリスクを抱えていらっしゃる飲食店の課題を解決するサービスが株式会社YUKARIが手掛ける「food back」です。

飲食店が評価され、口コミ、料理人が見える化されているサービスはありますが、「幹事も評価され、見える化されるサービスもあればいいのでは?」というアイデアからスタートしたという、異端なプラットフォームです!

渡部 久美子(わたなべくみこ)

 

経歴:

大学卒業後、ソフトバンク(旧:ソフトバンクBB株式会社)に入社し、女性では異例のスピード出世をする。第二子の育児休暇後、第二のステージアップを志し退社。個人事業主での新規事業企画、PMやBPRコンサル、イベントプロデューサーの経験を経て、株式会社YUKARIの代表取締役に就任。2021年4月日本初の磐梯町地域プロジェクトマネージャーに就任し、就任を機に、磐梯町へ家族移住する。

 

◎創業経緯を教えてください。

私はソフトバンクを34歳でやめて、個人事業主として数年働いてから株式会社YUKARIの代表になったんですが、起業の準備っていうのは29歳から始めたんですよね。

なので実際には退職すぐ起業しようとかではなくて、毎週セミナーに通ったり、すでに起業されてる方から色んな事を学ばせていただきました。

 

自分自身の人脈をしっかり広げていく事と準備が大事だって教えていただいたので。いきなり数千万とか1億円の資金調達をして起業するんではなく、人脈作りや人との交渉をどうするんだろうっていう事を動きながら学びました。その時に気づいた事が、人と出会う場に必ず「食」が存在してるって事なんです。当たり前の事だけど、食がもつ力って凄いなって思ったんですよ。

 

実は、私は小さい頃ご飯食べるのが嫌いだったんですよね。お母さんの料理は凄く美味しかったんですけど、なんか多分食事をするっていう行為自体が全然楽しくなくて、お箸が全然進まなくて家族の中でも一人だけおかずを残しちゃうタイプだったんですよね。

うちの父が厳しかったので、家族が食べ終わってテレビ見てるのに、一人で電気が消えたダイニングで食べ終わるまで席が立てなかったんです。なので、本当に食事の時間が嫌いでした。

 

でも、イベントをやるのは好きだったので、家族でクリスマス会をやったりお誕生日会をやったり、食を通してみんなで盛り上がる時間だけは好きだったんですよ。だから、他の人以上に食が持ってる力に魅了されたんですよね。あえて嫌いで、興味のあるところに突っ込んでみたいって思ったのが本当のきっかけです。

 

◎幹事さんに注目された理由はなんでしょうか?

「食」は日常生活の中に入り込んでいるので、マーケットも広いけれど、その分参入者も多いんですよね。飲食店を出したり、飲食プラットホームをやるとか、マッチングするとか、その中で勝っていく事が難しいんです。私たちの事業の中心核のfood backっていうサービスは、劣等者の中で戦略として勝たせていくために、尖らせ方をどこに持っていくかっていう観点で、幹事さんに着眼した事がポイントです。

 

幹事って実はアンダーグラウンドの世界の言葉なんですよ。会社で言うと「お前飲み会の幹事やってよ」って言われたら、下っ端がやるイメージですよね。大体今から10年ぐらい前に、パーティー業が流行っていて、パーティーで収益を上げていくような見え方をする時代が来て、そうすると幹事さんに対するイメージがマイナスになったりしたんです。凄いとかかっこいいっていう風になるよりかは、大変だねーとかまとめ役だねーとか、パリピみたいな感じで、嫌な印象を持つ人が出て来たりする時代が来たんです。

 

◎確かに、幹事をやるのは下っ端のイメージはあります

でも幹事ができる人って、本当は仕事もできる人なんですよ。飲み会に参加する人を集めないといけないので、集客力にたけている事。また、誘う行為だけじゃなく、お店選びなど、楽しさやわくわくを伝えるための作業も必要ですよね。仕事でいうと、商談前の事前準備です。そして、飲み会が始まってから終わるまでは、全員が盛り上がるようにする。「また飲み会を開きたい」とか、「今日会えて良かった」ってなるように、その企画自体をプロデュースもするし盛り上げもするし、気も使う。最後にお会計をして、皆が帰った後のアフターフォローまでする。その一連の流れを、幹事さんは1つの仕事として、PDCAを回してるんですよね。なので、一人の人間として素晴らしい人間力が身につくんです。

 

これからフリーランスの世の中だと思うので、個人で飲み会を総合的にプロデュースをする経験によって、例えば営業代行や、人材紹介するとか、どんな仕事にでも通用するような力を身に付けて頂けるといいなっていう風に思っています。1つのサービスを利用して稼ぐだけではなくて、自分自身がどこに行っても稼いでいけるようなスキルを身に付けてほしいです。

 

なのでfood backのサービスは、幹事さんが店舗さんから評価される時に、飲み会の回数とかキャンセルの回数とか何人集客して何円以上の飲み会をしたっていうのを全て定量化していて、それを信用度っていう形でラベリングしています。色んな人がイメージの良し悪しっていう定性的な評価ではなくて、「この方は大体5000円位の平均単価で毎回8人以上の集客を行っていて、予約したもの全て無断キャンセルをしない、信用できる集客力を持ち、プロデュース力も持った幹事です」っていう風にしっかりと1つの市場の指標としてご提供できるレベルにしています。そうする事によって、その人がどこにいっても色んな仕事が出来るような土俵を作りました。

 

◎事業立ち上げに、苦労はありましたか?

