居宅介護支援とは?基本からわかりやすく解説【2025年版】

居宅介護支援とは?ケアマネジャーの役割から利用方法・費用まで徹底解説

「居宅介護支援」とは、要介護認定を受けた方が、住み慣れた自宅で適切な介護サービスを受けながら生活を続けられるよう支援する、介護保険サービスの一つです。この支援の中心となるのがケアマネジャー(介護支援専門員)で、利用者一人ひとりの状況に合わせたケアプランを作成します。

在宅での介護生活を支える上で、居宅介護支援は欠かせない重要な制度といえます。

居住介護支援の定義と目的

厚生労働省が居宅介護支援についての定義を以下のように定めています。

出典:居宅介護支援の基本資料(厚生労働省)

  • 要介護者の心身の状況、置かれている環境、要介護者やご家族の希望等を勘案し、居宅サービス計画を作成
  • 居宅サービス計画に基づくサービス提供が確保されるよう、サービス事業者との連絡調整
  • 介護保険施設等への入居が必要な場合における紹介 等を行うこと。

居宅介護支援とは、直接的な介護サービスというよりも、ケアマネージャーがケアプランを作成し、それに基づいて必要な支援を行える介護サービス事業者へと繋ぐ、サービスのことを指します。

ケアマネジャーの役割:在宅介護の専門家として

居宅介護支援において、ケアマネジャーは利用者と介護サービスの橋渡し役を担います。主な役割は以下の通りです。

  • 相談窓口: 介護に関するあらゆる相談に応じ、専門的な視点からアドバイスを行います。
  • ケアプランの作成: 利用者やご家族の意向を丁寧に汲み取り、最適な介護サービスを組み合わせたケアプランを作成します。
  • サービス調整: サービス提供事業者や医療機関と連携し、円滑なサービス利用をサポートします。
  • モニタリング(居宅訪問): 定期的に利用者のご自宅を訪問し、サービスが適切に提供されているか、利用者様の状態に変化はないかなどを確認し、必要に応じてプランの見直しを行います。
  • 申請代行: 介護保険の各種申請手続きを代行し、利用者やご家族の負担を軽減します。
  • 住環境整備の助言: 安全に生活できるよう、福祉用具の選定や手すりの設置などの住宅改修に関するアドバイスも行います。

利用条件と申請手続きの流れ

居宅介護支援を利用するためには、まず要介護認定を受ける必要があります。

利用対象者

  • 要介護1〜5と認定された方

※なお、要支援1・2と認定された方は、お住まいの地域にある地域包括支援センターが窓口となり「介護予防支援」を受けることができます。

申請から利用までの流れ

  1. 申請: お住まいの市区町村の介護保険窓口で、要介護認定を申請します。
  2. 認定調査・審査: 認定調査員による訪問調査や、かかりつけ医の意見書などをもとに、要介護度が判定されます。
  3. ケアマネジャー選定: 要介護認定後、居宅介護支援事業所を選び、ケアマネジャーと契約します。
  4. ケアプラン作成・サービス開始: ケアマネジャーがケアプランを作成し、介護サービスの利用が始まります。

申請からサービスの利用開始までには数週間かかることもあるため、早めの準備が大切です。

費用と自己負担額について

居宅介護支援のケアプラン作成や相談にかかる費用は、介護保険から全額給付されるため、利用者の自己負担はありません

ただし、実際に利用する訪問介護通所介護(デイサービス)などの介護サービスには、所得に応じた自己負担(通常1割〜3割)が発生します。

詳細な費用については、担当のケアマネジャーに事前に確認することをおすすめします。

2024年度の介護報酬改訂と2025年度以降の居宅介護支援の動向

2024年度の介護報酬改定では、居宅介護支援の報酬体系が一部変更されました。ケアマネジャーが担当する利用者の人数基準が見直され、より質の高い支援を提供できるように主任ケアマネジャーの配置を促す方向を示していたり、居宅介護支援費(II)の算定にあたり、「ケアプランデータ連携システムと同等の機能・セキュリティを有する市販システムでも可」とのルールが明確化され、ICTの活用へもシフトしています。

2025年度には、以下のような変化・注目点が予想または動き始めています。

  • 単位の見直し・補正・加算の再整備  2025年最新版の介護報酬単位一覧が公表され2024年度介護報酬改定で既に実施された、各サービスの単位数や加算・減算ルールの見直しが、2025年度も引き続き適用されます。特に、居宅介護支援も含む各サービスにおける単位調整の影響に注意が必要です。
  • 地域区分・特別地域加算  中山間地域や離島、豪雪地域などにおける 特別地域加算(最大15%)、および 小規模事業所加算 が引き続き適用対象に含まれています。居宅介護支援自体は含まれませんが、関連する項目です。
  • ICT化・業務効率化の継続的推進  2024年度改定で導入されたケアプランデータ連携システムの利用促進や、ICTを用いた事業所間連携がさらに重要視されると見られています。 これにより、ケアマネ事務負担を軽減しながら質重視の支援体制を維持する流れが強まるでしょう。
  • 制度基盤強化・人材確保への支援強化  介護提供体制や事業所運営を支えるため、自治体・国レベルでの制度支援や補助、交付金制度などの見直しが進む可能性があります。 

今後も、利用者一人ひとりの状況に応じた、きめ細かな支援体制の構築が求められていくでしょう。

まとめ:居宅介護支援を賢く活用するために

居宅介護支援は、在宅介護を続ける上で心強い味方となります。的確なケアプランの作成から、地域や家族と連携した支援まで、専門家であるケアマネジャーが包括的にサポートしてくれます。

要介護認定の取得からサービス利用までには一定の時間がかかるため、介護が必要になる兆候が見られたら、まずは早めにお住まいの市区町村の窓口や、お近くの居宅介護支援事業所に相談してみてください。