「社内情報を厳重かつ簡単に管理したい」「データベース構築をしたいけど、構築の流れがわからない」とお悩みの方もいるでしょう。データベース構築をすると、膨大な情報を効率よく管理でき、業務をスムーズに行なえます。しかし、実際にデータベース構築をするためには、具体的にどのようなことをすればいいのでしょう。
本記事では、データベース構築の目的やメリット、手順、費用まで徹底解説します。本記事を読むと、データベース構築について理解でき、実際にデータベース構築をはじめられるようになるでしょう。今後、データベース構築をしたい方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
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目次
データベース構築とは?
データベース構築とは、業務の上で必要な社内情報管理やシステム開発に使用するためにデータベースを構築することを指します。データベースは、膨大なデータを管理するために効率化されたシステムです。表計算ソフトやデータベース構築システムにより、情報を管理する環境を整えることをデータベース構築と呼びます。
データベース構築すると、今後の業務におけるデータ活用がより効率化可能です。
データベース構築の種類
データベース構築は種類により複数に分類できます。
データベース構築の種類は以下のとおりです。
- 階層型
- ネットワーク型
- リレーショナル型
- NoSQL
- キー・バリュー型
- ドキュメント指向型
- グラフ指向型
ここからは、データベース構築の種類について詳しく解説します。
階層型
階層型のデータベース構築は、1つのノードから下に別のノードが派生しているツリー状のデータベースです。基本的に親ノードの下に子ノードが派生し、子ノードから親ノードを持つことはありません。
そのため、特定のノードへのルートが限られており、データにアクセスする速度が早くなります。
しかし、1つの子ノードに対して親ノードは1つのため、子ノードが複数の親ノードを必要とする場合には重複登録が必要となり、柔軟性に欠けることがデメリットに挙げられます。
ネットワーク型
ネットワーク型のデータベース構築は、1つの子ノードが複数の親ノードを持つ構造です。ノードのつながりが網目状であるため、ネットワーク型と呼ばれています。データの重複登録がなく、階層型と比べてもスムーズに検索可能です。
しかし、ネットワーク型のデータベース構築をする際は、専門的な知識が求められます。
リレーショナル型
リレーショナル型のデータベースは、行と列で構成されています。表のように構成されているデータベースであり、例えるとエクセルなどの表計算ソフトのような構造です。表でデータベースを管理するため、複雑なデータも柔軟に取り扱えます。
近年は、データベース構築といえばリレーショナル型を指すことが多いです。
NoSQL
NoSQLは、「Not only SQL」の略であり、SQL(データベースのアクセスや定義を行う言語)を使わずにリレーショナルデータベースを制御します。
基本的にはリレーショナル型と同じ構造ですが、処理速度が早く、多様なデータに対応している点が特徴です。
データ量が膨大になっても対応できますが、構造が複雑で管理が難しいことがデメリットです。
キー・バリュー型
キー・バリュー型は、キーと数値を使用してデータを保管します。データベース構築でよく利用されるリレーショナル型は、容量が大きくなると処理速度が遅くなり複雑な検索が難しいです。しかし、キー・バリュー型のデータは構造が単純なため、データにアクセスするスピードが早く、少ない容量でデータを管理できます。
ドキュメント指向型
ドキュメント指向型は、データの格納形式をドキュメントとして構成しています。
データベースをXML形式またはJSON形式のドキュメントで管理し、アプリケーションからでも管理しやすいことが特徴です。
1つのドキュメントにつき1つのデータが書き込みでき、複雑なデータ構造にも対応しています。スキーマレスで、自由度が高いデータベースです。
グラフ指向型
グラフ指向型は、グラフ構造を持つデータベースです。グラフには、ノード、エッジ、プロパティなどが含まれています。ノードは丸や点で表されるデータ、エッジは矢印で表されるノード同士の関係性、プロパティはノードやエッジの属性情報を指します。
グラフ指向型は、データが複雑でも検索速度が速いです。
データベースを構築する目的
データベース構築をする際は、どのような目的があるかの理解が重要です。
データベース構築の目的は以下のとおりです。
- 情報を集中管理するため
- 業務を自動化するため
- 分析や意思決定をスムーズに行うため
ここからは、データベース構築を行う目的について解説します。
情報を集中管理するため
