新規事業の立ち上げ手順|活用したい フレームワークと助成金・補助金

「新規事業を立ち上げたいが、どのような手順で立ち上げたら良いのだろう?」と一歩踏み出せずにいませんか?

価値観が多様化する現在、新たなニーズに対応する新規事業の立ち上げチャンスともいえるでしょう。新規事業の立ち上げにフレームワークや補助金などを使用すれば、この機会を逃さずものにできる確立が上がります。

本記事では、新規事業の立ち上げを考えている方のために、新規授業の立ち上げ手順を解説します。

また、新規事業の立ち上げに活用できるフレームワークや助成金・補助金なども紹介。この記事を読めば、新規事業の立ち上げ方がわかり、新規事業立ち上げの一歩を踏み出せるでしょう。ぜひ最後までご覧ください。

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新規事業の立ち上げが企業にとって大切な理由

新規事業の立ち上げは企業にとって重要といえます。その理由は以下のとおりです。

  • 新たな収益源の確保:製品の寿命が短命化した現在、既存の事業だけで収益を獲得し続けるのは難しいといえるでしょう。新規事業を立ち上げることで新たな収益源を確保し、企業の持続的な成長を支えられます。
  • 次世代を担う人材の育成:新規事業の立ち上げは、経営者視点を持った人材を育成する機会となります。新規事業の立ち上げを通じて経営を経験することで、経営者としての主体性や経営に関するスキルを獲得できます。また、新規事業の立ち上げを通じて、イノベーティブな風土を育てることも可能です。後継者が不足することが多い中小企業にとっては、後継者育成の視点でも重要といえるでしょう。
  • 将来に向けたリスクヘッジ:さまざまな技術の発展により、市場環境は急速に変化しています。新規事業の立ち上げによって急速に多様化する市場に対応できれば、変化から生じる既存ビジネスへのリスクを軽減できます。

以上の理由から、新規事業の立ち上げは企業にとって重要な要素であるといえます。

新規事業立ち上げの手順

ここから新規事業の立ち上げ手順を解説します。新規事業は、おおむね以下の7つの手順で立ち上げられます。

  1. 新規事業立ち上げに関わるメンバーを決める
  2. 会社としての今後のビジョンを明らかにする
  3. 社会や顧客のニーズについて情報を集める
  4. アイディア出しを行う
  5. マーケティング調査や分析を行う
  6. 現実的なビジネスプランに落とし込む
  7. 実行に移して振り返りと改善を重ねる

一つひとつ詳しく見ていきましょう。 

新規事業立ち上げに関わるメンバーを決める

 まずは新規事業の立ち上げメンバーを選定しましょう。新規事業を成功させるには、選定したメンバーのスキルや情熱などが大きく関与します。また、ビジネスにおける戦略やマーケティング、財務といった多角的な視点も求められます。

立ち上げメンバーは、上記要素を兼ね揃えた次世代の経営を担う候補から選定すると良いでしょう。また、社内から新規事業のアイディアを公募し、優秀なアイディアの発案者を選定する方法もあります。

メンバーの選定が新規事業の成否を決めるため、新規事業の推進を担える人材を選ぶようにしましょう。

会社としての今後のビジョンを明らかにする

新規事業を担うメンバーが決まったら、会社の今後のビジョンを明確にしましょう。ビジョンは新規事業の方向性を示す重要な要素であり、会社の軸や強みにも直結します。

会社に軸や強みがあれば、会社の視点から市場のニーズに対応できます。市場が求めるニーズに柔軟に対応することも重要ですが、地に足をつけて対応することにより、市場のボジションを確立することが重要です。

チーム全体が同じ目標に向かって新規事業を推進する上でも、ビジョンを明確にしましょう。

社会や顧客のニーズについて情報を集める

ビジョンを明確にしたら、次に社会や顧客のニーズについて情報を集めましょう。ビジョンにより方向性が決まったとしても、社会や市場、顧客について深い理解がなければ、新規事業は成功しません。

たとえば、アンケートやインタビューなどにより、多くのデータを集めましょう。競合他社の情報を徹底的に集めることも重要です。

社会や顧客のニーズについて情報を集め、分析し、事業が解決すべき問題や提供する価値を明確にしましょう。

アイディア出しを行う

社会や顧客のニーズを把握できたら、アイディア出しを行いましょう。アイディア出しは、新規事業の基盤を作る重要なステップです。

アイディア出しを行うには、前述のニーズ調査で得た情報をメンバーと共有することが重要です。新規事業を考える上で根底となる情報が揃っていないと、アイディア出しの方向性にまとまりがなくなってしまいます。

このステップでは、多くのアイディアを出すことが重要です。出たアイディアから最も有望なものを選びましょう。 

マーケティング調査や分析を行う

アイディア出しを行ったら、出たアイディアが市場に受け入れられる可能性を評価します。どんなに良いアイディアでも、市場に受け入れられなければ、その新規事業は成功しません。

新規事業の対象となる市場の詳細を分析し、その市場への参入に価値があるかを評価しましょう。調査の対象となる項目には市場の特性、成長性、既存のビジネス、リスク、成長要因などが含まれます。

