初めてシステム開発に挑戦する時、ほとんどの方が不安を感じると思います。
この記事ではそのような方に役立つ「プロトタイプ開発」の基礎知識や特徴について詳しく紹介しています。
さらに、より効率的な開発を進めるための知識も得られるよう「アジャイル」や「ウォーターフォール」など、さまざまな開発手法との違いを比較しわかりやすくまとめました。
この記事を読めば、プロトタイプ開発の特徴や他の開発手法との比較を通じて、より効率的な開発手法を選択できるようになるので、ぜひ最後まで読んでみてください。
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プロトタイプ開発とは
プロトタイプ開発とは、開発初期で試作品を作り、それを評価しながら全体の仕様を決める手法です。
詳細な要件や設計は初期では絞り込まず、全体の流れと大枠の仕様を確認していきます。
プロトタイプ開発の最大の特徴は、開発初期から顧客が深く関与し、途中での仕様変更が容易で要望を反映しやすいことです。
また、同時に顧客はシステム動作を見て完成イメージを具体化できます。
他の開発手法と比べ、プロトタイプ開発は完成イメージ共有を重視する点が特徴です。
そのため、深いコミュニケーションと共有イメージを重視したい場合に有効な手法といえます。
プロトタイプ開発に向いているケース
プロトタイプ開発は、その特徴から下記のような特定のケースにおいて非常に有効な開発手法となります。
- 完成品のイメージがあいまいな場合
- システム開発の発注経験が少ない場合
- ユーザーインターフェースを重視する場合
- 前例が少ないシステムを開発する場合
上記ケースでは、プロトタイプ開発はその強みを最大限に発揮します。以下でそれぞれのケースについて詳しく見ていきます。
完成品のイメージがあいまいな場合
プロトタイプ開発は、完成品のイメージが具体的に決まっていない場合でも問題ありません。
初期段階から試作品を作成するため、完成イメージを共有しながら開発者と一緒にシステムを形成していけるからです。
また、発注者側が初めてシステム開発を行う場合でも、プロトタイプ開発を通じて具体的な仕様や機能を詰めていく過程で、発注者自身もシステムのイメージを具体化しやすくなります。
そのため、プロトタイプ開発は、発注者が初心者であったとしても、より適切なシステムを形成しやすいといえます。
システム開発の発注経験が少ない場合
システム開発の発注経験が少ない場合も対応可能です。
プロトタイプ開発は試作品の過程で、発注者と一緒にシステムを形成し要望を具体的に擦り合わせられます。
これにより、細かな要望を反映させやすく、発注者が初めてでも適切なシステムを形成できます。
システム開発の発注経験が少ない場合にも、プロトタイプ開発は適した開発手法です。
ユーザーインターフェースを重視している場合
ユーザーインターフェース(UI)を重視する場合にもプロトタイプ開発は適しています。
試作品を元に動作確認をする過程で、UIの操作性やデザイン性についても評価し、改善点を見つけていけるからです。
開発者はそれらのフィードバックを基にUIに修正を加えることが可能です。
これにより、UIがユーザーにとって使いやすく、見た目も納得できるレベルになるまで修正を依頼できます。
前例が少ないシステムを開発する場合
前例が少ないシステム開発に取り組む場合でも問題ありません。
プロトタイプ開発の初期段階で作る試作品で、より入念な打ち合わせが可能だからです。
新規のシステムを開発する際や、具体的な指示が難しい場合でも、試作品で完成イメージを確認しながら必要な改善点を見つけ出せるプロトタイプ開発は適しています。
プロトタイプ開発に向いていないケース
プロトタイプ開発は多くの場面で有効な手法ですが、すべてのシステム開発がプロトタイプ開発に適しているわけではありません。
ここでは、プロトタイプ開発がデメリットとなるケースについて紹介します。
試作品の必要性が少ない場合
プロトタイプ開発は、試作品の必要性が低い場合は向いていません。
試作品の必要性が低ければ、試作品の作成や評価にかかる時間と費用は無駄になるからです。
過去に類似したプロジェクトや製品の要件定義が明確な場合や完成形のイメージ違いになるリスクが低い場合、デザイン性の確認が不要な場合は、前例のある結果や成果物を参考にする方がスムーズに進む可能性が高いです。
開発の関係者が多い場合
