沖縄県に特化した沖縄初のメディア型プラットフォーム「イエキメル」や、100万円未満の小規模リフォームに特化したリフォームサービス「クイック工房」を中心に、VR事業やリフォーム事業、業務効率化システム開発事業など、住宅関連会社に向けた様々なサービスを展開中。新築注文住宅に関するイエキメルの第2フェーズの開発も進行中であり、不動産や住宅を通して「すべての人々に価値ある選択肢」を提供できる体制を構築しています。
佐渡山 貴大‐Links株式会社‐代表取締役/創業者‐
経歴:沖縄県宮古島市出身。高校卒業後、沖縄県内の大学に進学。在学中に留学をしたことにより海外で仕事をしたいと考えるようになり、日本以外でも不動産投資などを展開している神奈川の総合不動産会社に入社。在籍中はカンボジア支店初の常駐マネージャーに就任し、1年半ほど経験を積んだ後、タイに作られた新しい子会社の社長に抜擢。数年後、次第に沖縄に拠点を移して新しいビジネスに挑戦するため、2020年4月に「Links株式会社」を設立。
◎起業までの経緯を教えてください。
タイバンコクにて不動産会社を立ち上げた後、2017年に沖縄バンコク間の直行便が就航したことがきっかけで、沖縄の地理的優位性を活かして私たちのノウハウをぜひ沖縄に活用できればと考えるようになりました。
2019年頃から日本とタイを行き来して起業の準備を行っていましたが、日本に滞在していた時に新型コロナウイルスの影響でタイがロックダウンされ戻ることが出来なくなりました。この出来事がこの会社のスタートに繋がっています。
◎どうしてこの出来事がスタートに繋がったんですか?
起業に携わったメンバーは半年前から会社を退職して準備を行っていたので、このままスタートさせざるを得なかったとも言えます。そこからそのメンバーと一緒に、過去の経験を活かして不動産と何かを掛け合わせたサービスが出来ないかお客様にヒアリングを行い、その上で事業を始めました。
◎ヒアリングをされる中でどういったことが大変でしたか?
県民性が関係するかは分からないですが、自分自身のことを積極的に語る方が少なく、ヒアリングがしづらかったのが個人的には大変でした。これは過去に東南アジアの新興エリアで勤務していた時も同じで、不動産業者と他社が協業すること自体が少ないので、あまり話したがらない方が多い印象でした。ただ、何回も訪問してヒアリングを行っていくと「自分の会社が具体的にどんな課題があるかも分からない」という会社も多くあることに気づきました。まだサービスが立ち上がっていない中で「このサービスならどうですか?」と提案したりすると跳ね返されることもあったので、「なんで分かってくれないんだろう」という葛藤もありました。
◎その中で意識されたことはありましたか?
こうなってくると、ヒアリングの仕方がとても大切になってきます。お客様との会話の中から何かを引き出そうと、とにかく「聞く」に徹して、会話を引き出すことを意識して行っていました。マニュアル的に会話をしてもうまく行かない事も多いので、意識レベルで聞くことを徹底して、ヒアリングを行いました。
◎実際にサービスを開始されてどうでしたか?
実際にやってみて失敗から学ぶことが多く、現状で言うとマネタイズを修正しているところです。会社として向かっている方向性が明確ではなかったので、ここにストーリー性を持たせる事で提供しているサービスがより伝わるように軌道修正を行っています。
元々リフォームやリノベーションに関するサービスを創業時に行っていましたが、ここから既に失敗してたかもしれません。
我々としては特に「価値選択」に重きを置いているので、僕らのサービスを導入してもらうことでユーザーが「住に関する」「人生に関する」ありとあらゆることを選択できるようにしていきましょうという形でやっています。
そうするとリフォームやリノベをやる人はともかく「新築を選択する人はどうなんだ」という話になってしまうので、お客様が離れていくんです。でも最初に新築で入ってきたお客様が「やっぱり中古物件がいい」となっても、経済圏があればお客様が離れることなく僕らの経済圏で回るので、改めてこの形を作る事が重要だと思っていま動いています。
その他には、特にリフォーム業界では技術面での競争というよりは価格競争が激しく、中にはクオリティーの判断も難しくなっているので、ここにある負を解決することが重要だと考えています。サービスの色分けが難しい部分もあるので、まずは新築から事業をスタートさせるべきだったと思っています。新築は特に作り手によって色が異なり、オリジナリティが色濃く出るのに比べて、リフォームだと基本的には何かの修繕になるので作り手が異なることで何か差別化されるものが生まれにくいところがあるんです。ここの違いが根本的にあるのに気づけたのが大きかったですね。
◎リフォームだとオリジナリティのよい技術的な部分が重要にはなりますね。
特にリフォーム業者に依頼をするお客様が価格の次に求められるのが「安心」なんですよね。
安心か、安全か、どういう人がやるのか。僕らは選択をする際にこれらが明確に分かるようにしようとしました。ただ、最初にこれを始めてしまったことで、収益構造的に利益を賄いづらいんですよ。プラットフォームだと認知の獲得に時間を多く要するので、体力勝負になってしまうんです。我々は資金調達を行っていたわけでもなかったので、この部分は大変でした。キャッ
シュフローで考えると新築のほうが1つの案件が大きいので、こちらを最初に始めるべきだと思いました。改めて振り返ってみると僕らが中古という所にとてもこだわりすぎていたことは失敗だったかなと今は思っています。
逆に言えばやったから分かった事なので、オフラインの事業に集中することでここが大きな強みになってきています。クイック工房という事業に関してもここから生まれた事業なので、ここが事業として良い方向に向かったポイントではありましたね。
◎集中する事業を定めていい方向に向かっていく中で大変だったことはありますか?