このような詳細な市場調査を通じて、参入の可能性と成功の見込みを評価します。もし市場調査から十分なニーズが見つからない、またはリスクが大きいと判断された場合は、アイディアを再度見直すことが重要です。

現実的なビジネスプランに落とし込む

アイディアが市場に受け入れられると判断できたら、現実的なビジネスプランに落とし込みましょう。ビジネスプランは、新規事業の具体的な行動計画を作るためのステップです。これにより、事業の目標を達成するための戦略と戦術を明確にできます。

まずはビジネスモデルとして、製品やサービスの製造に必要な知識や技術、チームの組成と役割、必要コスト、マーケティングと販売の手法などを詳細に計画します。

ビジネスモデルが作成できたら、具体的なビジネスプランを設計しましょう。これには最終的な目標だけでなく、中間目標や目標達成の手法、具体的な行動計画、「いつ」「誰が」「何を」「どのように」行うかの詳細、進捗管理の仕組みなどが含まれます。

実行に移して振り返りと改善を重ねる

現実的なビジネスプランが確定したら、新規事業のスタートです。チーム全員が一致団結して、ビジネスプランに沿って新規事業を推進します。

次に、事業の成果を評価し、改善に取り組む段階に進みます。顧客からのフィードバックに基づいて仮説を検証し、PDCAサイクルを運用し、何度も振り返りと改善を行いましょう。

新規事業は計画通りに進むことが難しいことが多いです。中間目標を設定し、達成度や進行状況を定期的に確認しながら、事業成長を継続的に追求していくことが重要です。

新規事業の立ち上げで大切なこと

ここまで新規事業の立ち上げ手順について解説してきました。ここからは新規事業の立ち上げに大切な以下3つのことを解説します。

  • 既存の強みを活かす
  • 引き際を明確にしておく
  • 十分な人員を確保する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

既存の強みを活かす

新規事業の成功には、自社の強みを活かすことが重要です。既存の生産・流通・販売ラインや社内ノウハウなど、自社が持つリソースを最大限に利用することで、新規事業の立ち上げをスムーズに進められます。また、既存顧客のセグメント分析や顧客が自社を選ぶ理由の分析を行うことで、自社の強みをより深く理解し、それを新規事業に活かすことが可能です。

新規事業と既存事業は同じ企業が取り組むため、親和性が高い部分も多く存在します。既存事業で培った強みである既存顧客リストの分析データや実績のあるマーケティング手法、製品・サービスの改善・改良のスキルなどは活用できる可能性が高いでしょう。また、競争優位性を発揮しているマーケットやWebマーケティングの知識なども新規事業に応用できます。これらにより、新規事業の成功確率を高め、総力戦で新規事業を推進することが可能となります。

引き際を明確にしておく

新規事業の成功を目指す上で、事業の撤退ラインを明確に設定することが重要です。新規事業の立ち上げは難易度が高く、成功する保証はありません。場合によっては既存事業を含む企業全体の経営を圧迫する可能性もあります。

たとえば、大量のコスト・時間・リソースを投資した後では、サンクコストの影響で心理的に撤退の意思決定が難しくなることがあります。そのような事態を防ぐため、あらかじめ撤退ラインを設けておくことで、損失を最小限に抑えることが可能です。

十分な人員を確保する

新規事業を立ち上げる際には、十分な人員を確保することが重要です。これは大量の人材を投入することを意味するわけではありません。新規事業の成功には、「必要なリソースを把握する」ことと「必要最低限の人材をアサインする」ことが求められます。

「必要なリソースを把握する」ことは、各工程でどのくらいの人材が必要なのかを明確にすることです。「必要最低限の人材をアサインする」ことは、新規事業の立ち上げ段階から大量の人材を投入するのではなく、必要最低限の人材を適切に配置することを意味します。人数が増えればマンパワーは大きくなりますが、一方でコミュニケーションスピードや濃度は落ちてしまうため、立ち上げ当初は少数精鋭の2〜3人チームが最適とされています。

これらの考え方を踏まえ、新規事業の立ち上げ時には必要なリソースを把握し、それに基づいて十分な人員を確保することが重要です。

新規事業の立ち上げに活用できるフレームワーク

新規事業立ち上げの手順や大切なことを知ると、新規事業の立ち上げが難しく感じるかもしれません。しかし、新規事業立ち上げの成功率を高め、効率的に行えるようになるフレームワークが存在します。たとえば、以下のようなフレームワークが新規事業の役に立ちます。

  • アイディア出しに役立つフレームワーク:マンダラート、ペルソナ分析など
  • 市場調査に役立つフレームワーク:ポジショニングマップ、3C分析など
  • ビジネスモデル構築に役立つフレームワーク:ビジネスモデルキャンパスなど