幹事さんが満足して頂けるための掲載店舗を獲得するのが一番大変でした。そこに対しては全くインフラをもってなかったので、全て飛び込み営業、もしくは飛び込んだ先に紹介して欲しいっていうチラシを配ったりするっていう形で頑張りました。山手線内が一番にホットゾーンになるので、新宿、渋谷、新橋をやっぱり中心的に営業して行きました。

 

飲食店には飲食店の掟があったり、カラーがあったりするので、カラーが違うお店が1つのサイトに載せられる事を怪訝に思う方もいらっしゃったり。この店の横に自分の店がある事が嬉しい人もいれば、嫌な人もいるっていうのが初めての気づきでした。営業する上で、営業先の仕組みを全く知らない人が参入したっていうところが一番大変でした。営業が気合いだけで行ってもナレッジを持って帰らないので、ナレッジをしっかり社内の中で貯めて学びながら頑張りましたね。

 

ユーザーの獲得に関しては、話題になっていたオンラインサロンを利用しました。オンラインサロンのコミュニティ、イコール人脈なんですよね。そして、そのコミュニティを維持するために飲み会っていう行事自体がパワフルな材料になっているので、オンラインサロン向けに提携させていただいたり、お声かけをさせていただいて幹事さんとなるような人の獲得に動きました。なので広告を打つのではなくて、紹介や口コミで広がっていったので、起業前に人脈づくりを大切にしてきたことが生かされました。

 

◎コロナ禍の影響はどうでしたか?

スピンアウトして創業したのが2020年で、コロナが流行ったのが2020年5月。事業譲渡など全て完了させて、やっと乗り始めたのが3月ぐらいだったので大変でした。天は私にチャレンジというフィールドをプレゼントしてくれました。

 

サービスとしては、ユーザーに人数制限など守らなければいけないものをしっかりと注意喚起をしました。最終的には1つのプラットフォームとして、ユーザーの予約と飲食店の予約確定を受けるためのシステムなので、サービス自体は止めずにやりました。

 

飲食店を支援するって言ったらおこがましいですが、幹事さんと私たちが一緒になって飲食店を盛り上げたいという思いがあったので、food backとしても飲み会以外の使い方ができないかと模索しました。飲食の提供ができないけれど、そのスペースを空きスペースとして使う方法はないのかっていう事で、幹事さんが使いたいプランを入れたりしました。また、政府も行動制限してない時期に関しては、二人だけで食事に行ったりする事もできたので、サシ飲みを押して飲食店を応援しようキャンペーンとか、そういった形でコロナ禍とうまく付き合いながらやっていけるようなサービスっていうのもfood backの中のサービス改編で入れました。

 

既存のサービスを時代に合わせて状況に合わせて変えていく事と、そこに依存するのではなくて新しい柱を建てるっていう事を並行しています。

 

◎地方創生事業やEC事業などの新規事業立ち上げの際、意識されたことはなんでしょうか?

今回のコロナ禍を経験して広がったマーケットは確実にあると思っていて、地方再生のオンラインイベントを開催したんですが、このマーケットは今後切っても切り離せないという風に思ってます。これはいい意味で参入したいっていうより、そこをとっていかないと生き残れないっていう危機感も含めて、オンラインでのサービス展開っていうのは非常に重要だと思います。

 

新規事業を立ち上げる際には、ある程度ノウハウがあれば気合いと根性で行けるんですよね。ただ、0から立ち上げた1を10にするポイントが結構大変ですね。私自身、それをやっていくにはまだ時間やリソースが足りないっていうのは明確で、それをまさに三期目にしっかり整理して、やっていこうというのが課題ですね。

 

◎創業の数日前に第3子を出産されたとお聞きしました。育児と事業を両立できる原動力はなんでしょうか?

大変なことも嬉しいことも辛いことも悲しい事も、誰の人生にも全部あると思ってるんですよ。辛くても歯を食いしばってめっちゃ元気に笑って、楽しんだ先に、事業を創り上げる価値があると思います。

 

未来に生きる子供達や、世界の人達が豊かになる、幸せになるために仕事を残すことが私の使命だと思ってるんです。そのためには大変な事がいっぱいあるのは当たり前なんだから、明るくいるか暗くいるかというと、明るくいた方が絶対良いと思ってるだけなんですよね。結構ネガティブシンキングもするんですよ、でもより明るく過ごそうと思ってるだけなんです。

 

ー 株式会社YUKARIさんの情報 ー

会社HP:https://yukari-goen.co.jp/

food backサービスサイト:https://foodback.jp/

UTAGE:https://utage.yukari-goen.co.jp/