Make(旧Integromat)の使い方と自動化ガイド|シナリオ構築・アプリ連携・業務効率化を徹底解説

ノーコード

はじめに:Makeで「繰り返し業務」を自動化する

「毎日同じ作業を手動でこなしている」「複数のアプリ間でデータをコピーするだけで時間が消える」——こうした業務の非効率に悩んでいる方は多いはずです。

Make(旧Integromat)は、プログラミング不要(ノーコード)で、異なるSaaS間のAPI連携をビジュアル化し、複雑な業務フローを自動化できるiPaaS(Integration Platform as a Service)です。Google スプレッドシート・Slack・Gmail・ChatGPTなど1,000以上のアプリと連携でき、条件分岐やデータ加工を含むワークフローもビジュアル操作で構築できます。

本記事では、Makeの基本的な使い方から、シナリオ・モジュール・トリガーの設定手順、業務活用事例、セキュリティ上の注意点、そしてZapierとの比較まで、DX推進・マーケティング担当者がすぐに実践できる内容を体系的に解説します。

この記事を読むとわかること:

  • Makeの基本概念(シナリオ・モジュール・トリガー・フィルターとは何か)
  • シナリオの作成手順と主要なアプリ連携の設定方法
  • スプレッドシート・Slack・AI連携など業務自動化の実践事例
  • 課金単位・コスト構造を含むZapierとの違いと選び方
  • APIキー管理・セキュリティ運用の注意点

Makeとは何か|iPaaSの基本概念を理解する

Make(旧Integromat)の概要

Makeは2012年にIntegromatとして誕生し、2022年にMakeへと名称変更したノーコード自動化プラットフォームです。日本語ではIntegromatとして記憶している方も多いため、本記事では「Make(旧Integromat)」として表記します。

Makeが属するiPaaS(Integration Platform as a Service)とは、クラウドサービス同士をAPI経由でつなぎ、データの受け渡しや処理の自動化を実現するサービスカテゴリです。エンジニアが個別にAPI連携を開発するコストをかけずに、ノーコードで実装できる点が最大の利点です。

MakeとZapierの違い

Make(旧Integromat)と同じiPaaSカテゴリの競合として最も比較されるのがZapierです。

比較項目Make(旧Integromat)Zapier
視覚的なフロー設計ビジュアルキャンバス形式(直感的)リスト形式(シンプル)
複雑なフロー対応得意(分岐・ループ・フィルター等)やや苦手
無料プランの実行回数月1,000回月100回
対応アプリ数1,000以上6,000以上
学習コストやや高め低い
課金単位「オペレーション(処理)」数「タスク(成功したステップ)」数
向いている用途複雑な業務自動化・データ加工シンプルな2アプリ間の連携

課金単位について重要な注意点があります。 Makeはフィルターで処理が途中で止まった場合でも「オペレーション(1回分)」を消費します。一方ZapierはタスクがIFに該当しなくても請求対象外になるケースがあります。月の実行量が多くなる場合は、この違いがコストに大きく影響するため、事前にシミュレーションしておくことを推奨します。

複雑な条件分岐・データ変換・複数アプリの連携を含むワークフローはMakeが得意です。DX推進・業務自動化の文脈では、Makeの柔軟性が長期的に優位です。


Makeの基本概念|シナリオ・モジュール・トリガーを理解する

Makeを使いこなすには、4つの基本概念を理解することが出発点です。

シナリオ(Scenario)

シナリオは、Makeにおける自動化フローの単位です。「どのアプリを、どの順番で、どのような条件で動かすか」を定義する設計図にあたります。1つのシナリオが1本の業務自動化フローに対応します。

モジュール(Module)

モジュールは、シナリオを構成する処理の最小単位です。「Gmailのメールを取得する」「スプレッドシートに行を追加する」「SlackにメッセージをPOSTする」など、各アプリへの具体的な操作がモジュールとして定義されています。シナリオはモジュールをつなぎ合わせて構築します。

トリガー(Trigger)

