「ECサイト構築って補助金が出るの?」「ECサイト構築に使える補助金制度っていくつあるの?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
ECサイト構築で利用できる補助金は、IT導入補助金です。申請には条件や申請枠が決まっているので注意が必要です。
本記事では、IT補助金の対象や申請枠の種類、申請手順や注意点についても説明します。ECサイト構築を検討している方は、IT導入補助金が対象なのか確認できますので、最後まで読み進めてください。
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ECサイト構築を行うべき理由
ECサイトの構築には以下のような複数のメリットがあります。
- 世界中のユーザーにアプローチできる
- 人件費が不要
- オンラインで完結
- 商品の管理がしやすい
コロナ禍の影響もあり、ネットショッピングなどECサイトの需要が高まっています。
ECサイトは対人で対応する必要がないので人件費の削減にも繋がります。
ECサイトは、個人情報や商品の購入傾向などからデータを分析しやすいのも特徴です。特に物販はECサイトを有効活用できるでしょう。物販は顕著にコロナ禍の影響がでやすく、ECサイト構築により商品の在庫管理も経費削減につながります。
これら複数の理由があるため、ECサイトの構築が必要と考えられています。
IT導入補助金とは
IT導入補助金とは、経済産業省が公募しており、ECサイト構築にかかる導入経費の一部を国が補助する制度です。
中小企業、小規模事業者向けの制度で、最大4,500,000円の補助金が利用できます。
補助金の対象は、ECサイトの構築だけでなくITツールの導入経費も対象です。例えば、ソフトウェアの購入費用や、ECサイト構築に関するコンサルティング費用も含まれます。
IT導入補助金には対象の業者や企業が決まっているので、まずは対象か確認することが大切です。
IT導入補助金の対象
IT導入補助金の対象は以下の項目で細かく定められています。
- 補助対象になる業種
- 補助対象になる企業
- 補助対象になるツール
いずれかひとつでも当てはまらない項目がある場合は、対象外となるので注意してください。
なお、IT導入補助金は中小企業、小規模事業者向けです。対象の中小企業、小規模事業者の詳しい業種についても解説するので、ぜひ読み進めてください。
補助対象になる業種
IT導入補助金対象の業種は幅広く認められています。
以下に一例を紹介します。
- 飲食業
- 宿泊業
- 卸売業
- 小売業
- 運輸業
- サービス業
- 製造業
- 建設業
- 医療
- 介護
- 保育
対象の業種は多いですが、中小企業、小規模事業であることが条件です。中小企業、小規模事業の規定は、業種ごとに資本金や従業員数によって定められています。自社が中小企業、小規模事業に当てはまるか事前に確認しておきましょう。
補助対象になる企業
IT導入補助金の対象企業は、中小企業、小規模の企業です。
先述したとおり、大企業は対象外で、親会社が大企業である場合も申請ができません。
また、日本国内での事業であることも条件です。海外向けの企業でも、日本国で登録されている個人または法人であれば申請できます。
補助対象になるツール
IT導入補助金の対象となるITツールは5つの大分類に分かれています。
ITツールの大分類とカテゴリーは以下のとおりです。
- ソフトウェア
- オプション…機能拡張、データ連携ツール、セキュリティ
- 役務… 導入コンサルティング、導入設定・マニュアル作成・導入研修、保守サポート
- ハードウェア…PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機、POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機
- サイバーセキュリティお助け隊サービス
上記のようにITツールの5大分類から、さらに10のカテゴリーに分かれています。大分類のハードウェアはデジタル化基盤導入類型のみ、サイバーセキュリティお助け隊サービスはセキュリティ対策推進枠のみが対象です。
IT導入補助金の申請枠
IT導入補助金の申請枠は大きく以下の4つに分かれています。
- 通常枠
- デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
- デジタル化基盤導入枠(複数者連携IT導入類型)
- セキュリティ対策推進枠
申請枠によって条件や補助金が大きく変わるので自社の目的にあった申請枠で申請しましょう。
では、IT導入補助金の申請枠について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
通常枠
通常枠はEC構築や導入にかかった費用の1/2までが補助金の対象です。金額は最大4,500,000円までで、さまざまな業種が申請対象となります。
