今回は、月額料金で飲食店のテイクアウト・デリバリーが利用可能なサービスを提供している、株式会社RYM&CO.代表取締役の谷合竜馬様にインタビューを行いました。
株式会社RYM&CO.では、『POTLUCK』という、月額プランを購入することで、普通より安く、飲食店の料理をテイクアウト、また一部地域では、デリバリーもできるサービスを提供しています。現在、地域は、渋谷・新宿・池袋・恵比寿が中心です。
谷合竜馬 ー株式会社RYM&CO.代表取締役ー
大学卒業後、カラオケ店の店舗責任者や、出版社の媒体PRとして勤務。
2017年4月よりクラウドファンディングサービス”CAMPFIRE”にて事業開発部に所属。
2017年11月にて、会社を登記し、株式会社RYM&CO.(リムアンドカンパニー)にて、月額定額制テイクアウト予約サービス「POTLUCK」を主宰。
そもそも自ら事業を立ち上げたいと思った現体験は何かありましたか?
私が生まれた時に父親が起業していて、そういった意味では起業が身近でした。
一方で、私が大学生の時には、今ほどスタートアップという言葉が一般的でなかったです。インターンというのも採用のためのもので、相当情報を掘らないと出会えないほどだったので、事業を立ち上げたいという意志ははあっても中々行動には移せませんでした。
どうしてサブスクリプションの業態に参画したのですか?
私の最初のキャリアはカラオケから始まりました。カラオケの場合、競合との差別化要素が少ないんです。グルメサイトで集客をするのですが、例えばお客様との関係性を作ってリピーターを増やしていかないといけない。集客に良いソリューションが少ないなと思っていたことが関係しています。
サブスクリプションのサービスにした理由としては、新しい出会いが生まれるからです。例えば、映画のサブスクリプションサービスが一般的になって来ていますが、サブスクだと、「映画を見たいから映画館に行く」のではなく、「せっかくサブスクしてるんだからちょっとこういうのも見てみようかな」と思わぬ出会いがあるのではないかと感じました。
自分自身も新しいお店に行く時、かなり目的がないと躊躇してしまうタイプでもあるんです。しかしサブスクのサービスだからこそ新しいお店に行こうと思うし、尚且つ気に入れば継続して使ってもらえるのではないかと思いました。ニューヨークのスタートアップに似たような先行サービスがあったので、それを日本でやろうかなと思ったのがきっかけです。
立ち上げ当初、想定していたターゲットは、どのような層でしたか?
当初は、20代OLをターゲットに考えていました。牛丼のチェーン店を見た時、テイクアウトユーザーの女性率はすごく高く、一方で、店内は男性率がすごく高いことに気が付きました。
今はコロナ対策によって、座席間が区切られていて入りやすくなったと思いますが、横並びでの食事や、一人でお店に入ることに抵抗感がある人もいたと思います。特に女性は気になる方だったり、自分の席で食べたかったりする人も多いのではないかという仮説で、20代のOLをターゲットにしました。
創業からの3年間で、年ごとのテーマやキーワードの変遷はありましたか。
1年目は、調査とプロダクト作りに注力していました。モックアップや仮説検証も繰り返しつつ…。とはいえやってみないとわからないことも多かったので、ヒアリングや調査にも注力していました。
2年目にようやくサービスをリリースして、利用者の反応がかなり掴めた時期ではありました。一方で、サブスクなので使われすぎてビジネスとして成り立たないかもしれない懸念など、月額制プランの考察がかなり重要だったと感じました。
3年目は、新型コロナウイルスで外部環境がガラッと変わったので、デリバリーを始めました。サービスよりは外部環境に対する調整が多かったです。
起業しようとなった時に、まず何をしましたか?
まずは、調査しつつ、資金調達もしていていました。
僕の場合は少し特殊で、前職の代表と相談させていて、サービスが固まった段階で、ある程度出資していただけることが決まっていました。ただ、その後にトラブルがあり、結局銀行から創業融資のようなものをいただきました。その後に前職の代表がVCを立ち上げたとのことで、そこから出資していただく形でした。
資金調達でいくと、結構積極的に入れられているんですか?
リリースは出してないですが、年に一回くらい調達はしています。
創業当初から調達ありきでしたか?それとも結果的に手法として出てきたんですか?
周りの起業家をみていて、最初からある程度資金調達はするものだと感じていました。そう考えるともっと調達しようとしてもよかったのかなとは思うこともあります。
サービスにもよると思いますが、弊社の場合はプロダクトを運用しながら調達もしていかないといけないサービスではあるかなと思っています。
一年目に調査やヒアリングを行って、2年目にリリースということで、リリースしようという判断に至った指標やきっかけはありますか?