データベース構築により、情報を集中して管理できるようになります。業務上で必要な情報をデータベースとして1つにまとめると、必要な情報またはデータを素早く検索可能です。自社の膨大なデータを検索できるだけでなく、指定した形で保存できます。そのため、企業のリスクマネジメントの役割も持ちます。
データベースを構築すると、情報管理・保管・活用の負担を軽減し、データに基づいて業務がスムーズに行えるようになるでしょう。
業務を自動化するため
データベース構築の目的は、業務の自動化です。データベースは入力規則を設定でき、入力形式を統一できます。そのため、入力ミスやデータが反映されないなどの不具合を未然に防げます。また、データベース構築により、入手した情報を自動で管理可能です。情報が変更された場合でも、情報を修正すると、関連付けされた情報データにも自動的に反映されます。
このように業務が自動化でき、これまでの作業がさらに効率化できます。
分析や意思決定をスムーズに行うため
データベース構築は、分析や意思決定をスムーズに行うことが目的の1つです。データベースを構築すると、必要な情報をいつでも使えるように環境を整えられます。また、データベースと分析ツールを連携させると、社内情報をリアルタイムで分析でき、意思決定をスムーズに行なえます。データベース構築を行うと、総合的に業務がスムーズになり効率化を図れるでしょう。
データベースを構築するメリット
データベース構築を導入すると、具体的にどのようなメリットが見られるのでしょう。
データベース構築をするメリットは以下のとおりです。
- データ管理が一元化できる
- 情報の抽出・分析が容易になる
- 効率よく情報共有できる
- セキュリティ強化につながる
ここからは、データベース構築をするそれぞれのメリットについて解説します。
データ管理が一元化できる
データベース構築をすると、データ管理が一元化できます。複数あるデータや情報を排除できるため、データの正確さが向上します。たとえば、顧客情報をエクセルファイルやノートでまとめている場合は、膨大なデータから1つずつ情報確認が必要でした。しかし、データベース構築により膨大な情報を一元化でき、顧客情報をすぐに検索可能です。
そのため、迅速なデータアクセスと正確な情報に基づいて意思決定が促進され、顧客とのコミュニケーション向上と効果的なサービス提供にもつながります。
情報の抽出・分析が容易になる
データベース構築をすると、情報の抽出と分析が簡単になります。たとえば、商品の購入データをデータベースにして購入した顧客情報をまとめると、情報を抽出して分析できます。情報抽出すると商品がどの世代に売れているかを確認でき、マーケティングにも活用可能です。
効率よく情報共有できる
データベース構築をすると、効率よく情報共有ができます。紙やエクセルでデータを管理していた場合、リアルタイムでの情報共有が困難でした。しかし、データベースを活用すると、複数の人が1つのデータにアクセスできるようになります。
そのため、プロジェクトの進捗がリアルタイムで共有され、業務の効率化にもつながります。
セキュリティ強化につながる
データベース構築は、セキュリティ強化にもつながります。紙媒体で個人情報を管理している場合は、外部からアクセスしやすく情報漏洩がしやすい状態でした。しかし、データベース構築をするとアクセス権限を設定でき、外部からのアクセスを防ぎます。
そのため、情報漏洩のリスクが軽減され、セキュリティ強化につながるでしょう。
データベースを構築する流れ
データベース構築をするためには、いくつかの工程が必要です。
データベース構築をする流れは以下のとおりです。
- データベースを構築する目的を明確にする
- 情報を分析する方法を考える
- 必要なデータを整理する
- データベース設計・開発する
- テストする
- 運用・保守を行う
ここからは、データベース構築の流れを詳しく解説します。
データベースを構築する目的を明確にする
データベース構築をする際は、事前に目的を明確にしておきましょう。どのような機能を実装するべきか、プロジェクトに対してどのように活用するかなど、目的によりデータベース構築方法はさまざまです。データベース構築は実用性がないとうまく活用できません。
業務で活用する際にどのように使用するか、またはどのような機能を導入すると効率化できるかなどの目的を定めておきましょう。
情報を分析する方法を考える
データベース構築をする際は、データベース情報を分析する方法を考えましょう。分析する方法によりデータベースの行や列の構成や属性などは異なります。データベースの分析手法は、さまざまな切り口でデータを掛け合わせる場合はクロス集計、相関関係を分析する場合は重回帰分析などの分析方法の選択がおすすめです。情報を分析する目的に合わせて適切な分析方法を選びましょう。
必要なデータを整理する
データベース構築にあたり、必要なデータを整理しておきましょう。作りたいデータベースの情報に合わせて必要なデータはさまざまです。必要なデータに合わせて顧客情報や商品情報などのデータをまとめ、導入した後に活用しやすいよう整理しておきましょう。
