経理業務を効率化するには|7つの方法や手順、必要性を事例を交えて解説!

経理業務には、小口現金の管理、領収書の管理、振り込みの管理など、会社のお金を管理する仕事があります。しかし、経費の処理など自分のタイミングでこなせない業務も多いため、苦労している経理担当者も多いのではないでしょうか。

中小企業などでは経理業務を担当している社員が1人しかおらず、属人化してしまうケースがあります。属人化すると、担当者が誰にも相談できないだけでなく、1人の負担が増えるという問題が起きます。

また、経理担当者は自分のやりやすい方法で管理しているため、ほかの人が関わることで複雑になってしまうことを嫌うケースもあります。これでは会社にとって効率的な経理業務とはいえません。

この記事では、経理業務を効率化する意義を説明したうえで、経理業務の効率化事例や方法などを紹介します。

 

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経理業務の効率化をする必要性

経理業務を効率化することは、会社にとっても経理担当者にとってもメリットがあります。ここでは、経理業務の効率化をする4つの意義を説明します。

  • 経理の無駄な作業の削減
  • 経理業務を「見える化」することによる気づき
  • 経理業務のシステム化による効率性UP
  • 経理業務が属人化することの回避

 

1.経理の無駄な作業の削減

無駄な作業を減らせれば経理担当者の負担軽減につながり、生産性の向上も見込めます。例えば、領収書など書類の繁雑なやり取りといえる単純業務を、1日に何度もランダムなタイミングに行うのは効率的ではありません。

また、未だに紙を使った手書き経理を行っていることも無駄な作業といえます。紙の使用をやめれば、作業時間の削減だけでなくコピー費や用紙代、郵送費などコストの削減も可能です。

 

2.経理業務を「見える化」することによる気づき

経理業務を「見える化」することにより気づきが得られるため、経理業務の課題や問題点を洗い出せます。それにより、さらに経理業務の効率化を図ることも可能です。

「見える化」は、さまざまな経理業務がどのような流れで進められているかを、グラフや図表などを用いて可視化します。可視化することで課題や問題点に気づき、それらを共有することで改善や対策につなげられるのです。

例えば、経理業務の全体が可視化できるので、「合理的ではない古いルール」を見直せます。古いルールを見直すことで、無駄な業務の削減にもなるでしょう。

 

3.経理業務のシステム化による効率性UP

経理業務のシステム化を可能にする支援ツールは数多くあります。もちろん、自社でも経理管理システムの構築は可能です。

しかし、専門的な知識を要する人材やコスト、運用上トラブル時の対応など、さまざまな問題が考えられます支援ツールを導入することで、経理業務の効率化だけでなく、ヒューマンエラーの軽減も期待できます。

 

4.経理業務が属人化することの回避

経理業務に限ったことではありませんが、属人化しているケースは危惧すべきです。属人化している場合、担当者にしかわからない業務が出てきます。

経理の業務を効率化することで、このような属人化を改善することができます。属人化はデメリットばかりではないですが、リスクにもなり得ます

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経理業務の効率化の事例5選

経理業務効率化について、効率化前の問題点と効率化後の効果など5つの事例を紹介するので参考にしてください。

1.請求書処理業務が効率化

【効率化前の問題点】

  • 毎月300枚以上の請求書の業務があり、請求書必要の都度対応しているため非効率
  • 全国各所に支店があり各支店の担当者が処理業務をしているため本社では把握できない
  • 請求書がまとめられていないため、顧客との契約情報など把握するのが困難な状況

【効率化したこと】

  • 月に何度も行っていた請求書業務を、月1回の請求、月1回の引き落としなどまとめた
  • 請求業務、情報をシステム化し全社で一本化した

【効率化後の効果】

  • バラバラだった請求書業務が1本化され、各支店担当者の負担が減った。空いた時間の有効活用化につながった
  • 情報が一本化したことで顧客の契約情報も容易に把握できるようになった
  • 請求情報が他部署とも共有できるようになり原価意識が向上した