プロトタイプ開発は、開発関係者が多い場合は適していないといえます。
関係者のフィードバックを活用して製品の方向性を確立することが一般的なプロトタイプ開発の進め方です。
しかし、関係者が多い場合はスケジュール調整が難しくなり、関係者間の思惑や立場の違いから意見が一致せず、意見をまとめるのが困難になりやすいからです。
開発の関係者が多い状況では、プロトタイプ開発よりも他の開発手法を選択する方が賢明な選択といえるでしょう。
プロトタイプ開発の手順
プロトタイプ開発の手順を具体的に見ていきます。一般的なソフトウェア開発と大きく異なるわけではなく下記のような手順となっています。
- 要件定義
- 設計
- プロトタイプ(試作品)開発
- 評価・検証
- 修正
- 本番開発・リリース
詳しく解説していきます。
要件定義
要件定義は開発の最初のステップであり、製品が果たすべき役割や達成すべき目標、機能要求などを細かく明確にすることです。
しかし、プロトタイプ開発では要件定義の段階では細部まで詰める必要はありません。
このフェーズではシステム開発の主な目的や、開発するシステムの大まかな機能や目標を定義します。
その上で初期の試作品(プロトタイプ)を作るための足がかりを得ることが目的です。
設計
設計フェーズの段階では、システムがどのように動作するか、どのように構築されるかを決定します。
要件定義で設定した目標を達成するための詳細や計画を立てることが主な役割で、データ構造、UIデザイン、システムアーキテクチャなどが含まれます。
プロトタイプ開発では、設計フェーズも全体の概観を掴むことが重要です。
実装すべき主要な機能を決定し、それらをどのように実現するかの大まかな計画を立てるからです。
プロトタイプ(試作品)開発
設計フェーズの後にプロトタイプ(試作品)の開発が始まります。
プロトタイプ開発が開発プロセスの中心的な部分となり、ここで初めてソフトウェアの実体がみえてきます。
プロトタイプ開発の目的は、設計フェーズで定義された機能を具現化し、それらが実際にどのように動作するかを確認することです。
これにより、開発者と顧客は具体的な製品のビジョンを共有し、その機能や操作性をここで評価できます。
評価・検証
開発したプロトタイプが目指す目標や仕様を満たしているか評価・検証します。
プロトタイプの評価はソフトウェア開発者だけでなく、プロジェクトのステークホルダー(顧客、ユーザー、マネージャーなど)も参加します。
開発者が依頼者の期待に合った製品を開発できるよう、依頼者自身もこの評価・検証プロセスに深く関与し、改善点を明確に伝えることが重要です。
修正
評価・検証の結果、プロトタイプに改善が必要な部分が見つかった場合、修正のフェーズに移ります。
指摘された問題を解決し、プロトタイプを改善していきます。
修正にかかる時間や回数は会社によって異なりますが、技術力の優れたシステム開発会社に依頼することで効率的な修正が期待できるでしょう。
本番開発・リリース
修正が完了し、プロトタイプが最終的な形に仕上がったら、本番開発への移行です。
プロトタイプで確認・評価された要件を基に、製品の全機能を実装します。
全機能の実装が終了したらリリースに向けて、製品はさらに厳密なテストを受け、バグの修正、パフォーマンスの最適化、セキュリティチェックなどが行われます。
リリース段階で完成した製品がユーザーに配布され、実際に使用が開始です。
これらすべてのステップを通じて、製品がユーザーのニーズに最も適した形になるよう、開発プロセスを繰り返し改善するのがプロトタイプ開発の特徴です。
プロトタイプ開発の5つのメリット
プロトタイプ開発にはさまざまなメリットがあります。ここでは、プロトタイプ開発のメリットを下記のようにわかりやすく5つに分けて解説していきます。
- プロジェクトを早期に開始できる
- 完成品のイメージがしやすい
- イメージのずれを修正しやすい
- クオリティを高められる
- 臨機応変に柔軟な対応ができる
5つの主要なメリットについて見ていきましょう。
プロジェクトを早期に開始できる
プロトタイプ開発では、詳細な要件定義や設計が必要なく、早い段階で開発を始められます。
これにより、プロジェクトの立ち上げを迅速に行うことが可能となり、時間とコストを節約できます。
完成品のイメージがしやすい
開発の初期段階で試作品を作るため、発注者や開発チームが完成品のイメージをより具体的に把握しやすいのが特徴です。
