日本から世界に通用する技術を生み出す。 – 株式会社AnchorZ 創業者 兼 代表取締役CEO 徳山 真旭

今回は「DZ Security」という世界初のバックグラウンド認証技術を活用したソリューションを開発・販売している株式会社AnchorZ創業者 兼 代表取締役CEOの徳山真旭様にインタビューを行いました。「DZ Security」は、誰でも簡単に使え偽装不可能なスマホ内部で本人認証の全てを完結させる次世代のセキュリティソリューションです。 

2009年の会社設立から日本のテクノロジーの最先端を行く、株式会社AnchorZ。今回は2018年10月にリリースしたDZ Security開発時の新規事業の取り組み方についてお話を伺いました。 

 

徳山真旭 -株式会社AnchorZ 創業者/代表取締役CEO- 

経歴:大手システム会社複数社に従事。2009年にAnchorZを創業。「DZ Security」というバックグラウンド認証技術の国際特許(日本・アメリカ・中国)を取得。 

 

創業から他のサービスも手掛けている中で2018のタイミングでDZ Securityを始めた理由は何かありますか? 

起業時から「日本のテクノロジーを世界に通用するものにしよう」という想いがありました。なので、最初から国際特許を取得する必要があると考えていました。DZ Securityの特許の出願は2014年ごろから始めていましたが、国際特許の取得に4~5年かり、そこから実装を始めたため、リリースは2018年になりました。 

 

起業当初からセキュリティ関連のシステムを作りたいという意識があったのでしょうか? 

そうですね。私は、18歳くらいからパソコンを触りだしたのですが、当時(1983年前後)はパソコンを使える人が少なくて。パソコン操作が分からない人に教える立場として、パソコンを使えない人でも安心してパソコンを使えるセキュリティが必要だと考えるようになりました。 

 

現在でも、段階認証を初めとして意外に複雑で沢山のセキュリティ用語や設定があり、全ての人がそれらを使いこなせているかというとそうではないというデータがあります。正しいIT知識を持ってセキュリティ対策が出来ている人は7%ほどではないとも言われています。 

 

セキュリティツールが上手く使えていない、もしくは全く知らない人が9割以上もいると考えた時に、これを簡単に、且つ安全に使えるようにしたいと考えるようになりました。多くの場合に本人認証に1つのボトルネックがあると考え、誰にでも簡単ですぐに使える安全性の高いセイキュリティ製品を作ろうと思い取り組みを開始しました。 

 

2014年から準備をされたとのことでしたが、何から始めたのでしょうか? 

最初は自分の頭の中を整理しました。どうしても既存の考え方に頼りたくなってしまいますが、それでは根本的な解決は不可能だという結論に至り、これまでとは全く違う新しいものを考え出そうと決意いたしました。 

 

次に特許事務所へ数十社訪問して新規制進歩性について相談をしましたが、先生方も既存の製品の延長線上であればアドバイスもしやすいのですが、理解いただける方が少なくて非常に困ってしまいました。特許事務所を見つけるだけでも2年ほどかかったと記憶しています。 

 

頭の中を整理していくという段階で、全くの新しいものを考えるためにされていたことはありますか? 

Apple創業者のスティーブジョブズさんの方法をマネました。「不要なものを捨て必要なものだけを残す」という考え方です。 

 

何もかも否定すればいいわけではありませんが、シンプルに考え、バックグラウンド認証にたどり着くことができました。 

 

バックグラウンドで認証を行うアイデアはどのように考えついたのでしょうか? 

まず、認証行為をなくすこと、次に使い終わるまで本人の確認ができていること。この二つを考えたときに、使い始めてから認証を開始し、利用の最中に適宜・随時認証をかけるという方法しかない。という結論に至りました。 

 

本人は無意識のままでスマートフォン搭載された様々なセンサーを活用して多要素認証をすれば利便性とセキュリティの両面で利用者に喜んでもらえるのではないかと考えたのです。 

 

特許からサービスにするにあたってどのような準備をしましたか? 

特許は基本的に新規性、進歩性が必要となるので、実装の際には前例がない状態で手探りの開発をすることになりますので、次に苦労をしたのは前例のない実装を行う苦しみでした。 

 

例えば、我々の特許技術はバックグラウンドでの動作が主になるので、必要なタイミングでカメラ動作させ認証も成功させるのは難しいものでした。 

 

さらに、既存のスマートフォンのOS設計はバックグラウンドで認証することを想定していないためうまく動作させるまではトライアンドエラーの繰り返しでした。 

サービスをリリースして顧客はどのように広げたのでしょうか? 

2018年の暮れにリリースしてから2019年夏過ぎまでは「面白いね」「いいアイディアだね」と言ってくださる方は沢山いたのですが、導入には至りませんでした。セキュリティソリューションには実績というものがどうしても求められます。また、バックグラウンド認証という未知の技術に対して本当に安全なだろうかという疑いも当然あったと思います。 

 

この状況が変わったきっかけは、2019年の夏に、知人経由でArm社主催のイベントで登壇したことでした。イギリス本社のArmの担当者を紹介すると連絡が来た時には、商談を中断して会いしに行きました。 

 

その甲斐があって、登壇後は非常に好評でその場でプレゼンテーションに興味を示していただきArm社とのパートナー契約を結ぶことができました。 

 

それからは流れが大きく変わり、実証実験や実導入も増え、多くの企業様との契約を結ぶことができるようになりました。 

 

契約が増える中で営業体制も整えるなどしたのですか? 

営業体制はこれから作っていくところです。これまでは私が一人で展示会や、ピッチコンテストに出たりしていました。基本的には展示会やピッチコンテストに出るという方法でネットワークを広げていきました。 

 

今後の展望は何かありますか? 

この技術を認証のデファクトにしたいと思っています。ユーザーはセキュリティのことを全く意識することなく安心してあらゆるデジタルサービスを利用できる「バックグラウンドで認証」が当たり前のように使われるようにしたいです。 

 

現在はSIer様や販売店様、代理店様が増えて販売の協力をいただいています。 

 

ー本日インタビューした株式会社AnchorZ様の情報ー 

会社HP:https://anchorz.co.jp/