全国展開している企業では、各支店が請求業務を行っているケースが多いです。そのため、本社部門がそれらを把握できていないことも珍しくありません。顧客情報も一本化されずに支店だけの情報になるため、全社で情報の共有ができなくなってしまいます

請求業務を全社で一本化することで、各支店経理担当者の負担軽減、情報の共有などの効率が見込めるのです。

 

2.経理業務の属人化を改善

【効率化前の問題点】

  • 急激に事業が成長したことに伴って顧客への契約対応と管理に限界を感じていた
  • 請求処理業務が部署などでバラバラで、大量の請求へ対応する必要があった
  • 契約が部門ごとに個別になっていて混在し情報を把握しづらい

【効率化したこと】

  • 請求書業務をまとめ、月1回の請求、月1回の引き落としとした
  • 当月末締め、翌月末請求書、翌々月の指定日に自動引き落とし、と一本化した
  • バラバラだった請求書の書式を統一し、部門や項目をデータ化した

【効率化後の効果】

  • 膨大な請求書処理業務が1本化されたことでシンプルな管理が可能になった
  • 支払指定日を設けたことで、入金の明細も一元化できデータ抽出も容易になった
  • 請求処理業務が平準化し偏りがなくなり属人化の改善につながった

業務が急に増えて忙しくなると、ひとつの業務を1人だけで担当するシーンが増えてしまいます。効率化を図ることで業務を平準化できるので、属人化の改善にもつながるのです。

 

3.キャッシュフローが明確に

【効率化前の問題点】

  • 取引先によって請求形態に違いがあるため、請求、支払い業務が多く経理担当者の業務負担が大きかった
  • 社員に貸与している携帯電話の請求や支払いの管理できず非効率だった
  • 携帯電話などの通信費だけで月に5回以上も支払日があるため、キャッシュフローが明確ではなかった

【効率化したこと】

  • 請求書をまとめて月1回の請求、月1回の引き落としとした
  • 請求書のフォーマットを統一した
  • 支払い情報などをエクセル形式で、支店や項目別でデータをまとめた

【効率化後の効果】

  • 支払い、請求業務を1本化したことで経理担当者の業務負担が軽減された
  • エクセルなど加工しやすい形式のデータにすることで可視化できるようになり、異常値を発見しやすくなった
  • 支払日を1日にまとめたことで、キャッシュフローが明確になった

今までは、請求が必要な都度請求書を発行し、支払いが必要な都度支払いを行っていたケースです。

請求・支払い業務をまとめたことで業務負担を減らし、可視化することでキャッシュフローが明確になりました。また、経費がかかり過ぎているなどの異常も見つけやすくなったのです。

 

4.支払業務の改善ができた

【効率化前の問題点】

  • 全国各地の支店や店舗が多く、経費管理が繁雑になっていた
  • 公共料金や通信費の支払い方法が多く複雑なため、支払業務に多くの時間を要してしまう
  • 支払方法の統一ができないため、月末には経理担当者の残業が増えてしまう

【効率化したこと】

  • 請求内容をデータ化し全社で一本化した
  • 支払い方法を1種類にした

【効率化後の効果】

  • 請求内容をデータ化し一本化したため、支店や店舗ごとの管理も容易でスムーズになった
  • 請求を一本化することで支払方法が1種類になった。支払業務の負担が減り、経理担当者の残業も減らせた

データ化し、全社で一本化することで、業務量を減らせるなど担当者の負担も軽減できます。また、今までは把握しきれなかった全体のお金の流れを把握できるので、管理業務も容易になります。

 

5.データ化により会社全体を把握できるようになった

【効率化前の問題点】

  • 決済処理システムの導入によって、通信費や水道光熱費の引落処理など、社内承認への登録や会計処理の業務量が多くなった
  • 新しい事務所を開くたび口座開設しているため資金管理が容易ではない
  • 契約内容が複数あり把握できずコスト管理ができていない