これは、要求と現実のギャップを早期に発見し、改善できるプロトタイプ開発の大きな特徴です。
イメージのずれを修正しやすい
プロトタイプ開発では、試作品を実際に見ながら仕様の確認や検証を行います。
これにより、開発途中でもイメージのずれや問題点を具体的に指摘できるため、細かな修正まで対応可能です。
クオリティを高められる
プロトタイプ開発では、開発の初期段階から具体的なフィードバックを得ることができます。
これにより、開発途中で得られた意見や要望を最大限に反映し、製品のクオリティを高めることが可能です。
臨機応変に柔軟な対応ができる
プロトタイプ開発は、開発途中の仕様変更を前提にスケジュールを組むため、変更要求にも柔軟に対応できます。
このため、予想外の課題や新たな要望が出た場合であっても、スムーズに対応可能です。
プロトタイプ開発の3つのデメリット
プロトタイプ開発には下記のような注意すべきデメリットも存在します。
- 大規模な開発には不向き
- 開発コストがかかる
- 技術力が必要
デメリットについて詳しく見ていきましょう。
大規模な開発には不向き
プロトタイプ開発は大規模な開発プロジェクトには適していません。
この方法では、試作品(プロトタイプ)を作成し、その試作品の評価と改善を繰り返すことで全体の仕様を固めていきます。
しかし、大規模な開発では、このプロセスでの意見の取りまとめに時間がかかり、作業効率が悪化する可能性が高くなります。
大規模な開発プロジェクトのように多くの人が関わる場合は、プロトタイプ開発は不向きといえるでしょう。
開発コストがかかる
プロトタイプ開発は試作品の作成と評価を繰り返すため、開発コストがかかります。
試作品の数が増えると、それに伴って開発にかかる費用と時間も増えます。
これは、試作品の作成には人的リソースと時間が必要であり、これらが増加すれば開発コストも増加するからです。
技術力が必要
プロトタイプ開発で開発期間の長期化を懸念する場合、技術力と開発力に優れた会社に依頼する必要があります。
試作品の作成と評価を繰り返すという性質上、技術的な問題を素早く解決できる能力が求められ、それらの能力がなければ時間と費用が嵩んでしまいます。
そのため、技術力・開発力に優れた会社に依頼する必要があるのです。
プロトタイプ開発で失敗しないためのポイント
プロトタイプ開発で失敗を避けるための重要なポイントは下記のようにいくつか存在します。
- 実績が豊富なシステム開発会社に依頼する
- サポート体制が整っている会社を選ぶ
- 問い合わせへの対応が早い会社を選ぶ
- 開発スケジュールに余裕を持っておく
- 他の開発手法についても理解しておく
それぞれ失敗を避けるポイントを具体的に解説していきます。
実績が豊富なシステム開発会社に依頼する
実績が豊富なシステム開発会社を選ぶことがポイントです。
経験と知識を持ったプロフェッショナルがいる会社は、想定外の問題にも柔軟に対応できます。
また具体的な成果物が多い会社は、その経験からスムーズに解決手段を用意でき、対応してくれます。
サポート体制が整っている会社を選ぶ
システム開発は、完成したら終わりではないため、サポート体制が整っている会社を選ぶことも重要です。
開発後の運用で長期的に利用するためにも、適切なサポートが必要となります。
開発後のサポート体制が整っている会社を選ぶことは、システムの持続的なパフォーマンスを保つために重要です。
問い合わせへの対応が早い会社を選ぶ
開発中や運用中に問題が発生した際、早急に対応してくれる会社を選ぶことは不可欠です。
このためには、コミュニケーションが円滑で、素早く対応してくれる会社が望ましいといえます。
積極的な提案や改善策を出してくれる会社など、安心できる会社を選びましょう。
開発スケジュールに余裕を持っておく
プロトタイプ開発では、修正や試作品の作成に時間がかかることがあります。
そのため、開発スケジュールには余裕を持つことが重要です。これにより、開発途中での問題や変更にも対応しやすくなります。
他の開発手法についても理解しておく
プロトタイプ開発だけでなく、他の開発手法についても理解しておくことが大切です。
各案件には最適な開発手法が存在し、それを理解して選択することで、より効率的な開発が可能になります。
プロトタイプ開発と他の開発方法との違い
プロトタイプ開発がどのように他の開発方法と異なるのかを表でまとめました。それぞれの開発方法の概要も詳しく見ていきます。
