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誰もが心の声に従って人生を選択し、​才能を解放、共有できる世界をつくる。 ‐ 株式会社OPSION 代表取締役 深野 崇

2019年1月設立。アバターで仮想空間上のオフィスに出勤する新しいワークプレイス「クラウドオフィスRISA」を提供する。2020年10月クラウドワークスと資本業務提携を締結。現在2022年1月より2D版仮想オフィス「RISA」、3D版仮想オフィス「RISA」を提供している。

株式会社OPSION 代表取締役 深野 崇

経歴:

1992年大阪生まれ。大阪経済法科大学在学中に公認会計士の資格を取得。2016年新卒でトーマツ監査法人に入社。トーマツベンチャーサポートでの兼業を経て、2019年より現職。

◎トーマツ監査法人に入社されましたが、どうでしたか?

仕事は大変な事もありましたが、環境としてはとても働きやすい環境でした。やっぱり4月や5月は3月決算の法人が多いのでハードな働き方になることもありますが、閑散期は定時出社、定時退社ができるので繁忙期を乗り越えれば1年耐えられると思います。

 

◎なぜ退職されたんですか?

もともと起業しようと思っていたので退職しました。入社して3年で退職すると最初から同期や上司に言っていました。そうしないとそのまま会社に居続けてしまうと思ったんです。準備してから辞めるという発想になりがちですが、準備ができる日なんて一生来ないと思います。どこかのタイミングで思い切って飛び込まないとスタートできないと考えました。そこで入社したタイミングから退職するタイミングだけ決めていました。

 

◎ここからこれまでとは全く別業界で起業されましたが、きっかけはありましたか?

まず起業しようと思ったきっかけは、幼少期の経験が背景にあります。私は母が40歳の時に高齢出産で生まれて、母子家庭で育ちました。その時は母が週7日勤務で何とか生計を立てるような状況でとても貧しい状況でした。周りの友達と比較して与えられる物や経験も経済的格差で差が出てしまうんです。それを子供ながらにおかしいと思っていました。自分が悪いことをした結果そのような不遇に合うのは理解できますが、生まれた場所によって、その方が不遇に合うのは理不尽だと思います。それを何とか変えたいと考えていました。当時は起業という選択肢はなかったんです。総理大臣になれば変えられるだろうと考えていました。ただ年齢を重ねるごとに世の中を変える他の選択肢を知り、例えば、Googleやfacebook(現meta)など人々の生活を大きく変えているので、政治よりも経済の方がインパクトを与えると考え起業しようと思いました。

 

ただトーマツ監査法人を退職するまでは事業内容なども決まっていなかったんです。思いはあるものの、具体的にどのようにやるのかは決まっていなかったんです。ただ、私自身アニメやマトリックス、SAOやソードアートオンラインなどアニメやSFが好きで、現実の問題解決のアプローチもありますが、そういう現実の問題解決に対するアプローチではなく、現実の課題がない仮想世界を作ればいいと考えました。中長期的に単なる画面上の仮想世界ではなく、本当にその世界に突入できるような世界を作れて、その中で自分自身も名前、性別、見た目などリセットしてフラットに人生を歩めるような世界を何十年かけてでも作れたらとてもロマンがあると思いました。これが起業しようと思ったきっかけと事業内容を決めた背景です。

 

◎ここからどのように事業を形にしましたか?

とはいえこのようなフルダイブの仮想世界を作るといっても、技術的にまだまだ追い付いていないのでそこにどういう登り方をしていくのかを考えました。様々な切り口があると考え、例えば、ゲームを作る、バーチャルショッピングなどがあります。ですが、私がそこでこれがトレンドになると思ったのがテレワークでした。それが2019年の時点でまだ日本のテレワークの浸透率が低く、言葉は言われていましたが、まだこの働き方が浸透していない状況でした。

 

ですが、2020年に東京オリンピックが予定され、その期間に政府主導で東京にある企業は交通混雑を緩和させるためにテレワークを推進する活動を数年かけて行っていました。2012年のロンドンオリンピックの時にイギリスでテレワークを実施した結果、テレワークの浸透率が上がったという事がありました。このような事が日本でも起こるだろうと考えました。

 

そこでテレワークが浸透した世の中で何が問題になるかを考えた時、オフィスに合った密な繋がりや、すぐ横にいる人にすぐに話をかけること、相手の実態を感じられる機会がなくなる等の問題が起こると思っていました。そこにバーチャルというテクノロジーが刺さると考えました。アバターでオフィスのようにいつでも声をかけられる環境を作り、そこでアバターの感情表現で人としての実態を感じられるようなツールがあればいいと思いました。2019年の当時はアバターを使ったものは会議用途ではありましたが、オフィス利用で常時みんながそこにいて、いつでも話せるものはなかったんです。

 

これを切り口にまずはビジネス領域から広げていこうと考えバーチャルオフィスを作りはじめました。

 

◎ここから実際にサービスにするまでどのようなことをされましたか?

