新規事業立ち上げで活用できるフレームワーク|フレームワーク活用のメリットとは

新規事業を成功させるには、的確な戦略や計画が必要です。しかし、多くの経営者や担当者が直面するのが、どのような手法やフレームワークを活用すれば良いのかわからないという問題です。そこで、本記事では新規事業立ち上げにおいて活用できる優れたフレームワークについて解説していきます。

この記事を読むことで、フレームワークの活用メリットや、具体的な新規事業立ち上げに役立つフレームワークを理解できるでしょう。

それでは、新規事業の立ち上げにおけるフレームワークの重要性や利点について詳しく見ていきましょう。

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フレームワークとは?

フレームワークとは、ビジネスにおいて目標達成や経営戦略、課題解決に役立つ思考の枠組みのことです。この概念は、「枠組み」や「骨組み」という意味も含んでいます。ビジネスの世界では「ビジネスフレームワーク」とも呼ばれ、具体的な手法やアプローチではなく、基本的な考え方や組織の進め方を体系化したものを指す言葉です。

フレームワークを活用することで、課題を整理し、効果的な解決策を見つけられます。そのため、フレームワークはビジネスの初心者には課題の本質に迫るためのショートカットを提供し、経験豊富な経営者には戦略・知識の再構築や戦略策定において大きな支援となるでしょう。

なぜフレームワークが仕事の成果を最短・最速で上げるためのツールになり得るのでしょうか。それは、フレームワークが問題解決のための論理的思考を促し、複雑な課題を整理・分析する手法を提供してくれるからです。

多くの人はビジネスにおける思考の型が持てず、アイデアが浮かんでも具現化できないことがデフォルトとなっています。フレームワークは、こうした課題を克服するためのツールとして、ビジネスの初心者からベテランまで幅広い人々に重要な役割を果たしています。

新規事業立ち上げにフレームワークを活用する利点

先ほどフレームワークについて簡単に説明しました。

ここでは新規事業立ち上げにフレームワークを利用する利点を5つ挙げて説明します。

皆が論理的思考で考えられる

新規事業立ち上げにおいてフレームワークの活用による利点の一つは、皆が論理的思考で考えられることです。

フレームワークは、問題解決や戦略立案における論理的な思考を、誰でも行えるようにしてくれます。

誰でも共通の枠組みに基づいて考えられるため、意見や意思の齟齬を最小限に抑え、円滑なコミュニケーションと意思決定が可能です。フレームワークの適用により、メンバー全員が一貫性のある論理的な思考プロセスを共有し、協力して問題を解決できます。

考えを整理しやすくなる

新規事業立ち上げにおいてフレームワークを活用する利点の一つは、考えを整理しやすくなることです。

フレームワークを使用することで、事業計画における多くの要素や課題を体系的に整理することが可能です。

顧客ニーズの定義や予算の確保など、考えるべきポイントを明確にし、それぞれの要素を整合させることができるでしょう。これにより、ビジネスチーム全体での共通理解が生まれ、効果的な戦略策定と実行計画の立案が可能となります。考えを整理することで、新規事業の目標や方向性を明確にし、迅速な意思決定と行動を促せます。

取り組みを可視化・共有しやすくなる

新規事業立ち上げにおいてフレームワークを活用する利点の一つは、取り組みを可視化・共有しやすくなることです。

フレームワークを使用することで、事業の進行状況や各プロセスを明確に可視化できます。チームメンバーは共通の枠組みを使用しているため、同じビジョンや目標に向かって取り組めます。

また、フレームワークは情報の整理や意思決定を行う手助けにもなり、情報の共有も容易です。このような可視化と共有により、メンバー間のコミュニケーションがスムーズになり、組織全体での効率的な業務推進が可能となります。

無駄を省きスピーディーに検討できる

新規事業立ち上げにおいてフレームワークを活用する利点の一つは、無駄を省きスピーディーに検討できることです。

フレームワークは必要な情報や手順が決まっており、問題解決や戦略立案において論理的思考を促します。これにより、ゼロから考える必要がないことに加え、重要なポイントに絞った検討が行えるため、無駄な時間やリソースの浪費を防ぐことができます。