システム開発の種類徹底仮説|オープン系・Web系・汎用系の違い・コスパを紹介
概要 | 特徴 | |
プロトタイプ開発 | 早期の試作モデルを作成して要件を検証する | 短期間でのフィードバックを得られる手法で、柔軟に変更に対応できる |
アジャイル開発 | ユーザーの要求を優先し、反復的に開発を進める | 頻繁なコミュニケーションを通じて柔軟な開発が可能 |
ウォーターフォール開発 | 工程を順番に進める従来の開発手法 | 厳密な計画と文書化されたプロセスに基づいて開発を進める |
スパイラル開発 | リスク分析と反復を組み合わせた開発手法 | リスク管理に重点を置きつつ、詳細な計画と設計を行いながら開発を進める |
MVP開発 | 最小限の機能でリリースし、フィードバックを得る | 早期に市場の反応を確認し、スコープを最適化しながら開発を進める |
アジャイル開発
アジャイル開発は、開発工程を機能単位に分け、一つの機能に対して要件定義からテストまでのサイクルを繰り返す開発手法です。
この方法はスピードを重視しており、一つの機能の要件定義からテストまでのサイクルは通常1〜2週間ほどで終えます。
得られたフィードバックから改善点を把握し、開発の方向性を定めます。
ウォーターフォール開発
ウォーターフォール開発は、開発工程を一方向に進める方法です。
前の工程が完全に終了した後で次の工程に進むという手順を取り、要件定義、設計、実装、テスト、保守という流れで進めていきます。
全体の流れが明確で計画的な開発が可能な一方、前の工程に戻ることが困難という特性があります。
スパイラル開発
スパイラル開発は、開発工程を機能単位に分け、重要度や優先順位の高い機能から開発を進める方法です。
各機能について要件定義から評価までを繰り返すことで、開発品の完成度を高めていきます。
開発品の完成度を高めやすい点、仕様変更に対応しやすい点はプロトタイプ開発との共通点といえます。
MVP開発
MVP(Minimum Viable Product)開発は、最小限の機能を持つ製品をまず開発し、市場に投入して反応を見る手法です。
ここでの「最小限の機能」は、その製品がどのような価値を提供するのかを理解できる程度の機能を指します。
MVP開発では、製品の市場での反応を元に改善を加え、製品を完成させていきます。
プロトタイプ開発についてよくある質問
プロトタイプ開発についてのよくある質問を見ていきます。
- プログラム開発の手順は?
- アジャイルとはどういう意味?
- どのようなスキルや経験が必要ですか?
プログラム開発の手順は?
プログラム開発の手順は、まず最低限必要な要件を定義します。
この要件定義に基づいて、実際のシステムの簡易版であるプロトタイプに重要な機能や技術を試すための最小限の機能を実装。
それに対して評価・検証をしていき、検証結果に基づいてプロトタイプを改善し、新たに要件が出てきた場合はそれを追加します。
これを繰り返すのが一連の手順です。
アジャイルとはどういう意味?
「アジャイル」は英語の”agile”からきており、直訳は「敏捷性」または「機敏さ」を意味します。
ソフトウェア開発で「アジャイル開発」といった場合、変化に対応する迅速さと柔軟性を持つ開発手法を指します。
開発工程を機能単位に分け、要件定義からテストまでのサイクルを繰り返し、フィードバックを素早く取り入れて改善を重ねるのが「アジャイル開発」です。
どのようなスキルや経験が必要ですか?
プロトタイプ開発を行うには、プログラミングやシステム設計の基本的な知識とスキルが必要です。
また、プロトタイプの試作と評価を繰り返すプロセスでは、問題解決能力、コミュニケーション能力、フィードバックの収集と反映の能力が求められます。
顧客のニーズを理解し、それを具体的な仕様に落とし込む能力も重要となります。
まとめ
プロトタイプ開発は、イメージの具体化や柔軟な対応が可能です。
ただし、大規模な開発には向いておらず、開発コストや技術力が必要です。
失敗を避けるためには実績豊富な会社に相談し、開発スケジュールに余裕を持つことにも気をつけましょう。
また、アジャイルやウォーターフォールなど、他の開発手法も同時に理解することで、より適切な開発手法を選択できます。
ぜひ本記事を参考にして、効率的なシステム開発手法を選び、挑戦してください。
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