創業初期は3人で創業し、その中の1人が開発会社でエンジニアをしていたので、とにかくバーチャル空間でアバターを動かして、話せる状態まで最短でやってもらいました。今はUnityというゲームエンジンとか3Dのアセットが販売されているので、パーツを組み合わせることでそれなりの形を作ることが出来ました。そこからは見えた課題を改善していきました。

 

◎この間は事業として利益が出ない状況だと思いますが、どうされましたか?

最初の数カ月は全員給料0円でした。貯金で数ヶ月なんとか生活して、その間に資金調達をしようと思い、エンジニアは制作をして、私は資金調達に動いている状況でした。実際に資金調達に動いた時はまだプロダクトも出来ていなかったので、実績もない中でほぼアイデアだけなんです。その中で今後テレワークの時代が来ることと、アイデアを形に出来た未来はどんな未来になるのかをひたすら信じてもらえるように話しました。人によっては全然根拠がないと言われることもありましたが、中にはその未来がくると信じてもらえる方もいたので、そのような方に投資をして頂きました。これが創業から3ヶ月から4ヶ月の頃だと思います。

 

◎資金調達後はどうされましたか?

資金調達後はプロダクトの課題を解決するためにとにかく人材を採用して解決しようとしました。使ってもらえないのはパソコンの負荷が高いからなのか、UIが分かりずらいからなのか、オンボーディングができていないからなのか、など様々あります。これらの課題に対してとにかくエンジニアを増やして、デザイナーを増やすことで解決を図りましたが、これは失敗でした。本来は何が根本的な課題なのかを少数精鋭で進めて、一つ一つ慎重に解決するべきなんです。そこである程度形になった段階で人を増やすべきでしたが、最初から足りない部分を人を増やして解決しようとした結果、バーンレートが高くなってしまいました。

 

◎この時の人を増やそうという意思決定はどのような背景がありましたか?

この時の意思決定は自分に専門性がない部分は専門家に任せた方が早く解決できると思っていたことから、営業なら営業をやっていた人材を獲得した方がいい、プロダクトにしてもプロダクトを開発していた人がいた方がいいと考えて人材を増やしました。ただ、この当時はまだ仮想オフィスサービスというのは世の中にあまりなかったので、このようなプロダクトを作った人材はほとんどいないです。これに関しては私自身が一番考えていたことでもあったので、私自身が一番考え切って結論を出すべきでした。

 

◎その先はどうされましたか?

人材を増やしたことにより、月のバーンレートが悪化してどんどんキャッシュはなくなるものの、プロダクトの改善が進まないので契約が積みあがらず、次の資金調達が厳しくなりながらもキャッシュがなくなっていく状況でした。このままいくとあと数カ月でキャッシュがなくなる状況になり、明らかに実績が上がっていなかったので資金調達は無理だと判断しました。そこで事業にブレーキをかけました。数人の規模になるまで人材を削減して、また0ベースでその時の反省を踏まえ、もう一度別の事業を残りのキャッシュを節約しながら資金調達しようと考えました。

 

◎その後はどうなりましたか?

もともと私がバーチャルオフィスの事業をやるというので集まったメンバーだったので、バーチャルオフィスやその分野に興味があって集まってるんです。別事業をやるという判断になった時に私自身も何がしたいのか迷走してわからなくなりました。なのでゲームを作る、アバターがないもっとシンプルな通話コミュニケーションツールを作るとなったり迷走した結果、試作はしても納得の行くものが出来ませんでした。その間もキャッシュは減り続け、2020年の1月頃に残っていたメンバーも全員退職して、私1人になりました。

 

◎大変な時期を経て、今に至るまで急に事業が良い方向に動いたと思いますが、どのようなことをされましたか?

2020年2月頃に1人になってからは改めて私自身が何をしたいのかを整理したり、様々なプロトタイプを作成して様々な方に見せたりしていました。ですが、2月頃から新型コロナウイルスが日本でも流行し始め、企業様からお問い合わせ頂いたり、取材の依頼を頂いたりしました。ですが、当時はサービスをストップしていたこともあり、別事業でスタートしたいと考えていました。ただ、5月6月に入って本格的に新型コロナウイルスの感染が拡大し、緊急事態宣言が出たタイミングで、今ならいけると思い、5月頃にサービスストップしていた事業の再開を意思決定をしました。

 

◎サービスを再開された時は1人でされたんですか?

実は2020年の4月頃にキャッシュがショートしかけていたので、自分の持っているスキルセットで売上を立てられる事業をやろうと考えていました。そこで前職で会計をやっていたので経理のアウトソーシング事業を始めました。その時に営業をやっている大学の友人を誘い、私と2人で始めました。そこで開始しましたが、タイミングよく新型コロナウイルスの支援で融資が下りたんです。そのキャッシュがあるのであれば新規事業をやろうと考えました。新規事業で何をやるか考えたときに、今のトレンド等も含めて「RISA」しかないと思いこの事業を再開しました。

 

◎そこから再出発されてからは何をされましたか?