弊社サービスの場合は、プラットフォーム事業なので、実験的にクローズドで2、3店舗で検証しても、プロダクトが機能するかや需要があるのかなどわからない部分が多かったです。
リリースするタイミングとしては、プロダクトとしてある程度機能するタイミングで、早めにリリースしてしまって、そこから再度料金設定などのオペレーション面をみていこうかなということで、リリースしました。
地域の拡大の方向ではなく、事業のブラッシュアップ、プロダクト開発に集中したのは、何か意図やきっかけがあったのでしょうか?
サービスの特性にもよりますが、弊社サービスは、テイクアウト且つサブスクリプションという、ある種特殊なモデルなので、ユーザー1人当たりの歩いて行ける店舗数を重要視していて。店舗の密度が高い方が満足度も上がるので地域の拡大よりも1エリア内の店舗数拡大を重視しました。
また、飲食業界でのサブスクモデルは日本だとあまりないので、価格設定は難しかったです。サブスクの価格が安くて、継続率もいいけど赤字になってしまうなど、バランスを考えないといけませんでした。今までにないからこそ、新規に作っていかなきゃいけないという意識があったので事業のブラッシュアップに注力しました。
飲食店さん側はどのようなメリットを感じて導入しているお店が多いですか?
一つは集客面です。テイクアウト未進出の飲食店さん、やってみたいとは思うけどわざわざテイクアウトの仕組みを作ることを面倒に感じていた飲食店さん、あとは店頭で販売していて人件費がかかってしまっている飲食店さんに導入いただいています。
プラスアルファの売上を作りたいけれども、フードロスのリスクや、店内飲食の回転率的の限界によって、売上を上げる施策が実行できないお店さんが導入してくれてたのかなと思います。
さらに環境要因としてコロナ禍ではテイクアウトの需要が増えました。テイクアウト・デリバリーを新規に開始する際に、弊社のサービスはかなり導入ハードルが低いのと、事前予約制なので、お店側からすると事前に準備できたり、フードロスもなかったりと、負荷の少なさから使っていただけています。
創業当初から、フードロスとか、手間をかけさせないといったところを想定して、事前予約制を採用したのですか?
そうですね。テイクアウトを新しく始めるには手間がかかるという課題があることはお店へのヒアリングによってわかっていました。ランチタイムなど忙しい時間に、事前に注文が決まっていると準備も楽だし、お客さんがいらっしゃったら受け渡しをするだけなので、オペレーションの手間が少ないのは強みだと思います。
3年目に新型コロナウイルスで外部環境が変わったとありましたが、すぐデリバリーに対応したのでしょうか?
やろうと決めてからは割と早かったのではないかなと思います。ただやっぱり新しいことを始めるので、最初は自分で自転車に乗って配達して、どれくらい配送効率を高められるのかなどを試しながらやっていました。新しく立ち上げて、二つ目のプロダクトを作るような感じでした。
配送効率はどう計測されたんですか?
最初は本当にアナログでした。予約を受け付けて、住所を地図アプリで検索して、配送先までのルートを検索して。それを配達員さんに「この通りに行ってください」と伝えていました。自分でも配達してみて実際のグーグルマップののルートとどれぐらい差があるのかなと検証を何度もしたこともあります。
デリバリーを始めてから、料理をお店からお客様に運ぶまでに多くの作業があることが分かりました。普通のデリバリーはユーザーさんから注文があって、それをお店が承認して、そこから作り始めて、配達員が取りに行って、運び、お客様に渡すというのがワンフローです。
弊社サービスの場合は、事前予約制なので10時半に全てのお客様の注文情報がわかります。そうすると配達前に、お店の位置やデリバリー先の位置から、全てのルートがわかって、完全にナビ化できてしまうんです。何時にどこでピックアップして、何時にこの人に渡してというのがルートで出せるので、効率化できていると思います。
どうして配送効率に注目をされたんですか?
通常のデリバリーと同じ土俵だと、資本的に勝てないなと思ったので、配送効率あげることによって、1配送員あたりのコストを下げようとしました。せっかく他社より安く提供しているのに、配送費だけとても高くなると矛盾してしまうので重要だと思いました。なのでユーザーバリューとしては、サブスクなので1食あたりも安く、さらに配送費も安いですよというところですね。
現状の課題感や、展望はありますか?
今後どのようなライフスタイルになるのかを気にかけていますね。例えば出社とリモートどちらが主流になるかで、デリバリーとテイクアウトどちらを中心としてやっていくかが別れることもあると考えています。その辺りのバランスをみながら進めていく必要があると思います。
今まで渋谷駅周辺で事業ブラッシュアップする期間がかなり長かったので、横にエリアを展開していこうと考えています。東京都内から徐々にエリア拡大を進めていきたいと考えています。
-本日インタビューした株式会社RYM&CO.様の情報-
【問合せ先】
会社名:株式会社RYM&CO.
担当者:谷合
TEL:050-3718-0931
E-Mail:info@pot-luck.jp
サービスHP:https://www.pot-luck.jp/