株式会社インフォネットはCMS(コンテンツ管理システム)を軸に、Webサイト構築やシステム開発、運用・保守など様々なサービスを展開し顧客の成果創出の為に事業をサポートしている企業です。
「infoCMS」「Q&Ai」といった、優れた自社サービスを多数展開しています。
人間の理解を超えたスピードで進化するITの世界で、常に「使いやすさ」を強みに顧客に寄り添ってきた株式会社インフォネットの会長 岸本 誠様に「成長の為にされてきた行動、意識されてきた事」について伺いました。
岸本 誠 - 株式会社インフォネット 代表取締役会長-
経歴:
2005年に株式会社インテリジェンスオフィスに入社。その後プルデンシャル生命保険株式会社を経て、2011年に株式会社インフォネットに入社。
2014年3月取締役就任。2017年6月代表取締役社長就任。2021年10月代表取締役会長就任。
目次
福井で生まれた強いプロダクト
-何故インフォネットに入社されたんですか?
創業者との出会いが1番の理由でした。
元々弊社は福井県の会社で、私自身も福井県出身です。
縁あって創業者の方と会う機会があり、「東京に打って出たいね」という話を創業者としている際に「同じ福井出身だから」という単純な理由で一緒に頑張ろうと思い入社しました。
プロダクトの先見性を感じた等という理由ではありませんでした。
前職の経験からどんな物でも売れるという自信がありましたし、東京にそもそも営業本部が無かったので営業という側面で力になれると思っていました。
○ 福井支社
-前職から大きく給料が下がる不安等はありましたか?
全くありませんでした。性格も理由だと思うのですが、前職で給料は後からついてくると分かっていた事も大きかったと思います。
実際大きく所得は下がりました。左手で壁に手をついた状態で右手を伸ばせば、右手も壁に手が付くぐらいの部屋に住んでいましたよ。
-入社されてからどのような行動をされてきましたか?
iPhone3が出てきた頃に「infoCMS」を私達が発売したのですが、当時はまだまだ地域間で情報格差がある時代だったので、私達のプロダクトはどんな反応を受けるのかが分かっていませんでした。なので反応を確かめるために東京ビッグサイトの展示会に狭いブースですが出展しました。
自社の商品をPRすると同時に、直接お客様の話を聞きながら私達のプロダクトはどんな立ち位置にあるのかを把握する事が東京で最初に行った事です。
-お客様の反応はいかがでしたか?
展示会での反応は今に至るまでの強いモチベーションというか、「この事業でいける」と確信になった出来事でした。
誰しもが聞いたことのある企業の方々が私達のCMSのデモンストレーションを見て「これは凄い!」と反応してくれました。
名の知れた企業の方々が評価をしてくれた事は、「CMSでいける」「自社のプロダクトは強いんだな」と分かった瞬間でした。
その後自社のプロダクトを営業していくのですが、IT系のソフトウェアやアプリケーションは人間の理解を超えたスピードで開発されるので、プロダクトを使ったからどのように豊かになるのかという事にお客様の理解が追いつかない事があります。
つまりプロダクトだけでは売れないという事です。
なので例えば「デザインやユーザーさんの使いやすさ。」、「何ヶ月何週間でどれだけのお客様が来られて、どんなサイトページを見たのか?」、「ウェブサイトの成果に結びつく文含めた全体をマネジメントします」と具体的に提案して営業する事で販売していました。
当時は私含め社員が2人、アルバイトが1人の計3人で営業していました。
-営業は順調でしたか?
当時30人程の会社でしたが、最初から多くのお客様に買っていただきました。
使いやすさを売りにお客様の課題を掘り下げて営業していたこともあって中々好評でした。当時CMSというのはテクノロジーとしても目新しいプロダクトだったと思います。
もちろん悩みや辛さはありましたが会社としても順調だったと思います。
2013年に本社を東京に移しても、提供しているサービスはバージョンアップや機能の追加、公共系に打って出るといった多少の変化はあれど、木の幹になる部分は変えずに突き進んできました。
-何故現場が求めるサービスを提供し続けられるのでしょうか?
私達は営業部隊を持って、お客様と直接契約することに拘っていました。
Webインテグレーションという業界は95%が10名以下の企業という産業構造です。極端な事を言えば、お客様の要望を聞くのは広告代理店で、作業の依頼が下請けに回ってくるという事が起きている業界です。
なので依頼に対して「考える」のでは無く、「ただ作る」という事になってしまうこともあるのですが、私達はお客様と直接話す事を意識していました。
お客様がビジネスを進めていく上での課題を、自社の営業や開発メンバーが逃げずに聞くことによって、会社全体でプロダクトやノウハウをバージョンアップしてきました。
時間はかかる泥臭いやり方ですが、外れない上手いやり方だったと思いますし、私達が生き残って来れた理由だと思っています。
-その後社長になられてから2018年にAI事業を始めたと拝見しました。何故AI事業を始められたのですか?