これらの詳細は別記事「新規事業立ち上げで活用できるフレームワーク|フレームワーク活用のメリットとは」で解説していますので、そちらをご確認ください。

新規事業の立ち上げに活用できる助成金と補助金

新規事業の立ち上げには、助成金や補助金を活用できます。ここでは、新規事業立ち上げに活用できる助成金や補助金について解説します。

助成金や補助金とは

助成金と補助金は、企業や個人が事業を展開する際に、国や地方公共団体から提供される経済的支援です。

助成金は、主に労働環境の改善や雇用の促進など、特定の社会的な目的を達成するために提供されます。たとえば、労働安全衛生の向上や、障害者や高齢者の雇用支援などがその対象です。助成金は基本的に返済の必要はなく、受給資格や使用目的が厳しく定められています。

補助金は、新規事業の立ち上げや設備投資、研究開発など、企業の経済活動を支援するために提供されます。補助金は事業の規模や内容により、一部または全額が補助され、こちらも返済の必要はありません。しかし、補助金は受けるための申請や審査が必要です。

これらの制度は、企業の成長や社会的な課題解決を促進するための重要なツールであり、適切に活用することで事業展開の大きな支援となります。

新規事業の立ち上げに活用できる助成金や補助金

新規事業の立ち上げに活用できる助成金や補助金を以下に紹介します。目的にあわせてさまざまな種類の助成金や補助金がありますので参考にしてみてください。

  • ものづくり補助金:中小企業の製造業における新たな製品開発や生産性向上を目指す取り組みを支援するためのものです。製造設備の導入や改善、新製品の開発などに対して、一部の経費を補助します。
  • IT導入補助金:中小企業や小規模事業者がITツールを導入し、業務効率化や売上向上を図るための補助金です。導入可能なITツールは、顧客管理や販売支援、生産管理など多岐にわたります。
  • 小規模事業者持続化補助金:小規模事業者が事業を継続し、更なる発展を遂げるための支援を目的としています。新規事業の立ち上げや既存事業の強化など、事業の持続化に必要な経費に対して補助が提供されます。
  • 事業承継・引継ぎ補助金:事業の承継や引継ぎをスムーズに行うための補助金です。中小企業の事業承継が円滑に進むよう、承継計画の策定や専門家への相談費用などに対して補助が提供されます。
  • キャリアアップ助成金:従業員のスキルアップやキャリア形成を支援するための助成金です。教育訓練プログラムの開発や実施、資格取得支援など、従業員の能力開発に関わる費用に対して助成が行われます。
  •  創業助成金(東京都) など:東京都では、創業助成金として「東京都創業支援助成金」が提供されています。この助成金は、東京都内で新規事業を立ち上げる起業家や企業を支援するために提供されています。各都道府県の助成金は、都道府県により金額や対象、支給方法が異なりますので注意してください。 

新規事業立ち上げに関するよくある質問

新規事業立ち上げに関するよくある質問についてまとめました。

新規事業の開発メンバーに向いている人の特徴は?

新規事業の開発メンバーに向いている人の特徴は以下のようなものがあります。

  • スピード感のある行動が可能な人材
  • ロジカルシンキングが可能な人材
  • チャレンジ精神のある人材
  • コストなどの管理に優れている人材
  • 新規事業の立ち上げ経験がある人材

新規事業と既存の事業はそもそも何が異なるのでしょうか?

新規事業と既存事業は、対象市場・期間・人材の要件など、複数の観点で違いがあります。新規事業は既存事業に比べて市場や顧客情報が少ないため、計画立案が難しい傾向にあります。また、成功させるまでに長い期間が必要です。さらに、新規事業では新しいアイディアを提案し、自走できる人材が既存事業よりも強く求められます。

これらの違いを理解せずに新規事業を始めると、適切な戦略でも進行が難しくなってしまうでしょう。新規事業を立ち上げる前には、既存事業との違いをしっかりと把握する必要があります。

アイディア出しを習慣化するために大切なことは?

アイディア出しを習慣化するために大切なことは、「何を考えているか」を自覚し、目的を意識することです。具体的な課題やテーマを設定し、それについて考え続けることが重要です。

また、自分がどれだけの時間考え続けられるかを把握し、思考した内容を手帳などに手書きで記録することも有効といえるでしょう。手書きにより頭と手が連動し、次の思考が促され、思考の持続が生まれます。

このように考える習慣を身につけることで、仕事の効率が上がり、アイディア出しも楽しくなるでしょう。

まとめ

新規事業の立ち上げ手順や大切なポイントについて解説しました。

新規事業立ち上げの手順は以下の7ステップです

  1. 新規事業立ち上げに関わるメンバーを決める
  2. 会社としての今後のビジョンを明らかにする
  3. 社会や顧客のニーズについて情報を集める
  4. アイディア出しを行う
  5. マーケティング調査や分析を行う
  6. 現実的なビジネスプランに落とし込む
  7. 実行に移して振り返りと改善を重ねる

また、手順のほかにも新規事業の立ち上げには大切なポイントがあります。それが既存の強みを活かして十分な人員を確保すること、そして引き際を明確にすることです。

新規事業の立ち上げは難易度の高いものですが、これらのことを理解し活かすことで、成功確率を高められるでしょう。ぜひ本記事を参考に、前向きに新規事業の立ち上げにチャレンジしてみてください。

\制作実績多数!新規事業開発のプロ集団/