検討漏れを減らせる

新規事業立ち上げにおいてフレームワークを活用する利点の一つは、検討漏れを減らすことです。

フレームワークは、事業計画や戦略策定において必要な要素や手順を体系的に整理します。これにより、検討すべきポイントを網羅的にカバーし、見落としや漏れを最小限に抑えられます。

アイデア出しとアイデアの整理に活用できるフレームワーク

これまでフレームワークの利点について学んできましたが、具体的にどのようなフレームワークがあるのでしょうか。

ここではアイデア出しとアイデアの整理に活用できるフレームワークを5つ紹介します。

マンダラート

マンダラートは、マンダラチャートの略でアイデア出しや問題解決のために使用されるフレームワークです。

中心にお題や目標を置き、その周囲に関連する要素を放射状に配置します。それが曼荼羅に似ていることが名前の由来です。

それぞれの要素からさらに細分化された要素を結びつけ、全体の関連性や優先順位の可視化できます。

マンダラートは思考の整理やアイデアの発展を促し、シンプルな構造で複雑な問題に取り組めるのが特徴です。各要素や関係性を視覚的に把握することで、全体像を把握しながら具体的なアクションプランを立てられます。

SCAMPER法

SCAMPER法は、創造性や改善のための思考ツールです。問題解決やアイデア発想に使用されます。SCAMPERは

  • Substitute(置き換える)
  • Combine(組み合わせる)
  • Adapt(適応させる)
  • Modify(変更する)
  • Put to another use(他の用途に使う)
  • Eliminate(削除する)
  • Reverse(逆転させる)

の頭文字を表しています。既存のアイデアや要素をそれぞれの視点で見直すことで、新たなアイデアを生み出すためのきっかけをつくります。SCAMPER法は創造性を刺激し、アイデアの多様性と革新を促すための手法として有効です。

ペルソナ分析

ペルソナ分析は、マーケティングやプロダクト開発において顧客を理解するための手法です。

架空の顧客像(ペルソナ)を作成し、その顧客の特徴や行動パターン、ニーズや課題を詳細に洞察します。

データや市場調査の情報をもとに、ペルソナの年齢、性別、職業、興味関心、購買行動などを具体的に描き出します。

ペルソナ分析は、企業や商品がターゲットとする顧客層を明確にし、それに合わせてマーケティング戦略やプロダクト開発を行うための重要な手法です。ペルソナ分析は、より具体的にかつ詳しく検討することがポイントとなります。

顧客視点でのアプローチを可能にし、顧客に対する認識と接触を深められます。

ロジックツリー

ロジックツリーは、問題解決や意思決定をサポートするためのグラフィカルなツールです。

主にロジカルシンキングの手法の1つとして有名です。

問題や目標を中心に配置されたツリー構造で、上位から下位までの関係性や因果関係を表現します。ロジックツリーは、複雑な問題やプロジェクトを分解し視覚化することで、論理的な思考が整理されるでしょう。ロジックツリーを使用することで、体系的な思考や問題解決が可能となり、明確な方向性や行動計画の策定が容易になります。

MVV

MVVは、ミッション(Mission)、ビジョン(Vision)、バリュー(Value)の頭文字を取ったフレームワークです。企業や組織の基本的な方向性や意義を明確化するために使用されます。

ミッションは、企業の存在意義や目的を表し、なぜその事業に取り組むのかを示します。ビジョンは、将来の理想的な状態や目標を描き、どのような姿を追求するのかを示すものです。バリューは、組織の価値観や信念を表し、どのような価値を提供するのかを示します。

MVVを明確にすることで、組織の方向性を統一し、目標に向かって行動するためのガイドラインが提供されるでしょう。また、社内外のステークホルダーに対して、組織の特徴や取り組みを伝える役割も果たすのです。MVVは組織のアイデンティティや文化を形成し、戦略立案や意思決定の基礎となる重要な要素です。