トリガーは、シナリオを起動する条件です。Makeのトリガーには2種類あります。

  • Polling(ポーリング)型:Makeが定期的にアプリをチェックしにいき、新しいデータがあった場合に処理を起動します。設定した間隔(例:15分ごと)でデータを確認するため、リアルタイム性はやや低くなります
  • Webhooks(ウェブフック)型:アプリ側でイベントが発生した瞬間にMakeへ通知が届き、即座にシナリオが起動します。フォーム送信・決済完了・問い合わせ受信など、リアルタイム性が求められる業務自動化に適しています

2026年の実務では、顧客対応の即時性が求められる場面でWebhooks型の採用が増えています。

フィルター(Filter)

フィルターは、モジュール間に挿入する条件分岐機能です。「ステータスが”完了”のデータのみ次の処理に進める」「金額が1万円以上の場合のみ通知を送る」といった条件を設定でき、柔軟な業務ロジックを実装できます。なお前述の通り、フィルターで処理が止まってもオペレーションは消費される点に注意が必要です。


Makeの使い方|シナリオ作成の基本手順

ステップ1:アカウントの作成と初期設定

Make(make.com)にアクセスし、無料アカウントを作成します。無料プランでも月1,000オペレーションまで実行できるため、小規模な自動化の検証には十分です。

ステップ2:新規シナリオを作成する

ダッシュボードから「Create a new scenario」をクリックし、シナリオの編集画面(ビジュアルキャンバス)を開きます。

ステップ3:トリガーモジュールを設定する

キャンバス中央の「+」をクリックしてアプリを検索し、トリガーとなるモジュールを選択します。例として「Google Sheets:Watch new rows(新しい行を監視)」を設定する場合、Googleアカウントとの連携認証を行い、対象のスプレッドシートとシートを指定します。

ステップ4:後続のモジュールを追加・接続する

トリガーモジュールの右端をクリックして次のモジュールを追加します。「Slack:Send a message」を追加し、スプレッドシートから取得したデータ(名前・内容など)をSlackのメッセージ本文に埋め込む設定を行います。

ステップ5:フィルターと条件分岐を設定する

モジュール間の接続線上にある「スパナアイコン」からフィルターを追加し、条件を定義します。「ステータス列が”要対応”のときのみSlackに通知する」といった条件分岐が実装できます。

ステップ6:テスト実行と有効化

「Run once」ボタンで動作確認を行い、各モジュールのデータの流れを確認します。問題がなければスケジュールを設定し(例:5分ごと・毎朝9時など)、シナリオを有効化(ON)にして自動実行を開始します。


Makeの業務活用事例|自動化できるワークフローの実例

事例1:フォーム送信→スプレッドシート記録→Slack通知の自動化

問い合わせフォーム(Google フォームやTypeformなど)に入力があった際、Webhooksトリガーで即時検知し、内容をスプレッドシートに自動記録、担当者のSlackチャンネルへ即時通知するシナリオです。問い合わせ対応の初動速度を最大化する、最も基本的な自動化パターンです。

事例2:スプレッドシート更新→メール自動送信

営業リストのスプレッドシートに「送信済み」フラグが立った行を検知し、対応するメールアドレスへ自動でフォローアップメールを送信するシナリオです。フィルターで「ステータス=送信済み」の行のみを対象にすることで、余分なオペレーション消費を防げます。

事例3:AIと連携した自動コンテンツ生成

スプレッドシートにキーワードを入力すると、MakeがOpenAI(ChatGPT)のAPIを呼び出してブログ記事の下書きを自動生成し、Google ドキュメントに保存するシナリオです。さらにPineconeなどのVector Databaseにデータを格納することで、RAGシステムと組み合わせた高度なナレッジ活用も実現できます。生成AIをノーコードで業務フローに組み込む最も現実的なアプローチです。

事例4:マーケティング業務の自動化

新規リードがHubSpotに登録されたタイミングで、MakeがSlack通知・ウェルカムメール送信・スプレッドシートへのデータ転記を一括処理するシナリオです。複数のマーケティングツールをMakeが橋渡しすることで、ツール間の手動連携作業をゼロにできます。