補助の対象となるITツールは先述した、大分類の「ソフトウェア」「オプション」「役務」のいずれかです。
また、通常枠は「A類型」「B類型」に分かれており、条件や補助の金額が異なります。A類型は1つ以上の業務プロセスを担うソフトウェアである必要があり、B類型は担うソフトウェアが4つ以上必要です。
また、通常枠のIT導入補助金申請は「IT導入支援事業者」に申請・手続きのサポートを依頼することもできます。
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
デジタル化基盤導入枠の補助金額は下限額はありません。
500,000円以下であれば3/4、500,000円を超えた場合は3,500,000円まで2/3と、通常枠よりも補助率が高くなります。
インボイス制度などに対応するための導入費用や、「ECソフト」や「会計ソフト」などデジタル化を支援する枠です。
デジタル化基盤導入枠の対象はITツールだけでなく、パソコンやタブレットなどの購入費用も1/2以内で最大100,000円までIT導入補助金の対象です。
デジタル化基盤導入枠(複数者連携IT導入類型)
デジタル化基盤導入枠の複数者連携IT導入類型は、複数の企業や事業者が連携してITを導入した経費が対象です。商店街などの地域の中小企業や小規模事業者が連携して、ITを導入したい際に利用ができます。
デジタル化基盤導入類型と同じく、補助金額は最大3,500,000円で、クラウド利用料も2年分まとめて補助されます。
セキュリティ対策推進枠
セキュリティ対策にITを導入する場合に対象となる申請枠です。セキュリティ対策推進枠は、経費の1/2までで最大1,000,000円の補助金が出ます。
セキュリティ対策のサービス利用料最大2年分が補助対象です。対象ITツールは「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されており、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表しているので参考にしてください。
事務局に事前登録されたサービスのみが対象となるため注意が必要です。
IT導入補助金の申請手順
「ECサイトを導入したいけど、IT導入補助金の申請手順についてわからない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
IT導入補助金の申請には8つの項目があります。注意点も交えながら、順を追って解説しますので、ぜひ読み進めてください。
「ITツール」と「IT導入支持事業者」を選定する
補助金の交付申請を行う準備として、「IT導入支援事業者」と相談し申請するITツールを決めます。
まず、相談する「IT導入支援事業者」を選びましょう。選んだIT導入支援事業者とECサイト導入に関する課題や、経営課題などを相談し導入するITツールを選択します。
対象のIT導入支援事業者は、IT導入補助金の公式サイトから確認してください。
アカウントを取得する
IT導入補助金の申請には必ず「gBizIDプライム」のアカウントが必要です。
「gBizIDプライム」とは行政サービスの申請ができるアカウントで、IT導入補助金の申請にIDやパスワードの提示を求められます。
gBizIDプライムアカウントは発行に2週間ほど必要です。料金は不要なので、早めに準備として取得しておくと申請がスムーズでしょう。
gBizIDプライムのアカウント以外に「SECURITY ACTION」の宣言が必要なので注意しましょう。
SECURITY ACTIONは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施しており、情報セキュリティ対策に取組むことを自己宣言する制度です。
「★一つ星」または「★★二つ星」がIT導入補助金の条件となるので、忘れずに行ってください。
「みらデジ」で経営チェックをする
次に、「みらデジ」で経営チェックを実施しましょう。
先述したgBizIDプライムのアカウントがみらデジの利用に必要なので、準備しておく必要があります。
みらデジは中小企業庁がECサイト構築など、デジタル化を通じた経営課題解決を目指す中小企業と取り組みを支援する各種機関の双方をサポートするポータルサイトです。
みらデジは無料で利用でき、5分ほどでチェックできます。
経営チェックの実施で不明点がある場合は、電話でみらデジ事務局のサポートを受けることも可能です。
交付申請をする(IT導入支援事業者と共同作業)
ここまでの事前準備が整ったら、交付申請を行いましょう。
交付申請には、IT導入支援事業者と共同で進める必要があります。
はじめにIT導入支援事業者から「申請マイページ」に招待を受けてください。
- 申請マイページに必要な申請者基本情報を入力する
- 交付申請に必要となる情報入力・書類添付を行う
- IT導入支援事業者にて、導入するITツール情報、事業計画値を入力する
- 申請マイページで最終確認後、申請に対する宣誓を行い事務局へ提出