 

マーケット調査と市場分析に活用できるフレームワーク

ここではマーケット調査と市場分析に活用できるフレームワークについて5つの例を紹介します。

3C分析

3C分析とは、自社の内外の環境について調査を行い成功の要因を見つけ出すために行われます。

3CはCoustomer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの頭文字Cからできた言葉です。3C分析を行うことで、事実を正確に分析でき、その後のマーケティング戦略をより具体的に考えていくことが可能となります。

SWOT分析

SWOT分析とは、先ほどの3C戦略と同様に自社の内外の環境について調査するために行われます。

SWOT分析とはStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の頭文字から来ており、マーケット調査や市場分析において現状を把握する方法として有名です。

SWOT分析を行うことで伸ばすべき強みや、将来的にぶつかるであろう壁を予測できる可能性があります。SWOT分析を行うだけでは効果はないので、目的にあわせて具体的な対策を行うためのきっかけとして用いましょう。

VRIO分析

VRIO分析は、企業の競争力を評価するためのフレームワークです。

VRIOとは、Value(価値)、Rareness(希少性)、Imitability(模倣性)、Organization(組織能力)の頭文字です。

この分析により、企業のリソースや能力が競争上の優位性を持つかを判断します。価値のあるリソースや能力は競争力に寄与し、希少性が高ければ他社から差別化できます。

さらに、模倣性が低い場合は他社が容易に模倣できず、組織能力が高ければ持続的な競争優位性を築けるでしょう。VRIO分析は企業のリソースや能力を客観的に評価し、戦略立案やリソースの最適活用に役立ちます。

PEST分析

PEST分析は、企業や組織が外部環境を評価するためのツールです。PESTとは、Political(政治)、Economic(経済)、Social(社会)、Technological(技術)の頭文字です。

この分析により、外部環境の要因やトレンドを理解し、事業戦略や意思決定に反映させられるでしょう。

政治的な規制や法律、経済的な動向や市場の状況、社会的な価値観や人口動態、技術の進化やイノベーションなどが分析対象となります。

PEST分析は、市場の変化や競争環境の把握に役立ち、機会や脅威を把握して適切な対策を立てるための重要な手法です。

ポジショニングマップ

ポジショニングマップは、製品やブランドの市場での位置を可視化するためのツールです。

横軸や縦軸には、顧客が価値を評価する重要な要素や属性を配置し、それに基づいて競合他社や自社の位置をプロットします。

このマップを通じて、自社の製品やブランドが他社と比較してどのような特徴や差異を持っているかがわかります。

また、顧客のニーズや要求に対してどの領域で競合優位性を持っているかも把握可能です。

ポジショニングマップは、マーケティング戦略の立案や製品開発において、ターゲット市場での差別化や競争力強化のための重要な手法として活用されます。

事業を構築して戦略を練る際に活用できるフレームワーク

最後に事業構築して戦略を練る際に利用するフレームワークの例を2つ紹介します。

4P分析

4P分析は、マーケティングの基本的な要素を評価するためのツールです。

4Pとは、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通・販売チャネル)、Promotion(販促・宣伝)の頭文字です。

この分析により、製品やサービスの特徴、価格設定、販売・流通戦略、プロモーション活動がどのように顧客に影響を与えるかを理解します。

製品の品質や機能、価格設定の競争力、販売チャネルの選定や配置、効果的な広告や販促活動などが評価対象です。

4P分析は、マーケティング戦略の立案や製品開発、市場投入計画の策定において、ターゲット市場での競争力を高めるための重要な手法として使用されます。

4C分析

4C分析は、顧客の視点に立ったマーケティング分析ツールです。4Cとは、Customer(顧客)、Cost(費用)、Convenience(利便性)、Communication(コミュニケーション)の頭文字です。この分析により、顧客のニーズや要求を理解し、製品やサービスの提供方法を最適化します。

顧客の視点で分析するため、まずはCustomer(顧客)のニーズや要求を明確に把握し、Cost(費用)では顧客が製品やサービスに対して支払う必要がある費用を評価します。

