生産性向上の成功事例と重要ポイント!個人事業主ができる取り組みもあわせて解説

生産性を向上させることで、売り上げ増加につながるだけでなく、社員の負担を減らしスキルアップさせることができます。しかし、生産性向上といっても、まず何から手をつけたらいいのか分からない方も多いのではないでしょうか。

組織の生産性向上させるには、業務のデジタル化やアウトソーシングの利用など、さまざまな方法があります。また、KPIといった重要業績評価指針を使うことで、組織の現状を可視化でき、効率よく生産性を向上させることが可能ですです。

さらに、生産性向上は会社といった組織だけでなく、個人事業主ができる取り組みもあります。生産性向上の成功事例や、どのような取り組みができるのかをご紹介していますので、是非最後までお読みください。

 

生産性向上の成功事例

生産性向上には、従来のシステムを見直し、最新ツールを導入することでより効率よく業務を進めることができます。もしくは、ノンコア業務や繁忙期などに、ピンポイントでアウトソーシングを利用することで社員の負担を軽減させることが可能です。

さらに、空いた時間で社員のスキルアップ研修など行えば、より効率が上がり、組織全体で生産性をあげることができます。ここからは、生産性向上の成功事例をご紹介していきます

 

①従来のシステムを見直し、効率化を図る

これまで手作業で行っていた業務を、自動で入力できるようなツールに置き換えることで、大幅に社員の負担を軽減させることができます。例えば、Excel で管理しているデータを別のツールに転記する作業を、一括で行えるようなシステムに変更するなどです。

Excel に入力されたデータを、自動的に別のツールに書き込むような仕組みを構築するだけで、作業量を大幅に削減できます。慣れている従来の作業内容やシステムのまま業務を続けてしまうより、定期的にシステムの見直しを行うほうがより効率です。

 

②ノンコア業務をアウトソーシングする

社員の入退社時や繁忙期などにアウトソーシングに業務を代行してもらうことで、コア業務に集中でき、生産性向上につながります。PCのキッティング作業や日常的なノンコア業務など、人手不足の会社だと多くの時間をとられてしまい、重要な作業に手が付けられません。

そこで、繁忙期など忙しい時期にアウトソーシングを利用することで、必要なタイミングで社員の負担を軽減することができます。SE(システムエンジニア)など専門的な知識を持った人材の揃っているアウトソーシング会社に依頼をすれば、作業の効率化にも効果的です。

 

③定期的に社員のスキルアップ研修を実施

社員のスキルアップ研修を行うことで、個々の能力が上がり従来の業務スピードが格段にアップしました。Excel ・Wordといった基本的なスキルアップ研修だけでなく、最近ではプログラミング言語の研修もあります。

また、生産性向上を目的とした、効率的に作業する方法に関するスキルアップ研修もあり、社員の意識改革にも最適です。モチベーションが下がると生産性が低下する恐れがあるので、定期的なスキルアップ研修や面談を行うことが、生産性向上につながります

 

生産性向上につながる「5s」とは?

生産性向上につながる、5sという言葉をご存知でしょうか。5sは、以下の5つの単語の頭文字を取って、構成されています

  • 整理
  • 整頓
  • 清潔
  • 清掃

さまざまなサイトで5sについて触れられていますが、会社で主に使われる意味としては以下の例があげられます。

整理・整頓 必要・不必要に業務を分けて、その中でさらに優先事項に分けて業務を進める
清潔・清掃 身の回りの業務を清潔に保ち、必要に応じで清掃を行う
5sを身につけ、常に心がけること

整理整頓をすることで、業務の優先事項を決めることができ、クオリティの高い仕事をすることができます。整理整頓を徹底すれば、納期遅れや作業漏れを防ぐことができるので生産性向上につながります。

すでに対応済みの業務など、定期的に整頓をすることで、どのファイルがどこにあるかなどの探す手間も削減できるのが特徴です。そのためには、常に作業場を清潔に保つ必要があり、常に5sを心がけて業務を行わなくてはいけません。

定期的に5sを社員に周知・研修を行うなど、意識できるような環境を作っていくことが、生産性向上につながります

 

指標を使って現状分析!生産性向上のポイントを把握

生産性の現状分析には、KPIという重要業績評価指針を使うのがポイントです。KPIは、目標を達成するために業績指針を評価するためのもので、経営戦略など会社としての業務以外にも使えます。

日常的な業務に対して、KPIを設定することで今何をしなくてはいけないのかが明確になるので、生産性向上をさせるのに最適です。KPIには付加価値・労働生産性・労働分配率など、業績評価をできる計算式もあり、目視で現状を把握することができます。

ここからは、指標を使った現状分析について詳しくご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

 