自動化できる業務の分類

業務領域自動化できること連携するアプリ例
営業・CRMリード登録・フォローアップ通知HubSpot、Salesforce、Gmail
マーケティングコンテンツ生成・SNS投稿ChatGPT、WordPress、Buffer
カスタマーサクセス問い合わせ振り分け・対応通知Zendesk、Slack、Gmail
総務・管理申請受付・承認フロー通知Google フォーム、Slack、kintone
データ管理複数ソースのデータ集約・整形スプレッドシート、Airtable、Notion

MakeでAI連携を実装する|2026年の活用トレンド

2026年現在、MakeはAIツールとの連携において特に注目を集めています。OpenAI・Anthropic(Claude)・Google Geminiなどの生成AIモデルをHTTPモジュールやOpenAI専用モジュールで呼び出し、業務フローにAIの判断・生成能力を組み込むことができます。

MakeとAIを組み合わせた自動化の例:

  • 受信メールの内容をAIが自動分類し、カテゴリに応じた担当者へ転送
  • 顧客からのフィードバックをAIが要約し、週次レポートとしてSlackに投稿
  • 競合情報をWebスクレイピングで収集し、AIが分析サマリーを生成してNotionに保存
  • 採用応募書類をAIがスコアリングし、一定基準以上のみ担当者に通知

APIキーを設定してHTTPリクエストモジュールを使うだけで、プログラミング不要でAI機能を業務フローに統合できます。


Makeを使う際のセキュリティとデータ管理の注意点

Makeで外部アプリとのAPI連携を行う際は、セキュリティ上の注意点を事前に把握した上で運用設計を行うことが重要です。

APIキー・トークン管理:
各アプリとの連携に使用するAPIキーやアクセストークンは、Makeの「Connections(接続)」管理画面で一元管理されます。不要になった接続は随時削除し、アクセス権限を最小限にとどめるよう設計してください。APIキーの漏洩は不正アクセスに直結するため、定期的なローテーションを推奨します。

実行ログ(Execution History)の管理:
MakeはシナリオのExecution History(実行履歴)を保存しており、個人情報や機密データが含まれる場合は保存期間の設定に注意が必要です。自社のセキュリティポリシーに沿った保存期間を設定し、不要なログは定期的に削除してください。

データプライバシー:
MakeはISO 27001等の国際的なセキュリティ基準に準拠していますが、個人情報保護法・GDPRなどの規制に関わるデータを扱う場合は、データの処理地域(リージョン)やデータの転送・保管に関するMakeの利用規約を事前に確認した上で運用してください。


まとめ:Makeで業務自動化の第一歩を踏み出す

Make(旧Integromat)は、ノーコードでアプリ連携・業務自動化・AI統合を実現できるiPaaSとして、DX推進・マーケティング・カスタマーサクセスなど幅広い業務領域で即効性の高い成果を生み出します。

本記事のポイントを振り返ります。

  • Makeは「シナリオ・モジュール・トリガー・フィルター」の4概念を理解すれば、ノーコードで複雑な業務自動化が実現できる
  • トリガーはPolling型とWebhooks型を使い分けることでリアルタイム性を最適化できる
  • Zapierと比べて複雑なフロー・条件分岐・データ加工に強く、課金単位が「オペレーション数」である点を事前に把握した上でコスト管理を行う
  • OpenAIなどのAI APIやVector Database(Pinecone等)とMakeを組み合わせることで、ノーコードで高度なAI業務自動化が実現できる
  • APIキー管理・実行ログの保存期間・データプライバシーポリシーを整備した上で運用する

自社の業務にMakeを活用したい、どのワークフローから自動化すべきか判断したいとお感じでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。貴社の業務課題に合った自動化プランをご提案します。


【免責事項】
本記事に記載されているMakeの機能・料金プラン・対応アプリ数・実行回数などの情報は、執筆時点(2026年4月)における公開情報をもとにしています。Makeのサービス仕様・料金体系・対応アプリは予告なく変更される場合があります。最新情報はMake公式サイト(make.com)にてご確認ください。また、本記事の内容を参考にした業務判断・システム導入等により生じたいかなる損害についても、当社は責任を負いかねます。

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