その当時は私と営業の2人で再開して、営業はもちろん開発はできないので、以前に退職してもらったエンジニアにもう一度一緒にやらないかと声をかけました。ただ彼は既に他の仕事が既に入っていたのもあり、去年の状態に戻るまでなら一緒にやるという話になり、ジョインしてもらいました。そこで彼には動く形にまで戻してもらいました。ですが、当然ながらまだバグがでたり、プロトタイプみたいな状況だったのでエンジニアが必要でした。そこでSNSでエンジニアに何百件と声をかけて実際にお会いしてお話をしました。そこで3名ほど採用することができました。当時はプレスリリースで来月リリースすると配信もしていたので、かなり大変な状況でした。

 

そこで採用したメンバーは今も開発チームで頑張ってくれています。実際に当時採用した3名の開発メンバーにはサービスの改善をしてもらいました。ですが、他人が1から作ったプロダクトを、作った人がいない状況で改善するのはかなり難しいんです。なので前に作ったプロダクトをベースに1から作り直して、11月にリリースしました。

 

また当時はエンジニアの採用も行いつつ、資金調達も進めていました。2019年の段階で株式会社クラウドワークスの成田 修造さん(現取締役 兼 CINO)から個人でエンジェル投資をうけていたんです。成田さんに新しい事業を作る時や事業を撤退する時に相談をしていました。実際に「RISA」をもう一回やる事に関して相談した際に成田さんから今なら私個人としてではなく、クラウドワークスとして投資が出来るかもしれないとお話を頂きました。そこから数か月間どのように一緒に作り直していくかディスカッションして、そこで2020年9月に資本業務提携を締結して一緒にやることになりました。そこで体制がまた整いました。

 

◎資本業務提携を締結されたことで双方にどのようなメリットがありましたか?

我々は資金が入ることや、成田さんがジョインしてくれる部分もメリットとしてあります。クラウドワークスの創業初期からCOOとして上場させているので経験や知識がとてもあるんです。その方が取締役として入ってくれるので、大きなメリットだと思います。株式会社クラウドワークスとしては働き方を変えることがクラウドワークスのビジョンとしてあるので、ワークプレイスやテレワークという部分に対応するという事は企業としてやっていきたい事でもあるんです。ただ、3Dを使ったり、通信システムを作る技術力がなかったのに対して、我々はそれを持っているという部分で提携するメリットはありました。あとはこの「RISA」が浸透していけば、例えば、フリーランス同士をマッチングする場所やフリーランス同士で共同作業をする場所などいまあるクラウドワークスの事業にもシナジーを出せるという部分から双方にメリットがあって今回資本業務提携を締結しました。

 

◎いま特にメタバースは市場としても波が出来て、facebook(現meta)参入してきましたね。

そうですね。特に2020年代はVRやメタバースなど人々の生活がバーチャルに移行しはじめるタイミングになると思います。今はまさに黎明期として出発し始めたくらいの時期だと思います。ここから5年、6年と時間をかけて伸びると思います。今はちょうどその始まりにいると思うので面白いですね。

 

◎今後のビジョンや事業展開を教えてください。

いま弊社ではwork as playと呼んでいますが、仕事をゲーム化したいと考えています。仕事は趣味のように楽しむものではなく、義務として行う印象が世の中では強いと思います。私は仕事とゲームの本質は「共通の目的があってそこに仲間と協力してプレイする。」という部分で同じだと思います。ただゲームは楽しめるようにデザインされている一方で、仕事はそうではないんです。仕事では自分のレベルやスキルも分からなければ、共通の目的すら把握できていない事もあるんです。他には日々の仕事をプレイした結果が良かったのか悪かったのか、どれくらいどこにインパクトがあったのか等、楽しく出来るようにデザインされていないので仕事は楽しむものではないという印象になっています。

 

僕たちはそこにゲームのシステムを取り入れ、仕事そのものをゲームのようにアップデートされていくようなものを作りたいと思っています。

 

目標をより明示して、そこに対してチームのメンバーが活躍している様子をリアルタイムでシェアする。例えば、営業であれば受注したとか、アポが取れたとか、資料が出来たとか業務があると思いますが、受注したら「RISA」の中で気持ち良い演出で共有されたり、タスクを完了すると仮想オフィスに家具が与えられてよりよい空間を作れたり、このような形でエンターテイメントを強化し、楽しんだ結果として業務効率が高める事や、従業員のエンゲージメントが高まるというところにつなげていきたいと思っています。

 

‐本日インタビューした株式会社OPSION様の情報‐

会社HP:https://www.opsion.jp/

バーチャルオフィス「RISA」:https://www.risa.ne.jp/