データベースを設計・開発する
要件定義を行った後は、データベース設計・開発を行いましょう。最初に設定した目的を満たすデータベース構築を行うために、必要な条件を基に設計します。設計ができれば、設計通りに機能するデータベース開発を行います。データベースの型が完成した段階は、情報が空の状態です。事前にまとめておいた情報をデータベースに入れていきましょう。
テストする
設計したとおりにデータベース構築ができたら、動作や操作のテストを行います。実装前にテストをすると、稼働前に不具合や修正を発見できます。正しくデータを抽出できているか、情報に誤りがないか、操作がスムーズにいくか確認しておきましょう。また、実際にデータベースを用いて業務が行えるかのテストも重要です。
運用・保守を行う
データベース構築後は、運用と保守を行いましょう。データベースに不具合がないか、サーバーに負荷がかかっていないかを定期的に確認し、メンテナンスするとパフォーマンス向上にもつながります。運用や保守を行わなければ、不具合やサーバー障害が発生し、業務に支障が現れる可能性が高いです。
不具合が起こった場合も事前に対処法を考えておくと、万が一の場合も安心です。
データベースを構築する方法
データベースを構築する方法でも自社にあった方法を選ぶことが大切です。
データベース構築する方法は、以下のとおりです。
- 自社で開発する
- 外注する
- クラウドサービスを利用する
ここからは、それぞれの方法を詳しく紹介します。
自社で開発する
データベース構築は、自社でも行えます。自社で一から開発するためには、知識と技術が必要です。専門的な知識を持つ人材を雇うことも可能ですが、費用がよりかかるデメリットが生じます。
しかし、近年はデータベース開発に必要な知識や技術、流れ、メンテナンスなどを説明してもらえるセミナーが開催されています。セミナーを活用すると、初めての方でもデータベース構築が行えるでしょう。
外注をする
データベース構築を専門にする会社に外注することも手段の1つです。外注する際は、外注を考えている会社の実績と得意分野を確認しておきましょう。自社が理想とするデータベース構築と外注先の得意分野が一致しているか、これまでどのような業界のデータベース構築が行われてきたかを慎重に判断してください。また、開発後のサポートが行われているかも重要なポイントです。不具合が生じた場合でも復旧作業を行ってくれるかは、会社によって異なります。
長い期間データベースを使用するためにも、外注先は慎重に選びましょう。
クラウドサービスを利用する
少ない予算内でデータベース構築を行いたい場合は、クラウドサービスの利用もおすすめです。クラウドサービスは、クラウド上で利用できるデータベースを指します。クラウドサービスの場合、管理システムの構築が必要なく、低いコストで導入できます。また、データベースサービスの提供元が構築や運用を行ってくれるため、結果的に人件費削減も可能です。
セキュリティ管理もしやすく安全性も高いため、自社で開発ができない方や外注する予算がない方にクラウドサービスがおすすめです。
データベース構築費用を決める要素
データベース構築の費用を決める要素は4つあります。
- データベースの種類
- データベースの規模
- データベースの強度
- データの共有手段
データベース構築をする際に重要な4つのポイントをそれぞれ解説します。
データベースの種類
データベースの種類は、費用を決める上で重要なポイントの1つです。テーブル数やカラム数が多いデータベースは情報量も膨大なため、構築に時間がかかり、その分コストも多くかかります。
また、リレーション数やテーブルを紐づけて構築すると、さらに手間がかかるためコストがかかります。
そのため、顧客情報と販売情報を紐づけて管理すると便利ですが、データベースの種類によりテーブル数が増えるため通常よりも費用が必要です。
データベースの規模
データベースの規模が大きくなると費用も大きくなります。小規模なデータベースと大規模なデータベースでは、開発費用が500万円程度異なります。データベース開発費用を少しでも抑えるには、小規模なデータベースからの構築がおすすめです。業務で活用しやすいと判断したら、徐々に拡張していくといいでしょう。
セキュリティの強度
データベース構築においてセキュリティ対策は重要です。しかし、セキュリティ対策をどこまで行うかにより、コストは大きく変動します。外部から容易にアクセスできないように、セキュリティの強度を上げることは大切です。しかし、セキュリティの強度を上げるためにエンジニアに業務委託すると、大きなコストがかかります。
データの共有手段
データの共有手段でも費用は大きく異なります。会社全体でデータ共有をする際は、より大きなデータベースサーバーの構築が必要です。そのため、データベースサーバーを何人で共有するかも事前に考えなければいけません。