Convenience(利便性)は、顧客が製品やサービスを利用する際の利便性や簡便さを評価する項目です。Communication(コミュニケーション)では、顧客とのコミュニケーションや情報の伝達方法を評価し、顧客との関係構築や信頼構築に努めます。

4C分析は、マーケティング戦略の立案や製品開発、顧客満足度の向上において、顧客中心のアプローチを促進し、競争力の強化に役立つ重要な手法です。

新規事業でフレームワークを効果的に活用する際のポイント

ここまでさまざまなフレームワークを紹介してきましたが、フレームワークを知っているだけではうまくいきません。

フレームワークを効果的に活用することで初めて事業の成功につながります。

ここでは新規事業でフレームワークを効果的に活用する方法について学んでいきましょう。

いくつかのフレームワークを組み合わせる

新規事業でフレームワークを効果的に活用する際のポイントは、複数のフレームワークを組み合わせることです。

異なるフレームワークを組み合わせることで、より広範な視点や多角的な分析が可能になります。

たとえば、マーケット調査には3C分析やSWOT分析を活用し、アイデア出しにはマンダラートやSCAMPER法を組み合わせるなどです。複数のフレームワークを組み合わせることで、異なる要素や側面を網羅的に考慮でき、より具体的かつ戦略的なアプローチが可能になります。さまざまなフレームワークを組み合わせることで、新規事業の立ち上げにおいてより包括的な分析と戦略の策定が行えます。

「フレームワークを活用するメリット」をメンバーと共有する

新規事業でフレームワークを効果的に活用する際のポイントは、フレームワークを活用するメリットをメンバーと共有することです。

チームメンバーがフレームワークの活用メリットを理解し、共有することで、活用の意義と効果を認識できるでしょう。

フレームワークの有用性や役割を明確に伝え、メンバーの関心や意識を高めることで、積極的な参加やフレームワークの適切な活用が促されます。また、フレームワークを活用することで得られる利点や成果を共有することで、メンバーのモチベーションや協力意欲を高めることもできます。

メンバーとの共有により、フレームワークを活用した新規事業の成功に向けた一体感と効果的な取り組みが生まれるでしょう。

新規事業立ち上げでフレームワークを活用する際によくある質問

新規事業立ち上げの際のフレームワーク活用に関して、よくある質問をいくつかまとめていますので参考にしてください。

フレームワークの活用にデメリットはありますか?

あります。

フレームワークはあくまで補助であり、すべての状況に適応できるわけではありません。

また、型に当てはめるフレームワークを用いることで、創造性や柔軟性を制限してしまうこともあります。

新規事業の立ち上げに適した人材は?

新規事業の立ち上げには、問題解決能力や想像力などさまざまな能力が必要ですが、なによりリスクを恐れずビジネスチャンスを追求する力が必要です。

このような能力がある人が適しています。

アイデア出しを習慣化するための方法は?

アイディア出しを習慣化するための方法は、インプットとアウトプットを行う癖をつけることです。

さまざまな分野の情報をインプットすることで視野が広がります。

また、思ったことをメモする、人に話すなどアウトプットを行うことがアイデア出しにつながるでしょう。

まとめ

新規事業の立ち上げには、フレームワークの活用が有益です。

フレームワークは誰にでも課題や思考の整理ができる、論理的思考を促進するためのツールです。

複数のフレームワークを組み合わせることで総合的な視点を得られ、問題解決や戦略立案がスムーズになります。

また、メンバーとの共有や意見交換を通じてチームの一体感を高め、効果的な取り組みが可能となります。

アイデア出しの習慣化やチームの創造性を促す環境づくりも重要です。

新たなビジネスチャンスを追求し、リスクを恐れずに挑戦する姿勢を持つことが成功への道です。

フレームワークを活かすことで、新規事業立ち上げがよりスムーズなものになるでしょう。

本記事を参考に、ぜひ新規事業立ち上げにチャレンジしてみてください。

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