特に人材という面では大変でしたね。エンジニアやマーケティングなどの専門職の方を採用したりする中でどのようにその人材を活用したらいいのか私自身まだ分かっていなかった部分もあり、結果的にミスマッチすることが何度かありました。採用戦略を見直す事で解決はしましたが、事業の方向性や目的も曖昧な部分があったので改めて明確化して、今の事業の中でどのような人材が必要なのか、本当に専門職人材が必要なのかを改めて考えたことで現場視点で必要な人材が明確になったことで安定しました。
また会社のメンバーとして事業を成長させるという想いを持ってくれる方を採用するには会社としての方向性や将来を伝えきれなかった部分もあり、ここは特に改善したポイントではありました。
◎実際に事業をこれまでされてきた中で改めて重要だと思うことはありますか?
やりたい事をやるのではなく、やるべき事や求められている事をやるというのが重要だと思います。特に立ち上げ段階では顧客訪問を行う中でまだないサービスを提案することがありますが、お客様に跳ね返されたりして「なぜ理解してくれないのか」と疑問と葛藤する場面もあるとは思います。ですが、相手が欲しいかも分からない中で露知らずのモノをもっていってなんで分かってくれないんだと思うのは普通はおかしな話なんですよね。これがヒアリングを重ねる中で逆に自分たちがおかしいという事に気づかされるんです。自分たちが欲しいものを相手に提案するのではなく、お客様が求めるものをヒアリングを行う中で把握して提案する事が重要だと分かりました。
お客様から我々がIT系の会社として見られていたという事にも気づきました。HP制作などをお客様から求められる事が多く、最初はエンジニアがいなかったのでお断りしていましたが、制作が出来る人材を探したりしてエンジニアやデザイナーとの接点を持ちつつも、HP制作もできるようになったのでここは大切だと思いましたね。
◎住宅分野に限らずIT分野の事業もされているのはお客様へのヒアリングがきっかけになったんですね。
そうですね。ブランディングとして住宅関係のITソリューション会社としてイメージを持って頂いてるので、ここからデジタル広告関係の依頼を頂いたりとか、システム開発もやっているので最近はこのお問い合わせを頂くことも増えてきました。
気づきとして、過去に私が不動産会社で勤務している中で当たり前に思っていた事が、こちらでは当たり前ではなかったという事も分かりました。結構この気づきがサービスにもなったりしていて、自分たちが当たり前にやっていることが私自身びっくりした事でもありました。
例えばVRの展示場などです。毎年大規模な展示場で展示会を開催していた大手電機メーカーからこれをオンラインでも開催出来ないかという問い合わせを頂いたりしたので、この積み重ねが大きいんですよね。
◎今後どのような会社にしていきたいですか?
やっぱり今後はグローバルを取り入れた会社にしていきたいと考えています。元々私自身が海外での就業経験があって普通の人生を歩んできた人間だとは思っていないので、異端児というのはとても重要だと思っています。必ず皆さんにお伝えしているのが「1つの事業を自分の会社だと思って取り組んで下さい」ということです。常に視座を高く持って経営者目線で仕事ができる人材になってほしいという私の想いがあって伝えている言葉です。あとは、沖縄県内ではベンチャー企業としてのブランディングをやり続けて行きたいと考えています。僕らは不動産という軸とオフラインとオンラインの融合が会社の一番根幹にある部分なので、不動産×ITとリノベーションには力を入れていこうと思っています。
その中でも海外事業は今後力を入れていこうと動いています。グローバル企業として海外との架け橋になれるように来年は事業展開を進めていきたいですね。
<本日インタビューしたLinks株式会社様の情報>
イエキメルサービスサイト:https://iekimeru.com/