【効率化したこと】

  • 決済処理システムのデータ化と一本化した
  • 契約内容、請求情報のデータ化した

【効率化後の効果】

  • 決済処理システムへの請求をデータ化したことにより申請の一本化ができ業務も軽減された
  • 支払いや会計処理も一元化の管理体制になり、資金管理の効率化が可能になった
  • 契約内容や請求情報をデータ化したことで全体を把握できるようになった

社内システムが業務を増やしてしまうケースも珍しいことではありません。その場合も、各支店や店舗ごとに都度申請することは避けましょう。会社全体を把握できるようにすることで、業務を軽減できる可能性があります。

 

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即実践できる経理業務効率化の方法7選

ここでは、すぐに実践できる経理業務の効率化手法を紹介します。ほとんど手間がかからないので、下記7つの手法をぜひ実践してみてください。

  • 経費精算システムの利用による自動化
  • クラウドサービスの利用
  • 紙を使用した業務の削減
  • インターネットバンキングの利用
  • 振り込み作業の効率化
  • 伝票作業の効率化
  • キャッシュレス化

順に解説していきます。

 

1.経費精算システムの利用による自動化

経費精算システムの自動化には、以下のような機能があります。

  • 入力補助機能:交通系ICカードや領収書を読み込んで自動入力
  • 自動チェック:社内規定に沿って精算されているか自動チェック
  •  会計システムと自動連携:手作業での入力が減るため、ヒューマンエラーを防げる
  • プリペイド法人カードの活用:社員に持たせることで現金のやり取りを減らせる
  • 承認の自動化:承認者の負担、見落としを減らせる

出張費や領収書など、経費の精算は全社員が関わる業務です。導入することで、業務時間の削減効果も期待できますね。

 

2.クラウドサービスの利用

クラウドサービス分野では、さまざまな経理業務の効率化ソフトがあります。中小企業や個人事業主を中心に利用者は増加傾向にあります。利用者が多い利点は、使用方法や使用感などの情報がネットで調べやすく、迷うことなく利用できることでしょう。

クラウドサービスでは、次のような業務を行えます。

  • 会計システム
  • 請求書発行
  • 経費自動精算
  • 給与の計算

また、複数人で管理できることもポイントです。

 

3.紙を使用した業務の削減

紙での業務を減らせば、コピー費や用紙代、郵送費などコストの削減も期待できます。クラウドサービスやエクセルなどへ移行すれば、業務時間の削減にもつながるでしょう。

他にも、下記のような効果が見込めます。

  • ヒューマンエラーの低減
  • 属人化の防止
  • 情報の共有の簡易化

 

4.インターネットバンキングの利用

インターネットバンキングとは、ネット上で銀行取引ができるサービスです。入金や振り込み、記帳のたびに銀行へ行くのは時間の浪費といえるでしょう。

インターネットバンキングなら、オフィスにいながらパソコンで銀行取引ができるので、銀行へいく回数を減らすことができます。業務の無駄を減らすにも有用なサービスです。

 

5.振り込み作業の効率化

取引先の支払期日に合わせるため、月に何度も振り込みを行っている会社も多いのではないでしょうか。この場合、振り込み日をまとめることで、効率的になります。前述したインターネットバンキングを利用すれば、さらに効率化につながり担当者の負担を軽減できます。

 

6.伝票作業の効率化

1日に何度も取引がある得意先などでは、取引の都度起票するケースがあります。伝票の数も多くなり、毎回現金取引しているなら精算も一苦労です。取引先に交渉し、可能なものは伝票をまとめてもらうことも効率化につながります。

また、伝票起票作業を分類し、誰にでも可能な作業は外注化することも効果的です。社員の負担を減らし、残業代などのコストも抑えられます。

 

7.キャッシュレス化

法人クレジット、プリペイドカードなどを利用することで、現金を取り扱う機会を減らせます。社員が使った経費を、領収書と現金でやり取りするのは手間がかかるため効率的ではありません