付加価値

付加価値は、特定のモノに別の価値をプラスするという意味があります。付加価値はビジネスにおいて、労働によって得られた価値を数値化したものです。具体的には、控除法・加算法の2つの計算式があり、生産性向上を数値化し、どれくらいの収益を得られているのか知ることができます

「控除法=中小企業庁方式」「加算法=日銀方式」と呼ばれ、それぞれ計算方式が異なっているのが特徴です。控除法は「売上高-外部購入価値」で計算できます。加算法は、「賃借料・人件費・経常利益・金融費用・減価償却費・租税公課」をすべて加算しているのがポイントです。

控除法 売上高:売上の合計

外部購入価値:原材料費・社内での備品購入費用など

加算法 賃借料:土地など、会社で借りているもの

人件費:社員の給与など

経常利益:

金融費用:資金を用意するのに必要な費用

減価償却費:販売費など(簿記でいう減価償却費とは一部異なります)

租税公課:税金など

 

労働生産性

労働生産性は、実際に行う業務量に対し、どのくらいの人件費をかけたかを知ることができます。労働量に対し、業務量が適切なのかを測ることも可能です。

また、労働生産性は生産量を労働量で割ることにより算出できます。

労働生産性=生産量(もしくは業務量)/人件費

 

労働分配率

労働分配率は、実際に得られた収益に占める人件費を比率として知ることができます。得られた収益は、適切に使用しなくては会社として成り立ちません。

特定の費用ばかり多くならないよう、適切な分配率になっているのか確認が必要です。

労働分配率は、人件費を付加価値で割ることにより、算出できます。

労働分配率=人件費/付加価値

 

目標達成のために指標を設定して生産性向上を図る!

重要業績評価指針(KPI)による、現状分析について説明してきましたが、目標達成を行うためは上手く指標を設定しなくてはいけません。

目標や指標を設定せずに生産性向上を行ってしまうと、組織全体の意識がまとまらずにかえって効率が下がってしまいます。例えば、「生産性向上のため、効率よく仕事をしましょう」と伝えただけでは、具体的に何をすればいいのか分からないからです。

そこで、生産性向上のためにKPIを使って具体的な目標・指標を立て、具体的に何をすれば良いか分かるようにします。ひとつの業務に対して、適切な労働量であるか見直しを行い、業務に対して労働量が足らないのであれば改善が必要です。

 

生産性向上のために事業主ができる取り組み

生産性向上のためにまず取り組みたいことは、現在の業務内容を適切な労働量によって行われているかです。人手不足が続き、多くの社員が残業や休日出勤を行っているのであれば、モチベーションの低下にもつながってしまいます。

現在の業務量や作業方法などを見直し、効率的に仕事ができるような環境構築を行っていきましょう

手間の多くかかる業務がある場合、簡易的にできるようなシステムの導入を検討するなど、アウトソースに頼る方法があります。もしくは、効率化を図れるようなITシステムの導入がおすすめです。

ここからは、生産性向上のために、事業主ができる具体的な取り組みについてご紹介していきます。

 

業務のデジタル化

手作業で手間のかかる作業をデジタル化することで、大幅な効率化を期待できます。

例えば、「押印のために印刷を行い、総務部まで手持ちで持っていく」といった業務は、デジタル化することで作業量を半減することが可能です。具体的には、PDFなどの資料をメールにて送り、デジタル印を押して返送してもらえば、労働力・消耗品費を削減できます。

紙による保管も減らすことができるので、情報漏えいのリスク削減にも効果的です。紙による保管の場合、重要文書などは鍵付きの倉庫に保管しなくてはいけないので、多くの手間がかかります。

業務のデジタル化は、作業効率をあげるだけでなくセキュリティ対策にもつながるので、対応できる業務は見直しをしてみてください。

 

新しいワークスタイルの導入

テレワークといった、新しいワークスタイルを導入することで、社員の負担を大きく軽減させることができます。ほかの社員がいないため、自身の業務に集中することができ、効率よく業務をこなせるのがポイントです。

テレワークを行うには、各社員の自宅に業務が行えるような環境作りをしなくてはいけません。仮想デスクトップなどを活用し、会社のサーバーに入れるようにPCを設定する必要もあります。

しかし、テレワークの導入は不必要な会議を減らしたり、他者の介入なく自分だけの仕事に集中できたりとメリットは大きいです。最初から全社員をテレワークにすることは難しいので、まずは簡易的な業務から在宅で行えるよう整備してみてください。

 

アウトソーシング

アウトソーシングを利用することで、人手がかかってしまう事務作業など減らすことができるため、効率化に最適です。さらに、社内で不足している専門的な知識を補うこともでき、業務のクオリティアップにもつながります。