申請者が入力する項目と、IT導入支援事業者が入力する項目があります。
申請の際には、導入するITツール情報など準備する書類が多く、日数を要する場合が多いので、早めにIT導入支援事業者を選定しましょう。
ITツールの発注・契約・支払いをする
ITツールの発注や契約、支払いは補助金事務局から「交付決定」の案内が通知されてからです。
補助金の交付決定が通知される前に発注や契約、支払いをしてしまうと、補助金の対象外となるので注意してください。
事業実績を報告する
IT導入補助金の交付を申請する前に、ITツールの発注や契約、支払いを実施した報告をする必要があります。ITツールの発注や契約、支払いを実施した証明は以下の順で進めてください。
- 申請者が「申請マイページ」から事業実績報告を作成し、必要な情報および証憑を添付する
- 事業実績報告の作成後、IT導入支援事業者が内容の確認および必要情報の入力を行う
- 申請者がIT導入補助金事務局に事業実績報告を提出
最終的な事業実績報告の提出は申請者自身が行う必要があります。
補助金交付の手続きをする
事業実績報告が完了し、IT導入補助金の金額が確定すると、申請マイページで補助額が確認できます。
補助額を確認後にIT導入補助金が交付されるので、事業実績報告を提出した後は、申請マイページを確認するようにしてください。
事業実施効果の報告をする
IT導入補助金の交付後にITツールの導入効果を報告する必要があるので、忘れずに実施してください。
定められた期間内に申請マイページより必要な情報を入力しましょう。
事業実施効果報告は、IT導入支援事業者が「IT事業者ポータル」から最終確認し、提出します。
IT導入補助金を受ける際の注意点
IT導入補助金の申請枠や申請手順を解説してきましたが、IT導入補助金にはいくつかの注意点があります。
IT導入補助金を受ける際の注意点を説明しますので、ECサイトでIT導入補助金を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
補助金の交付は1枠1つまで
IT導入補助金の交付は通常枠、セキュリティ対策推進枠、デジタル化基盤導入枠の各枠1つまでです。
IT導入補助金はITを導入することを支援する制度です。すでに交付された枠はITを導入済みなので、補助金が交付されません。
しかし、申請した枠で不採用となった場合は、再度申請できます。各枠1つまで申請は可能ですが、追加で申請した枠が減点対象となるので、採用されにくい可能性があります。
また、前年度交付対象となった場合も、事前に確認してください。申請枠によっては減点対象になったり、審査要件を満たさなかったりするケースがあります。
補助金の交付には数ヶ月かかる
IT導入補助金は交付が決定しても、実際に交付されるまで時間がかかることが多いので注意してください。交付が決定しても、振り込むまでの間に不備が無いかの確認が行われるためです。
また、申請の手順で解説したとおり、交付の可否がわかるまでにも時間を要します。
交付決定の連絡前にITツールの発注や契約、支払いをしてしまうと申請が無効となるので、タイミングを間違えないようにしっかりと確認しておきましょう。
計画が未達成だと返金が求められることがある
IT導入補助金交付後の事業実施効果報告で、申請した事前計画が未達成の場合は補助金の返金を求められる可能性があります。
返金を求める場合があると提示されている目標は、通常枠での「給与支給総額の増加目標」です。
給与支給総額の年率平均1.5%以上の増加目標が達成できていない場合は返金の対象となるので注意してください。
ECサイト構築で利用できる他の補助金との比較
ここからは、IT導入補助金以外のECサイト構築で利用できる他の補助金との違いを説明します。
IT導入補助金 | 事業再構築補助金 | 小規模事業者持続化補助金 | ものづくり補助金 | |
公式サイト | https://www.it-hojo.jp/ | https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.html | https://r3.jizokukahojokin.info/ | https://portal.monodukuri-hojo.jp/ |
対象 | 中小企業・個人事業主 | 中小企業・中堅企業 | 法人・小規模事業者・特定非営利活動法人 | 中小企業・小規模事業者 |
補助金額(最小) | 50,000円 | 1,000,000円 | 500,000円 | 1,000,000円 |
補助金額(最大) | 最大4,500,000円 | 70,000,000円
※成長枠 |
2,500,000円 | 50,000,000円 |
補助率 | 最大3/4 | 最大3/4 | 2/3 | 1/2~2/3
※申請枠による |
ECサイト構築 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