データベースの共有人数によるランニング費用の目安は以下のとおりです。
- 1〜2人:50,000円〜
- 3〜9人:200,000円〜
- 10〜20人:1,000,000円〜
- 20人以上:3,000,000円〜
上記のように少人数に抑えるとコストも抑えられ、共有人数が増えるとその分コストも大きくかかります。
データベース構築の費用相場
データベース構築は、種類によって異なります。
データベース構築にかかるランニング費用相場は以下のとおりです。
データベースの規模 | 費用相場 |
個人事業主用のデータベース | 50,000円程度 |
部署内用のデータベース | 200,000円程度 |
業務システム用のデータベース | 1,000,000円程度 |
基幹システム用のデータベース | 5,000,000円程度 |
データベース構築にかかる費用相場について、上記の表を基に詳しく解説します。
個人事業主用のデータベース
個人事業主用のデータベースにかかる費用の目安は50,000円程度です。1〜2名で利用する簡単なデータベースの場合、コストは抑えられます。情報項目は少ないですが、情報量が膨大になりがちな顧客データや名刺情報を管理しやすいことが特徴です。エクセルを使ったデータ管理が厳しいと感じた方に、おすすめのデータベース構築です。
部署内用のデータベース
部署内容のデータベースにかかる費用は200,000円程度です。最大20人程度でデータ共有と活用ができます。他のシステムと連携して情報をデータベース化したい場合や、業務を効率化したい場合は部署内用データベースを使用しましょう。
業務システム用のデータベース
業務システム用のデータベースにかかる費用は1,000,000円程度です。大企業向けのデータベースシステムで、最大30人程度で共有と活用ができます。ブラウザでデータベースの格納が必要のため、費用も大きくなります。また、データベース共有人数により分散処理とネットワークの最適化も必要です。
基幹システム用のデータベース
基幹システム用のデータベースにかかる費用は5,000,000円程度です。業務システム用データベースと同様なデータベースですが、一元管理されたデータベースが全システムを管理・保管します。
基幹システム用のデータベースはデータベース単独で構築するのではなく、基幹システムパッケージごと導入されるケースがほとんどです。
よくある質問
データベース構築に関するよくある質問をまとめました。
- データベース構築の費用を抑えるコツは?
- データベースのデータ構成は?
- データベースとデータの違いは何ですか?
データベース構築を始める前に、わからないポイントを確認しておきましょう。
データベース構築の費用を抑えるコツは?
データベース構築の費用を抑えるためには、最初は小さくデータベース構築をしましょう。データベース構築に必要なテーブル数やリレーション数が多くなると、データベース構築に費用がかかります。そのため、最初は必要最小限の機能でデータベース構築を行い、活用法を検証してから徐々に拡張していきましょう。
データベースのデータ構成は?
データベースは、4つの要素から構成されています。
- テーブル…データを表形式で表す要素。エクセルでいう「シート」に該当する。
- カラム…エクセルでいう「列」にあたる。垂直方向にあるデータのことで属性のことをカラムと呼ぶ場合がある。
- レコード…エクセルでいう「行」にあたる。水平方向のデータという意味を指す。
- フィールド…エクセルでいう「セル」にあたる。データの最小単位。
データベースは、上記のデータから構成されており、表形式でグループ化します。
データベースとデータの違いは何ですか?
データは情報の要素であり、値、テキスト、数値、画像などを指します。一方、データベースは複数の関連性あるデータの集合体を組織化して効率的に管理、格納、検索するシステムです。つまり、データは情報それぞれの要素であり、データベースはデータを組織化して管理するシステムを指します。
まとめ
本記事では、データベースを構築する目的、メリット、流れ、費用について紹介しました。
データベース構築は、業務で必要な情報の活用を進めるためのデータ管理の仕組みを作ることを指します。データベース構築を導入するメリットは以下のとおりです。
- データ管理が一元化できる
- 情報の抽出・分析が容易になる
- 効率よく情報共有できる
- セキュリティ強化につながる
このように、データベース構築をすると業務の効率や質も向上します。データベース構築を始める際は基礎情報だけでなく、目的やメリット、流れまでの理解が必要です。自社でデータベース構築を考えている方は本記事を参考に、目的や流れを理解した上でデータベースの構築に取り組んでみてください。
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