法人カードを使ってもらえば精算の手間を減らせ、ヒューマンエラーを防げます。また、出張旅費の精算も手渡しではなくキャッシュレス化することで業務の効率化を図れるのです。

経理業務効率化の導入手順

経理業務効率化の具体的な手順がわからないという方のために、導入手順を3つのステップに分けてご紹介します。

  • ステップ1.経理業務の整理
  • ステップ2.業務内の工数を可視化
  • ステップ3.ECRSで経理業務改善

ステップ1.経理業務の整理

まずは、自社にどのような経理業務があるかを、時系列順に紙に書いて整理します。

大まかに以下のような日々のルーティンを書き出してみましょう。

ここでは、イレギュラーで発生する業務は書き出さなくて構いません。

 

  • メールチェック
  • 入出金管理
  • 経費精算
  • 仕分け業務
  • 請求書や領収書の確認
  • 通帳記帳
  • 振込手続き

このように必要な業務を書き出すだけでも、業務の流れを整理する余裕が生まれてくるはずです。

しかし、これだけではすべての業務を洗い出したとはいえません。

さらに項目ごとに分けて、業務を「可視化(みえる化)」する必要があります。

 

 ステップ2.業務を細分化して可視化

業務内の工程を可視化するためには、ステップ1で洗い出した各業務には具体的にどのような工程があるのかを細分化していく必要があります。

先に挙げた経費精算業務であれば、以下のような内容を考えます。 

  • 仮払経費精算書/申請書の作成
  • 出張旅費精算書の作成
  • 担当者や上司に内容の確認
  • 各精算書・申請書を仕分け
  • 仕分けした結果を会計ソフトに入力

 

一つの業務に対して複数の担当者がいる場合は、それぞれ作業を分担している可能性があるため、各自に確認して作業工程にヌケやモレがないように気をつけます。

このように、一つ一つの業務に対して細分化を行い、作業工程を可視化していきます。

 

ステップ3.ECRSで経理業務改善

すべての業務を洗い出したら、最後に「ECRS(イクルス)の原則」というフレームワークを利用して各項目を見直します。

ECRS(イクルス)の原則とは、次の4つをもとに経理業務の改善を図るフレームワークのことです。

  • E:Eliminate(省略できないか)その業務をなくせないか検討する
  • C:Combine(統合できないか)ある業務を他の業務と統合できないか検討する
  • R:Rearrange(入れ替えられないか)業務の順序を入れ替えることで効率化できないか検討する
  • S:Simplify(簡単にできないか)その業務を簡略化できないか検討する

E(Eliminate)では、その業務をなくして支障がないかを中心に考えます。

例えば、「無駄な会議」や「無駄な資料」、「無駄な報告」などが調査項目です。

 

C(Combine)では、経理業務の中で似たようなものを探し、一緒にした方が効率がいい場合は業務の統合を行います。

例えば、「個別のメール対応を一括にできないか」や「別々の担当者が同じ業務を行っていないか」などが調査項目です。

 

R(Rearrange)では、経理業務の順番や方法を入れ替えられないかを検討します。

例えば、「業務工程を入れ替えられないか」や「担当者の入れ替えはできないか」などが調査項目です。

 

S(Simplify)では、業務の内容をもっと単純にできないかを検討します。

例えば、「メールの内容はテンプレート化できないか」や「ツールやフリーソフトを使って自動化できないか」などが調査項目です。

以上の3ステップを実行することで、見直すべき業務が明らかになり、経理業務の効率化につなげることができます。

まとめ:経理業務を効率化しコストダウンを目指しましょう

経理業務を効率化することで、担当者の負担、ヒューマンエラー、無駄な作業時間などの軽減が見込めます。また、データを一本化することによって全社で情報の共有も可能となり、属人化を防げるなど、さまざまな効果が期待できるのです。

業務の効率化により作業時間が減ることで、残業代や備品などのコストダウンも期待できます。積極的に経理業務の効率化を進め、コストを抑えられる環境を作りましょう。

 

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