サイトリニューアル | 〇 | × | 〇 | × |
モール型ECサイト | 〇 | × | 〇 | 〇 |
広告宣伝 | × | 〇 | 〇 | 〇
※海外市場開拓(JAPANブランド)類型のみ対象 |
ツール | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ハードウェア | 〇 | × | 〇 | 〇 |
補助金支給日 | 交付決定日から約3か月後~
※案件による |
採択から約1年後 | 審査から約1年後 | 採択から約1ヶ月後 |
公募期間 | 6次締切分:10/2まで
7次締切分:10/30まで |
11次締切分:10/6まで | 13次締切分:9/7まで | 16次締切分:11/7まで |
他補助金との併用 | 〇
※別事業のみ |
〇
※別事業のみ |
〇
※別事業のみ |
〇
※別事業のみ |
過去の採択率 | 約50~60% | 約40% | 約60% | 約60% |
事業再構築補助金とIT導入補助金との違い
IT導入補助金はITを導入する経費にかかる費用のみが対象ですが、事業再構築補助金はコロナ禍で落ち込んだ事業や企業に対し、業績を回復させる支援を目的とした補助金です。
事業再構築補助金の最大補助金は150,000,000円と補助金額が大きいという特徴があります。
事業再構築補助金とIT導入補助金はどちらも、中小企業でも申請が可能です。
ECサイトの構築として申請するなら、IT導入補助金は補助の目的が販路開拓などのため、より採用されやすいでしょう。
小規模事業者持続化補助金とIT導入補助金との違い
小規模事業者持続化補助金はIT導入補助金と似たところもありますが、ITに特化した補助かそうでないかという違いがあります。
小規模事業者持続化補助金は、自社の経営を見直した経営計画を支援する補助金です。
IT導入補助金はECサイトなどITを導入する際に申請できる制度ですが、小規模事業者持続化補助金は幅広く「機械装置等費」や「広報費」「旅費」など、経営を立て直すための経費であれば補助金の対象です。
しかし、小規模事業者持続化補助金は、ECサイトなどのウェブサイト関連費のみで申請ができません。
また、補助金額は補助金交付申請額1/4(最大500,000円)が上限です。
ECサイトのみの経費で補助金申請したい場合は、IT導入補助金が向いています。
ものづくり補助金とIT導入補助金との違い
ものづくり補助金は、新商品や新サービスの開発や、新サービス提供プロセスの開発のために必要な経費が対象の補助金です。
IT導入補助金がIT導入を支援しているのに対し、ものづくり補助金は新たな商品やサービスの生産を支援する目的があります。
ものづくり補助金もIT導入補助金と同じく申請枠が複数あり、それぞれの規定や対象が細かく定められているので確認が必要です。
また、ものづくり補助金は3〜5年の事業計画が必要となり、賃上げなどの必要な項目もあるので、申請の際は注意してください。
よくある質問
ECサイトの構築に使える補助金はいくつかあるため、補助金について疑問が出てきた方もいるのではないでしょうか。
ECサイト構築で使える補助金に関するよくある質問をまとめて回答しましたので、ぜひ読み進めてください。
個人事業主がECサイトを構築するのに補助金をもらえる制度は?
個人事業主でもECサイトの構築で申請可能な補助金は以下の4つです。
- IT導入補助金
- 事業再構築補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- ものづくり補助金
ECサイトの構築であればIT導入補助金が代表的で、ITを導入するためのツールからハードウェアまで対象です。
IT導入補助金は対象も中小企業や個人事業主で、採用率も約60%あります。
IT導入補助金2023とは何ですか?
IT導入補助金2023とは、中小企業や小規模事業者などが対象で、業務効率化や売上アップのためのIT導入に必要な経費の一部を補助します。
また、企業間取引のデジタル化を推進することを目的とした制度です。
補助金は税金ですか?
補助金は主に経済産業省や地方自治体から公募されており、税金が財源です。
また、交付された補助金は基本的に収益という扱いになるので、課税対象となることを覚えておいてください。
まとめ
この記事では、ECサイトの構築に利用できるIT導入補助金について解説しました。
IT導入補助金は、ITツールやIT導入費用に特化した制度で、ECサイト構築が対象となる代表的な補助金です。
また、申請するまでの準備にも時間がかかるので事前準備を早めにはじめましょう。
ECサイトを構築する際に利用したい補助金は他にも「事業再構築補助金」「小規模事業者持続化補助金」「ものづくり補助金」があります。
ECサイト構築を検討している方は、この記事で紹介した補助金制度をぜひ参考にしてください。
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