AI事業は結果そこに着地したというだけなんです。
10年前には珍しくて確実に価値を提供出来ていたプロダクトも10年も経てば当たり前になってしまいます。
水道を捻れば水が出てくるようなインフラが整った世界に変わるイメージです。
直接お客様とやりとりをしていた私達は売り出していたWebの管理システムだけではお客様の課題に応えることが出来なくなると感じていました。
IoTやAIという言葉だけが遊び歩きしていた当時、私達が大事にしている「お客様のWebサイトを使った成果創出」という部分を活かして何が出来るかと色々考えている中で、「需要がありそうだからAI開発をしてみるか」となった事でチャットボットの開発が進みました。
また時代が変わり、会社も変わっていかなければならないこのタイミングで上場しなければいけないとも思っていました。
上場しないと会社が潰れてしまうという事ではなく、知名度を上げ自分達のビジネスをもう1段階ステップアップさせるには会社として強くならなければいけないと考えていました。
社長に就任し2年で上場を達成
-上場の為にどのような準備をしましたか?
上場の為には多くの審査があります。
例えて言うならば3科目で大学受験をするようなもので、その1つの科目が業績で残りの2科目に管理系の審査があります。多くのスタートアップ企業が上場を狙う際に業績ばかり気にしますが、1科目が100点でも残り2科目が0点では合格出来ませんよね。
個々人で勉強するのではなく、会社全体で3科目を勉強しなければいけないので「審査される2科目はこんな内容だからここを気にしていこう」というスピーチは社内でしていました。当時は現在のようにZoomなどのツールは使っていなかったので福井や佐賀の支社にも直接足を運んでいました。
さらにロードマップをひいて、ワークフローを考え直したり、外部の会計士といった多くの方々にお力添えいただいたりして3科目の準備をしていきました。
その甲斐あって、上場の審査自体は1年と少しという速さで終わらせる事が出来ました。
何故取り組むのか?を示し、皆の気持ちを1つにまとめるというのが腕の見せ所であり、取り組まなければならない事でした。
-上場を1年弱で達成したことに驚きました。
幸運な事が2つありました。
1つ目は、ビジネスモデルが入り口から出口までお客様とお付き合いするワンストップ型なので細かい業務フローやワークフローを整える作業に対してリテラシーが高かった事です。
2つ目はBtoBのビジネスだった事です。BtoCなら1年で審査を終わらせる事は出来なかったと思います。
何故ならBtoCのビジネスを上場しようとすると検査項目が非常に増えるからです。
「お客様に不利益を与えてないか」、「お客様が反社会的勢力じゃないか」、「消費者庁にタレコミが入ってないか」、「誇大広告をやってないか」と検査の大枠はBtoBと同じでも、調査項目が増えてしまうので1年で上場審査を終わらせる事は不可能だったと思います。
上場の承認が降りた際は何とも言い表せない気持ちになりましたね。
承認が降りてから1か月後に上場するのですが、その1か月は真っ白でした。燃え尽きていましたよ。
-上場により何が変わりましたか?
知名度は大きく変わったと思います。
問い合わせが増える事は勿論ですが、お客様の見る目が変わりました。例えると上場しているA社、上場していないB社C社があり、どこも同じような製品を提案していて金額も変わらないとなった場合、上場しているA社が選ばれます。
これは「上場ボーナス」と言われますが、私達も大きく恩恵を受けました。
また資金調達の方法が1つ増えた事も。
上場していない企業では資金調達をしようと思った時に自社のサービスか商品を売って対価をいただくか、銀行からお金を借りるという2つの方法があります。しかし上場するとこの2つに加えて自社の株を株主に買ってもらうという方法が増えますし、銀行からも多くの資金を調達が出来るようになります。
実際にしっかりと資金調達を行えた事で、M&Aを行い、さらに会社を成長させる事が出来ました。
-今後の展望を教えてください。
グループ全体の展開としては、大きく言うと日本のDX推進をお手伝いしたいと思っています。
私達が得意としているのはWebインテグレーションという所なのでセールステックの分野とAIチャットボットを使った業務改善系、業務効率系のDXの点で貢献していきたいです。
また今まで Webインテグレーション屋さん、所謂「ウェブ屋さん」だったのですが、その部分は大事にしながら次の時代のWebマーケティングカンパニーを目指していきたいですね。
-本日インタビューした株式会社インフォネット様の情報-
会社HP:
株式会社インフォネット
オールインワン商用コンテンツ管理システム「infoCMS®」
進化するAIチャットボット「Q&Ai®︎」