アウトソーシング会社によっては、繁忙期だけなどピンポイントで契約できる会社もあるので、一時的な人手不足にもおすすめです。

しかし、アウトソーシングばかりに頼ってしまうと、他社に任せていた業務を社員が対応できないなど、ブラックボックス化してしまうこともあります。そのため、アウトソーシングしている業務を社員に周知させた上で利用することが重要です。

 

ITツールの利用

事務作業を簡易的に行えるようなITツールを導入することで、手作業による業務を削減することができます。例えば、勤怠、旅費交通費の管理などをExcel などで行っている場合、締め日に全員分まとめて行うのはとても億劫(おっくう)です。

また、勤怠管理から給与システムへ手作業で入力する場合、ミスが起こりやすい事も挙げられます。これらの業務は社員の給与に関わることなので、ミスがあってはいけません。

そこで、勤怠管理・旅費交通費・給与支払い管理などを一括でまとめられるようなITツールを導入すると、大幅に作業を減らすことができます。一括で取りまとめることができ、ミスを防ぐことが可能です。

ミスを削減しつつ、社員の負担を軽減できるようなITツールの導入は、生産性向上の観点から速やかに検討することをおすすめします。

 

補助金や助成金の活用

働き方改革の一つとして会社の生産性向上に関する補助金・助成金が国から支給されています。テレワークについても、働き方改革にて推奨されており、一部の中小企業では、在宅勤務のために必要な費用の助成を受けることが可能です。

効率化に重要なITツールの導入費についても、補助金の一部支給という形で国からのサポートを受けられます。育児休暇といった、各種支援についても国から助成金を得られる点も魅力的です。

生産性向上を検討する際、費用面で悩んでいる方はぜひ一度、補助金・助成金を確認してみてください。

 

生産性向上のために個人ができる取り組み

生産性向上は、会社といった組織だけに当てはまらず、個人としても取り組むことができます。KPIなどの指標を使って、現状を数値として分析し、まずは業務プロセスを見直すことが先決です。

見直しを行った後は、現在の業務を適切にタスク管理し、優先事項を決めます。適切なタスク管理で仕事に余裕が出てきたら、適宜スキルアップのために資格の取得なども検討してみてください。

スキルアップをすることで、よりクオリティの高い仕事をすることができ、生産性向上につながり売上のアップも期待できます。

 

業務プロセスの見直し

個人事業主といっても、フリーの方から人を雇っている方・接客や技術職など業種・形態はさまざまです。しかし、業務プロセスの見直しはどの業務でも必ず行うことで、生産性向上につながります。

接客の場合、スタッフの教育や接客応対の方法はさまざまですが、適切なプロセスを踏まないと売上がアップにつながりません例えば、来店からサービスの提供まで、顧客はできるだけ最短時間で対応してほしいと思うはずです。

そこで、スタッフの応対をできるだけスムーズに行えるよう業務プロセスを改善します。そうすることで、顧客満足度があがり生産性向上につながります。

業務プロセスを見直すことは、売り上げ増加への一番の近道なので、ぜひ見直しをしてみてください。

 

タスク管理

タスク管理を適切に行うと、業務のクオリティアップにつながり、無駄な時間を削減することができます。時間に余裕ができると、新しい事業にチャレンジしたり、スキルアップのために勉強したりと生産性向上に最適です。

また、納期ギリギリでの仕事はクオリティの低下につながり、最悪の場合売上が減少する可能性があり危険です。そのため、仕事のクオリティをあげつつ売り上げ増加を目指すのであれば、タスク管理は適切に行いましょう。

 

スキルアップ

個人事業主は、最初から多くの優秀な人材を雇うことは金銭的にも厳しいため、個人の能力が重要です。売り上げ増加を目指すにしても、現状よりさらに多くの知識が必要となってきます。

そこで、現在の業務をより良くするためにはスキルアップが欠かせません。最近では、個人でも受けられるような研修やスクールが多くあり、スキルアップにはぴったりです。

業務プロセスの見直しや、タスク管理などで空いた時間ができた際には、まずはスキルアップを行ってみてください。

 

まとめ:生産性向上には目的の設定が必要

生産性向上には、具体的な指標や目的の設定が必要不可欠です。そこで、KPIなど現在の組織の状況が把握できるような指標を使い、数値としての分析を行わなくてはいけません。

分析結果をもとに労働力が足りないのであれば、アウトソーシングの活用して対応します。業務内容にあったITツールを導入し、社員の負担を軽減させることも重要です。

適宜スキルアップ研修を受けることも大切で、能力が上がれば効率もアップし、モチベーションアップだけでなく生産性向上につながります。

生産性向上を検討している方は、この記事で紹介した効率化の方法を活用して見てください。